上 下
14 / 35

14.お花畑アリエラ視点(下)

しおりを挟む



この日家に帰ったらお父様も仕事を切り上げて急いで帰ってきた様子で、その顔は怒気を含んでいた。



「アリエラ。本日ハードラー子爵家から信じられない手紙が届いたのだが…ここに書いてある事は本当か!?お前はコニール様という婚約者がいるにも関わらず、ダンテにも手を出していたのか!!更にはダンテに嘘を吹き込み皆の前でハードラー子爵令嬢に恥をかかせるなんて…」

うわ…本当に子爵家から訴えられちゃった感じ…。
しかもお父様すごく怒ってる~。

「手を出すだなんて!ちょっと仲良くしただけだし、色々と大袈裟なのよ!」


「黙りなさい!お前は今日から暫く謹慎だ。しっかり反省しなさい!ハードラー子爵家は我が家に慰謝料として500万ベル払うようにと言っている。お前も持っている宝石やドレスを売って何とか金を作るんだ。あぁこの事がもしコニール様に知られたら……」


そう言って頭を抱えるお父様。

待って…?慰謝料…?
そんな、500万ベルなんてすぐ払えるわけ無いし、宝石もドレスも売りたく無い…!!
でも払わないともっと大事になってしまう…。

どうすれば…。
あ!そうだわ、お母様やお兄様にお願いすれば良いじゃない!

そう思いお母様の所へ向かうと、お母様は私を見るなり涙を流し始めた。

「アリエラ、ごめんなさい、私にできる事は何も無いの…。私、お父様に怒られてしまって…。貴女がこんなになってしまったのは私のせいだって…」

こんなになってしまってって…ちょっと失礼じゃない…!?
もう、この様子じゃお母様は頼りにできないわね、次はお兄様…!5人のお兄様は結婚して出て行ってしまったけど、長兄のケビンお兄様なら助けてくれるはず!!


「アリエラ。僕は恥ずかしいよ。ただでさえお前の妹は狂ってるとか色々言われて来て散々恥ずかしい思いをしてきたのに…それだけではなくこの家を潰す気かい?」

「えっ⁉︎お兄様なんて事を言うの!?私の事今まで可愛がってくれていたのに!!」


「それは小さな頃は我儘な所も可愛いと思っていたさ。でも10を超えても言葉遣いも行動も品のない君の事をどう可愛がれば良いんだ。これ以上、迷惑をかけないでくれ」

ケビンお兄様が心底呆れた顔で言う。

嘘でしょう…??
私は家族皆に愛されて、可愛がられて、お姫様で、騎士もいて、侯爵令息の婚約者がいて……


誰もが羨む伯爵令嬢よね…??
そうよね…?


誰か、そう言ってよ…。


急に今までそうだと思い込んで信じていた事が崩れていく。
私は立っていられなくなってその場にしゃがみ込む。
そんな私を誰も助けてはくれなかった。




私は結局最低限の物を残して少しでもお金になりそうな物を全て売却することになった。足りない分はお父様が出してくれたけれど、いつか返すようにと言われた。



そして、謹慎して1ヶ月程経った時に、婚約者コニール様のお父様、侯爵様から婚約破棄の通知が届いた。
貴族の中では私とダンテが恋仲で、私はシャティアからダンテを奪った悪女という噂で持ちきりらしい。
コニール様と侯爵様も、随分とお怒りらしい。

お父様も憔悴しているようだ。




でも、この一ヶ月、悪いことばかりではなく希望の光もあった。

なんと、隣国へ行っていたユーリスが来月あたりに帰って来るらしい…!!

私の事が心配になって帰ってくるのかしら…?
ユーリスは婚約者もいないはずだし…。


やっぱり、私の運命の人はユーリスだったんだわ…!!!
早く、早く会いたいユーリス…。
悲劇のお姫様の私を早く救って……!!



























しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約者の浮気相手が子を授かったので

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ファンヌはリヴァス王国王太子クラウスの婚約者である。 ある日、クラウスが想いを寄せている女性――アデラが子を授かったと言う。 アデラと一緒になりたいクラウスは、ファンヌに婚約解消を迫る。 ファンヌはそれを受け入れ、さっさと手続きを済ませてしまった。 自由になった彼女は学校へと戻り、大好きな薬草や茶葉の『研究』に没頭する予定だった。 しかし、師であるエルランドが学校を辞めて自国へ戻ると言い出す。 彼は自然豊かな国ベロテニア王国の出身であった。 ベロテニア王国は、薬草や茶葉の生育に力を入れているし、何よりも獣人の血を引く者も数多くいるという魅力的な国である。 まだまだエルランドと共に茶葉や薬草の『研究』を続けたいファンヌは、エルランドと共にベロテニア王国へと向かうのだが――。 ※表紙イラストはタイトルから「お絵描きばりぐっどくん」に作成してもらいました。 ※完結しました

【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜

高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。 婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。 それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。 何故、そんな事に。 優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。 婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。 リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。 悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。

あなたの事はもういりませんからどうぞお好きになさって?

