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19.カルロのその後2(カルロ視点)

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俺はある人物を思い出し、その人物の元へ向かった。


「おい!ジャック!居るんだろ?俺だ!」

ジャックとは、フルールを俺に紹介してくれた古くからの友人だ。

父親と共に製糸業を営んでいて、ブティックフリージアの取引先でもある。
賭け事が大好きで、2年前も借金を作りその事をジャックの妻に黙っておく代わりにとフルールを紹介してもらった。

きっとジャックなら俺の頼みを断れないだろう!


「一体誰だよ…って!お前!カルロ!!」

「よう!久しぶりだな!ちょっと困った事になってな!ちょいと300万ドラー程貸してくれ!無理なら少しでも良いさ!」

「おっお前…!よくそんな事をぬけぬけと言うな…!!よくもお前、俺の顔に泥を塗ってくれたな…!くそ!お前なんかに脅されてもフルールさんを紹介するんじゃなかった…!!」

「どういう事だ?」

久しぶりに会ったジャックは俺の事を恨めしげに睨みつける。
それに脅した覚えも無い。
『新婚なのに奥さんに借金がバレたらまずいよなぁ?お前の取引先のフリージアの娘を紹介する事で黙っておいてやるよ』
と、交渉しただけだ。

「数日前にフルールさんがウチとの取引を辞めると言い出したんだ!確かに少しだけウチに有利になるように取引内容を改ざんしていた事は認めるが…。その上ウチの従業員にも何か入れ知恵をしたのか全員辞めてフルールさんについて行ってしまった!!全部!全部お前のせいだ!!もうウチは終わりだ!!」

「それに俺は関係無いだろう!?」

完全な八つ当たりだ。

「いいや!盗みや不倫をするお前なんかを紹介した事を恨んでいたからに違いない…。嫁も出ていっちまった…!!2度と俺に顔を見せるな!!ちなみに、お前がしでかした事はもう広まっているからまともな仕事につけるだなんて思うなよ」

ジャックはそう言い捨てると、扉を乱暴に閉めた。

嘘だろ…?ジャックまで俺を見捨てるのか…?
不正をしてたジャックが悪いんじゃないか…何で俺が悪いんだよ…
いい加減なこと言いやがって…


とりあえず…
とりあえず何か仕事に就こう。
まず、今日明日食べる物すら無い…。

そう思い色々な店や工房の扉を叩いたが、どこも返答は同じだった。
王家のお気に入りのブティックを敵に回したくないのだろう…。


仕事も見つからぬまま数日が過ぎ、またあの借金取りがやってきた。

「おい、金は用意したか?」

「その…もう少し待ってくれ!!」

こう言ってフルールと再婚する半年後まで耐えるしか無い…!

しかし、そういう訳にはいかなかった。

「前回言ったよな?お前に良い働き先を紹介してやるよ。おい!お前ら!コイツをあそこに運べ!!」

強面の男が叫ぶと、俺は縄で拘束されあっという間にどこかへ連れ去られた。

着いたそこは…

「熱い……」

肌が焼けるように熱い炭鉱だった。


周りを見渡すと、罪人の入れ墨がしてある者ばかりだ。

「嘘だろ…この俺がこんな所で働くなんて…」

「おい!ボサッとするなぁ!お前もさっさと働け!!ここで働かないヤツは野垂れ死にするしかないぞ!!」

そう言われるがまま道具を持たされる。


イヤだ…
イヤだイヤだイヤだイヤだ……

何でこんな事になったんだ…?
あのメリッサのせいだ…!!
いや、浮気くらい笑って許さなかったフルールのせいか…?

もう誰でも良い…
助けてくれ!助けてくれ誰かーーー!!!







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