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お茶会編。
81話『昼休みの庭で。』
しおりを挟むお昼になりました。
ついにこの時がきた!!
エドワード殿下にエスコートされて、私達は中庭に向かう。
今日も殿下とベリアル様は仲良しだ。お茶会の話で盛り上がっていた。
私にもお茶会を誘ってくれると話を振られたので一緒に会話を楽しんだ。
エドワード殿下、ここ最近でかなり成長したなぁ。
しみじみと思うのであった。
雪が積もった中庭は太陽の光をあびてキラキラと綺麗に輝いていた。
雪避けの魔法のかかった石畳前で私とエドワード殿下、ベリアル様が
王族用の馬車に乗り込もうとした、その時―――。
「エド様っ!?」
あれ? なんかデジャヴ……。
声がしたほうを見ると、ナナリーが凄い勢いで走り寄ってきた。
「エド様、あの、お昼ご飯っ――」
「すまない、ナナリー。 今日は、一緒にお昼は食べれない」
ナナリーの言葉を遮ってエドワード殿下が言葉を放った。
「えっ!? ど、どうしてですか!?」
ナナリーは泣き顔を作りはじめる。
うーん。 やっぱりデジャヴ。
「今日は、エミリアとベリアル、3人で食べる約束をしていてね」
「だ、だったら、私もご一緒したいです! いいですよね?」
ここまでパターン一緒!!
ど、どうしよう……。
ナナリーは私に視線を向けて、キっと睨む。
「エド様、またエミリアに酷い事を言われますよ!
私もついて行って守ってあげます!」
違うパターンきたーーー!!!
私と殿下は困った顔になった。
どうしようかと目配せしていると、ベリアル様が口を開いた。
「であれば、私がナナリー嬢と食事をしよう」
「「「えっ!???」」」
驚いた声に込められた思いはそれぞれ違った。
私は少し焦りのある驚き。
殿下は純粋な驚き。
ナナリーは歓喜の驚きだ。
同じ言葉なのにこうも表現が違うとはなぁ。
「いいんですかぁ!? ベルアル王子ぃ!」
媚びた口調になったナナリーはすすすーとベリアル様に近づく。
「ああ。 行き先は同じ貴族食堂だ。
馬車に乗ろう。 時間が惜しい」
そう言って、ベリアル様は馬車に真っ先に乗り込んだのだった。
あとに続くナナリー、そして私とエドワード王子だ。
普通はね、ベリアル様がナナリーをエスコートして
馬車に乗せないといけないんだけどね……。
ベリアル様の、あの不機嫌オーラを感じ取れないナナリーが強すぎた。
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