親子そろって悪役令嬢!?

マヌァ

文字の大きさ
上 下
106 / 231
お茶会編。

106話『和やかなお茶会 2』

しおりを挟む



「ごきげんよう。

 エミリア、ベリアル王子」 



「ごきげんようです。

 お二人とも、とっても似合ってます!」





マリエラとレヴァンヌがこちらに来て挨拶をしてきた。



「おはよう 。二人ともすごい完成度だな」



ベリアル様もあいさつしながら褒めている。珍しい。



「マリエラ、レヴァンヌ、ごきげんよう。

 今日はお茶会に来てくれてありがとう。

 2人共、とっても似合っているわ」



私も挨拶を済ませて服装を褒める。

というか、本当に完成度が高すぎる。



「黄昏の巫女姫と邪神のペアなんて考えたわねエミリア~?」



ニヤニヤ顔のマリエラに遊ばれる。 ぐぬぬ。 腹黒め!!



「そうですよ! 2人がその格好をするって思ってたので、

 私とマリエラで悪役になろうって相談しあったんですから!」



レヴァンヌの言葉が純粋すぎる。

そして、マリエラのやさしさに感動した。



「ありがとう。 マリエラ」



マリエラはレヴァンヌがバラしたことに焦って真っ赤になった。



「と、当然でしょ! 私達は親友なんだから」



ベリアル様はどういうことか分かっていないようだった。



つまり説明すると、マリエラは私とベリアル様が

恋人同士である邪神と巫女姫の衣装を着る事で変な誤解を避けるために

自分達も一緒に悪役の格好をしてくれたのだ。



いつも教養の教室でつるむ私達がこの格好をしても大丈夫なように

気を使ってくれたのだった。

やさしいマリエラ。 ありがとうマリエラ。



まぁ、実は私とベリアル様もその事を考えていなかったわけじゃない。

マリエラとレヴァンヌを信じていたのだ。

そして、2人に一番乗りで来てもらうことも伝えていた。



私とベリアル様が用意した衣装は他の悪役の分もあったのだから。

一番にきたマリエラ達が違う格好をしていた場合、

ちょっと相談しようかなって思っていたりした。

最悪、カーラとメーデを強制参加させて、悪役グループを作る予定だったのだ。



まぁ、そこまで考えなくてもマリエラと私達の意志は

通じ合えていたわけだが。



そんな風に談笑していたら、ケヴィン君とカレン様もやってきた。

格好は予想通りのエルフの青年エルハルトと、その弟子シシリアだった。

深緑のお揃いのマントをはためかせている。



魔術師団の格好は裾部分が長いサーコートとピッチリしたズボンだ。

色はそれぞれの職業をイメージする色って感じだ。

ケヴィン君とカレン様は、黄緑色で腹部に風の文様があしらわれている。


最後に到着したのが、ナナリーと愉快なイケメンsだ。



聖女ローレライの格好をしたナナリーをエスコートする、

魔術師団長ルートガードの格好のエドワード兄。

その後ろに魔法使いセントの格好をしたカイン様と

魔法剣士クレトスの格好のコンラート様だ。



いやー。イメージピッタリの格好で来てくれた。

そして、私達の格好と教室の雰囲気を見てナナリーは嬉しそうだった。




私は予め用意していたセリフを言う。

もちろん、ここはラストダンジョン。

雰囲気を込めての演出だ。



「英雄達よ!

 よくぞ、ここまでたどり着きました!

 今日はここまで来て下さった貴方達のため、

 私の用意した宴を催しましょう!」



「今日は無礼講だ。

 貴様達の最後の晩餐となるだろう!

 存分に楽しむが良い!!」



(ベリアル様ナイス、アドリブ!!)



邪神の姿のベリアル様が気を利かせたアドリブを言ってくれた。

ちょっとノリノリなのが可愛い。



ベリアル様のセリフの後に皆、拍手してくれた。

それぞれ手に持ったシャンパンのグラスを掲げる。



「それでは、お茶会開始です!」



皆、それぞれ近くにいる人とグラスを打ちつけあった。



ベリアル様も楽しそうだ。

学園祭の時も思ったけれど、緊張するシーンが無ければ、

ベリアル様は演技とか好きなのかもね。


学園祭の時を思い出して私の頬がポフンと赤くなる。

自分で学園祭の時の事を思い出して顔が熱くなるとか、私ってバカー。

まさに、自業自得である。



皆と順番に『勇敢なる魔術師団』の話をして回る。

もちろん、来てくれた順番に。



それぞれ挨拶して回るのはホストである私の役目だ。

最後にナナリー達に話かけ、ベリアル様のところに戻った。

ナナリーは「あんたにしてはやるわね。」って言ってくれた。



皆お菓子と飲み物を楽しみながら『勇敢なる魔術師団』の話に

花を咲かせている。

意外とカレン様とナナリーが仲良しになっていた。



「あの話はここが素晴らしいんですよね!」



と小説の内容を話すカレン様に、



「貴女、あの話をちゃんと理解していないわ!!

 もう一度読み直しなさい!

 あそこの話はね―――」



と持論を展開するナナリーにキラキラの尊敬する目線を向けるカレン様。

まぁ、仲良くなる分にはいいのかな……?



コンラート様はナナリーを見惚れすぎ。分かりやすいな君は。



カイン様はケヴィン君と睨み合って、シャンパンをどれだけ飲めるか勝負中だ。

それを止めに入っているエドワード兄。



マリエラとレヴァンヌはケーキに舌鼓を打っている。



なんとも和やかだった。



いつも睨みつけてくるイケメンs2人もナナリーが笑っているからだろうか、

今日の私を見る目は、そんなに厳しくなかったしね。



ゲーム的に言うとナナリーの取り巻きが増えるのかな?

まぁ、これがナナリーにとって良い方向に進めば良いんだけれどね。




こうして、私のお茶会は無事に終わった。

もう私は5回招いて、5回招かれたあとだ。

今日で課題のレポート分、全て完了したのだった。


しおりを挟む

処理中です...