高瀬船
恋愛
婚約を交わして5年。 伯爵令嬢のミリアベル・フィオネスタは優しい婚約者を好きになり、優しい婚約者である侯爵家の嫡男ベスタ・アランドワと良い関係を築いていた。 二人は貴族学院を卒業したら結婚が決まっていたが、貴族学院に通い始めて2年目。 学院に「奇跡の乙女」と呼ばれる女性が入学した。 とても希少な治癒魔法の力を持った子爵令嬢である奇跡の乙女、ティアラ・フローラモはとても可愛らしい顔立ちで学院の男子生徒の好意を一身に受けている。 奇跡の乙女が入学してから、婚約者であるベスタとのお茶の時間も、デートの約束も、学院での二人きりで過ごす時間も無くなって来たある日、自分の婚約者と奇跡の乙女が肩を寄せ合い、校舎裏へと姿を消したのを見てしまったミリアベルは行儀が悪い、と分かってはいても二人の姿を追ってしまったのだった。

公爵令嬢は逃げ出すことにした【完結済】

佐原香奈
恋愛
公爵家の跡取りとして厳しい教育を受けるエリー。 異母妹のアリーはエリーとは逆に甘やかされて育てられていた。 幼い頃からの婚約者であるヘンリーはアリーに惚れている。 その事実を1番隣でいつも見ていた。 一度目の人生と同じ光景をまた繰り返す。 25歳の冬、たった1人で終わらせた人生の繰り返しに嫌気がさし、エリーは逃げ出すことにした。 これからもずっと続く苦痛を知っているのに、耐えることはできなかった。 何も持たず公爵家の門をくぐるエリーが向かった先にいたのは… 完結済ですが、気が向いた時に話を追加しています。

婚約者が私以外の人と勝手に結婚したので黙って逃げてやりました〜某国の王子と珍獣ミミルキーを愛でます〜

平川
恋愛
侯爵家の莫大な借金を黒字に塗り替え事業を成功させ続ける才女コリーン。 だが愛する婚約者の為にと寝る間を惜しむほど侯爵家を支えてきたのにも関わらず知らぬ間に裏切られた彼女は一人、誰にも何も告げずに屋敷を飛び出した。 流れ流れて辿り着いたのは獣人が治めるバムダ王国。珍獣ミミルキーが生息するマサラヤマン島でこの国の第一王子ウィンダムに偶然出会い、強引に王宮に連れ去られミミルキーの生態調査に参加する事に!? 魔法使いのウィンロードである王子に溺愛され珍獣に癒されたコリーンは少しずつ自分を取り戻していく。 そして追い掛けて来た元婚約者に対して少女であった彼女が最後に出した答えとは…? 完結済全6話

夫の不貞現場を目撃してしまいました

秋月乃衣
恋愛
伯爵夫人ミレーユは、夫との間に子供が授からないまま、閨を共にしなくなって一年。 何故か夫から閨を拒否されてしまっているが、理由が分からない。 そんな時に夜会中の庭園で、夫と未亡人のマデリーンが、情事に耽っている場面を目撃してしまう。 なろう様でも掲載しております。

婚約者を想うのをやめました

かぐや
恋愛
女性を侍らしてばかりの婚約者に私は宣言した。 「もうあなたを愛するのをやめますので、どうぞご自由に」 最初は婚約者も頷くが、彼女が自分の側にいることがなくなってから初めて色々なことに気づき始める。 *書籍化しました。応援してくださった読者様、ありがとうございます。

別れてくれない夫は、私を愛していない

abang
恋愛
「私と別れて下さい」 「嫌だ、君と別れる気はない」 誕生パーティー、結婚記念日、大切な約束の日まで…… 彼の大切な幼馴染の「セレン」はいつも彼を連れ去ってしまう。 「ごめん、セレンが怪我をしたらしい」 「セレンが熱が出たと……」 そんなに大切ならば、彼女を妻にすれば良かったのでは? ふと過ぎったその考えに私の妻としての限界に気付いた。 その日から始まる、私を愛さない夫と愛してるからこそ限界な妻の離婚攻防戦。 「あなた、お願いだから別れて頂戴」 「絶対に、別れない」

処理中です...