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聖女の祝福
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だが、予想と裏腹に、聖殿へと案内された。
「もし、体調に問題がなければ、この足で向かおう。先方には連絡を入れてある」
特に体に不調はない。
オリヴィエはスクルドとオルガノの診察を受けた後、着替えを済ませたら、健康体としか見えない状態に戻った。
傷はおろか、5日経った今まで後遺症一つ出ていない。
あれよと言う間に馬車は聖殿前の広間へ到着した。
「先ずは互いに身を清めよう。湯浴みの用意をしてあるから、オリヴィエは侍女に誘導してもらってくれ」
「はい……。あの、ルーカス様、湯浴みなら、自室のほうが良かったんじゃ……」
「いいや、こっちで。この機会に改めて話したいこともある」
「……そうですか。わかりました」
オリヴィエは素直に頷いた。侍女と湯浴みを済ますと、すぐに身支度を整えてもらう。
聖殿には聖女や高位の聖者が訪れることがあるので、バスもドレスルームも、広々としたものが備えられている。
袖を通したのは、絹練りの薄い生地に、同色の糸で刺繍の施された清楚なワンピースだ。
髪も結い上げ、銀で拵えた髪飾りで留めた。
身支度が終わって、聖堂へ案内されると、既にルーカスが待ち構えていた。
「やはりその色はオリヴィエによく似合うな。とても綺麗だ」
褒める言葉を受け、オリヴィエの鼓動は跳ね上がった。
ルーカスは普段通りの騎士服を身に着けている。
「どうして、私だけこんな格好をするんです? 礼拝の前に湯浴みをするのはわかりますが……」
「それはこれからわかる。さあ、行こう」
オルガノから、聖女像の指示を仰げと助言を受けていた。
聖堂へ直行できるならオリヴィエにとっては都合が良いが、ここまでお膳立てされている意味が、いまいち腑に落ちない。
聖堂の扉を開けると、年若い神官が出迎えてくれた。
恭しく頭を下げる。
「お待ちしておりました。ルーカス殿下。どうぞ奥へお進みください」
聖堂へ足を踏み入れるのは、3年ぶりで、オリヴィエは懐かしさを覚えた。
柱列を抜けて奧殿へ進むと、やはり、あの日の記憶のままの位置に聖女像がある。
聖女像の横には、背筋を伸ばした老人が佇んでいる。
「この度は、特例でご許可を頂き、ありがとうございます。ネフェルト神官長。これが本物ですね」
「いいえ、全ては私の不徳の致すところ。この度は民の心を惑わせ、混乱を招く未曽有の惨事となるところでした。収束にご尽力いただき、心より感謝申し上げます」
ネフェルト神官長の名はオリヴィエも知っていた。
しかし、実物と会うのは初めてだ。
ネフェルトが低頭するのに合わせて、オリヴィエも礼を取る。
ルーカスは軽く手を上げて、謝辞を制止した。
「もし、体調に問題がなければ、この足で向かおう。先方には連絡を入れてある」
特に体に不調はない。
オリヴィエはスクルドとオルガノの診察を受けた後、着替えを済ませたら、健康体としか見えない状態に戻った。
傷はおろか、5日経った今まで後遺症一つ出ていない。
あれよと言う間に馬車は聖殿前の広間へ到着した。
「先ずは互いに身を清めよう。湯浴みの用意をしてあるから、オリヴィエは侍女に誘導してもらってくれ」
「はい……。あの、ルーカス様、湯浴みなら、自室のほうが良かったんじゃ……」
「いいや、こっちで。この機会に改めて話したいこともある」
「……そうですか。わかりました」
オリヴィエは素直に頷いた。侍女と湯浴みを済ますと、すぐに身支度を整えてもらう。
聖殿には聖女や高位の聖者が訪れることがあるので、バスもドレスルームも、広々としたものが備えられている。
袖を通したのは、絹練りの薄い生地に、同色の糸で刺繍の施された清楚なワンピースだ。
髪も結い上げ、銀で拵えた髪飾りで留めた。
身支度が終わって、聖堂へ案内されると、既にルーカスが待ち構えていた。
「やはりその色はオリヴィエによく似合うな。とても綺麗だ」
褒める言葉を受け、オリヴィエの鼓動は跳ね上がった。
ルーカスは普段通りの騎士服を身に着けている。
「どうして、私だけこんな格好をするんです? 礼拝の前に湯浴みをするのはわかりますが……」
「それはこれからわかる。さあ、行こう」
オルガノから、聖女像の指示を仰げと助言を受けていた。
聖堂へ直行できるならオリヴィエにとっては都合が良いが、ここまでお膳立てされている意味が、いまいち腑に落ちない。
聖堂の扉を開けると、年若い神官が出迎えてくれた。
恭しく頭を下げる。
「お待ちしておりました。ルーカス殿下。どうぞ奥へお進みください」
聖堂へ足を踏み入れるのは、3年ぶりで、オリヴィエは懐かしさを覚えた。
柱列を抜けて奧殿へ進むと、やはり、あの日の記憶のままの位置に聖女像がある。
聖女像の横には、背筋を伸ばした老人が佇んでいる。
「この度は、特例でご許可を頂き、ありがとうございます。ネフェルト神官長。これが本物ですね」
「いいえ、全ては私の不徳の致すところ。この度は民の心を惑わせ、混乱を招く未曽有の惨事となるところでした。収束にご尽力いただき、心より感謝申し上げます」
ネフェルト神官長の名はオリヴィエも知っていた。
しかし、実物と会うのは初めてだ。
ネフェルトが低頭するのに合わせて、オリヴィエも礼を取る。
ルーカスは軽く手を上げて、謝辞を制止した。
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