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第一章

チョコレート

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今日も二人を見送ってから、寮の掃除を始めた。 

ぴろろん♪ 

掃除を始めて1時間くらい経った頃、螺旋階段を拭いているタイミングで、ケータイにメッセージが飛んできた。画面を確認すると、おじいちゃんからメッセージが入っていた。 

”ヒカル、元気か?こちらはハワイで楽しくすごしているぞ。日本と違ってハワイの空気はカラッとして過ごしやすいよ。海もきれいで最高だ。そっちの寮生活はどうだ?寮生にわがまま言われてないか?あいつらの性格は一癖あるからちと心配でな。。。 

ところで、早速ハワイのお土産を郵送したぞ。日本時間の今夜届くと思う。定番品だが楽しみに待っててくれ。あ、食べ物だよ。” 

「おじいちゃん、楽しくやってるんだね。ハワイか。。。私も一度行ってみたいなぁ。」 

とハワイの情景を思い浮かべながら、私はもくもくと掃除を続ける。それにしても、お土産楽しみだな。クッキーか、ナッツか、ん~なんだろうな♪ 

。。。。。 

今日も3人で夕食を食べ終わるころ、玄関のチャイムが鳴った。宅急便のお兄さんがおじいちゃんからのお土産を運んできてくれた。にしても、宅急便のお兄さんもさわやかイケメンだったな。この街はイケメンしかいないのかな。 

私は届いた荷物を持って、キッチンに戻り、テーブルの上に段ボールを置いた。私は、二人にもおすそ分けしようと思い声をかけた。 

「おじいちゃんがハワイからお土産を送ってくれたんだけれど、良ければ一緒に食べる?」 
「ありがとうございます。遠慮なくいただきます。」 
「おー!!サンキュー、食べる食べる!!」 
「何が送られてきたかは私もまだわからないの。すぐに開けるね。」 

私は、段ボールを開けて、緩衝材を取り除いた。中から出てきたのは、ナッツを使ったチョコレートだ。何箱か入っている。 

「チョコレートだね。こんなにたくさん(汗)」 

段ボールのサイズからして、一人では食べきれないなと思っていたけど。二人を誘って良かった。チョコレートのパッケージを開けて、二人の前に差し出す。 

「じゃあ、一緒に食べよう♪お二人ともお先にどうぞ。」 
「いや、ヒカルさんのためのお土産なんだから、一番はヒカルさんから食べてください。」 
「そうだぞ、ヒカルが食べないと俺たちは食べれないぞ。」 

二人が遠慮するもんだから、私は箱から一粒つまみ出して、パクっと頬張る。んー、相変わらずこのメーカーのチョコレートは美味しいんだよね。ほんとに、ハワイのお土産の定番、間違いなく喜ばれるやつ!そんなことを考えていたら、頭の中に声が聞こえてきた。 

 

『なんだこれは?!めちゃめちゃ美味しいではないかぁぁぁ!!』 

 

その瞬間、私は意識が遠のいてしまった。 
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