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発情してはいけない 2

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「何だ? 高梨さんからの通話だ」
 メッセージではなく直接電話がきたことに、不思議に思いつつ画面をタップする。耳にあてると、相手の少し慌てた声がした。

『陽斗君? 今何をしてる?』
「え? 今は、……えっと、夕食の準備をしようかとしてました」
『そうか。じゃあ、いいかい、落ち着いて聞いてくれ。今さっき、鷺沼から連絡があったんだが、――光斗君が、学校で、トラブルに巻きこまれたらしい』
「ええっ」

 驚く陽斗に、高梨が続ける。
『光斗君から、君に連絡は入った?』
「いいえ。そんなこと、全然」

『じゃあ、これからかな。とにかく、以前から彼につきまとっていたらしきストーカーが、光斗君に悪さをしようとしたらしい。直前にうちのボディガードがとめに入り、事なきを得たようだが、光斗君は保護されて、今は警察と聞いた。怪我はないそうで、その点は安心して欲しい。事情聴取が終わったら、とりあえずそちらに送らせる。彼も不安だろうから、今夜は君がついててあげたほうがいい。うちに泊まらせよう』

「ストーカーは逮捕されたんですか」
『ああ、ボディガードが捕まえて警察に突き出した。詳しいことは光斗君に聞くといい』
「そ、そうですか」
『じゃあ、今日は仕事を早めに終わらせて帰宅するから』
「ありがとうございます」
『帰ったら僕も詳細な経緯を聞くよ。あとでまた』
「はい」   

 高梨からの電話が切れてすぐ、鷺沼からも電話が入った。                
『今、光斗さんと一緒にそちらに移動している最中です。すぐに着きますからご安心ください』

 と丁寧な連絡が入った数分後、玄関ベルが鳴った。陽斗は急いで玄関に走っていき鍵をあけた。
「光斗」
 青い顔をした光斗が、鷺沼に支えられながら入ってくる。
「陽斗ぉ……」
 陽斗の姿を見て、安堵の表情を浮かべ抱きついてきた。

「大丈夫だったか」
「うん。大丈夫。何ともない」
 背中をさすりながら、無事だったことに安心する。が、よく見れば首輪がない。
 もしかして噛まれたのかとヒヤリとする。

「光斗、首輪、どうした?」
「あいつに壊された。でも大丈夫、噛まれてないから」
 あいつとは犯人のことだろう。
「……そうか。なら、よかった」

 明日には津久井に会うのに、別のアルファに噛まれたら大変だ。首輪は無理矢理壊されたのか、その部分の皮膚が少し赤くなっていて痛々しかった。
 一緒にいた鷺沼に礼を言って、光斗をリビングへ連れていく。ソファに並んで腰かけ、鷺沼と光斗から事件の経緯を聞いた。

「犯人は、光斗さんのクラスメイトでした。いつも一緒にいた友人がストーカーだったんです」
 対面に座った鷺沼が、まず口をひらく。
「友人が?」
「そうです」
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