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新しい世界

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「エドワード様、エミリア様もどうぞ召し上がってください」

「ありがとう。頂こう」

 エドワードは、エミリアを促して椅子を引く。

 気恥ずかしそうにこちらを窺う目を感じると、夢心地がやっと現実味を帯びて来る。

 ようやくエミリアが、結婚を承諾してくれた。

 しかも、エドワードを愛していると……!

 あの、エミリアが!!

(夢だったら覚めないでくれ)

 エドワードは、歓喜にうち震えた。

「マリエもリチャードも一緒にどうだ。お腹は空いているだろう?」

「えっ、いいんですか?」

 自分も椅子に腰掛けながら声をかけると、マリエがすかさず反応した。

「エドワード様は今、この上なく幸せなお気持ちでしょうから、少しくらい分けて頂いても罰は当たらないでしょう」

 リチャードが微笑みかけると、マリエは嬉しそうに笑った。

 リチャードに冷やかされても、まったく嫌な気がしない。

 そうだ、今はとても気分が良い。

 エミリアが、結婚を受け入れてくれた。

 誰かと分かち合わなければ、夢か現実かわからなくなってしまいそうだ。

「リチャード、マリエもこちらに。早く、食べよう」

 エドワードは席を勧めた。リチャードとマリエが腰を下ろすのを確認すると、手を合わせる。

「それでは頂こうか」

 マリエはウキウキとした表情で、皆に合わせてスープに手を伸ばす。

(ついに)

 エドワードは、スプーンにスープを掬って、エミリアの口元に運ぶ。

「ほら、エミリア、どうぞ」

「エドワード様……、自分でできますから」

 先ほどの薬湯は素直に飲んでくれたのに、今更恥ずかしがる必要はない。

 リチャードやマリエがいるからか。それともエドワードと特別な仲になって、照れているのだろうか。

 エミリアの恥じらう姿さえ、夢ではない証のようで嬉しかった。

(ついに、この美しい女性が、私の妻に……)

 実感すると、じーんと感動が込み上げてきた。

 改めて喜びを嚙みしめる。

 今日という日を迎えられて、本当に良かった!

(今日は人生最良の日だ)

「結果はもう目に見えていますが……一応確認させて下さい」

 リチャードはスプーンを取り上げようとした手を、一度止めてテーブルに戻す。

「プロポーズは上手く行ったんですね?」

「ああ、成功した。エミリアは、私の妻になってくれる」

 リチャードとマリエは顔を見合わせると、破顔した。

「おめでとうございます!」

 祝福の声に、エドワードは目を細めた。

「ありがとう」

 エミリアが照れくさそうに微笑むのを見ると、自然と頬が緩む。

(ああ……可愛い)

 この笑顔を見るだけで、心が満たされるようだ。いつまでも見ていたいと思うくらい愛おしい。
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