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3.犯人は…

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「はぁ…。何だか泣いたらスッキリした!」

自分に言い聞かせるように呟くと、本当に晴れやかな気持ちになる。

「さぁ、今日も皆が楽しみにしているし届けますか!」

アルベルトに足止めを食らってしまったが、今日も孤児院へ行く所だった。
今日は孤児院へレースのハギレを寄付しにきたのだ。

実は、半年前まではレース作りを趣味でやっていたのだが、この度レース工房を作る事になったのだ。

と言うのも、数ヶ月前に孤児院で女の子が着けていた私の作ったレースのリボンがフルールさんの目に留まり、私と取り引きしたいと声をかけてくださったのだ。


このフルールさんとは、隣国からも注文が殺到する程の超人気店、王族御用達のブティック"フリージア"のオーナーで、更には容姿端麗。皆の憧れの人なのである。


そんな憧れの人が私の作った作品を認めてくださって、更には工房を作ってあげるからブティックフリージアにレースを卸してほしいと夢の様な話をくださり……。
あぁぁ…あの時の感動を思い出すだけで今でも泣ける。


つい先日、正式に契約して工房も作り始めたからそろそろアルベルトにも話そうと思っていたけれど、先にとんでもない告白をされてしまったので言う間も無かった。

「まぁ、もうどうでも良いけれど」

アルベルトへ残っていた一抹の気持ちはさっき涙と一緒に全て流し去ったのだ。


奴のせいで少し遅くなってしまった。足速に孤児院へ向かう。


「こんにちは~!シスター、今日も持ってきたのですが子ども達にあげても良いですか?」

いつもは子ども達が駆け寄ってきてくれるが、今は授業中なのか出てこない。


「エリス様、いつもありがとうございます。でも…」

いつもは喜んで受け取ってくれるシスターが、今日は何だが何かを言いにくそうにしている。


「どうしたのですか…?迷惑でしたか…?」

「あ、いえ、迷惑などでは無いのですが…。その言いにくいのですが…」

もしかして、今まで良かれと思ってしてきた事が迷惑だった…?いつもは子どもがいたから断りにくかった…?

「実は…今教会にはあまり…お金が無いのです…。レースも嬉しいのですが、今は余裕が無いのでレースを買うお金が無くって…。せっかくなのにすみません」

申し訳無さそうに謝るシスターを見て混乱する。
このレースは寄付しようと思っていた物だし、今まで一度もお金を貰った事など無い。そもそもお金を取ろうだなんて思った事も無い。

「どっどういう事ですか⁉︎これは子ども達に少しでも喜んでもらえればと思って寄付しようと思った物です!それに、私は今まで1度も代金を頂いた事なんてありません!」

「えっ…?半年前程からは、何度かエリス様の同僚を名乗る男性が代金を徴収されて行きましたが…」

なんだって……!?

「そんなっ…!私は知りませんっ!誰がそんな事を……!」


驚きのあまり大きな声を出してしまう。
"誰が"と自分の口から出たが、その瞬間に1人の男の顔が思い浮かぶ。

私が孤児院にいつ、どれだけレースを持って行っているかを知っている人物…。


『エリスは今日も孤児院にレースを届けて来たの?』
『そうよ!アルベルトの家が近いからついつい寄っちゃった!』


アルベルト………!!
アイツしかいないわ……!!!











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