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9.ちょっと待ってくれ、これはその違うんだ
しおりを挟む※暴力の描写があります。苦手な方はご注意ください。
バーーーン!!!
扉が開くと、ベッドの上にはあられもない姿の二人が重なり合っていた。
「えっ!?フッフッフルールぅぅ!?ちょっとっえっなぜここにっっいや、待ってくれっこれはその違うんだっっ!!」
カルロは気が動転しているようだが、メリッサさんは違うようだ。
「あっ!フルールさん!来てくれたのね~!!」
気が抜けるような声でそう言い、私にひらひらと手を振る。
しかし、その目は何故か勝ち誇ったような目をしている。
「ど!どういう事だ!?メリッサ!?なぜお前がフルールの事を知っているんだ??」
「へへへ~!カルロ様がいつも私と結婚したいのに、奥さんが別れたく無いって泣いて縋ってくるから別れられないって困っていたでしょう?だから、私達が愛し合ってる姿を見たら諦めてあの店を出ていくかな~⁉と思って呼んでおいたの!ね!フルールさん言った通りでしょ?カルロ様はこんなにも私を愛しているのよ!分かったらあの店から出て…へぶっっ」
目の前で信じられない事が起きた。
夫と浮気相手が一糸まとわぬ姿で重なり合っている事も信じられない事だが、なんとカルロがメリッサさんを殴り飛ばしたのだ。
メリッサさんはベッドから落ちて、脚を開いて尻もちをついている…。
勿論裸のままで…。
「メリッサッ!!お前はなんて事をしてくれたんだ!!俺がフルールと離婚してお前と結婚する!?そんな事あるわけ無いだろう!?」
「えっ!?えっ!?どうしたの!?って言うか痛いっ!殴るなんてカルロ様酷い!私、カルロ様の為を思ってしたのに!!」
「ええい!うるさい!俺に恥をかかせやがって!!」
あろう事かカルロは、ベッドから落ちて頬を押さえているメリッサさんに向かって更に手をあげようと、拳を振りかぶった。
「ちょっと…!やめなさ…!!」
ダメ!間に合わない!!
そう思った時。
「おい、やめろっ!!」
エーリク様がメリッサさんの前に素早く立ちはだかり、カルロの拳を手で止めた。
その姿にメリッサさんもポーッと見惚れている。
「だっ!誰だお前は!まさかフルールお前浮気を…!?」
「そんな事を言う前にお前達はその醜い姿をどうにかしたらどうなんだ」
そう言われ二人はハッと我に返り自分の姿を見て、自分たちが裸だった事に気付きコソコソと周りに落ちていた服を着始める。
メリッサさんも頬は腫れているようだが、意識はハッキリしているようだ。
しかし、念の為に冷やしたほうが良いだろう。
「お義母様。メリッサさんに何か冷やす物を持ってきて貰えませんか?」
衝撃的な場面を目の当たりにして呆然としている義母に声を掛ける。
「えっ?あっえ、えぇ…」
「えっっ!?お袋まで!?えっ!!父さんまで!!なんだどうなっているんだ!!」
「カルロ……これはどういう状況なんだ…なぜお前はこの家で妻ではない女性とこのような事をしているんだ……」
今まで空気だった義父が口を開く。
「これは……違うんだ!!そうだ!!この女に騙されたんだ!!この女が悪い!!な、フルール!信じてくれよ…!!」
そう言ってカルロが私の足に縋りついてきた。
こんなにもこの人は気持ちの悪い人だったかったかしら…。
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