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学園編
仕事 参
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監視していたブローカーは地下の歓楽街を抜け、摩天楼を繋ぐ橋を渡り、煌めくカジノ街を通り過ぎた。
「どうして、こんな遠回りするんだろう?追跡防止だからって過剰な気もしますが……。」
「念には念を、てところか?確かに六億フォルの商売の前は慎重になるだろ。」
そのブローカーはやがて工場街の倉庫の一つに入っていった。
その中には一人の男がいる。
俺とアムレットは屋根の壁についた窓から中の様子を見ていた。
「お、あいつ、昔、仕事したことある奴じゃん。」
あのブローカーがうちの会社の社員と接触した。
「よく分かるな、ローゼン。あいつも変装してんだぞ。」
「人ってのは変装していても意外と誰か見分けることが出来るんだよ。歩行とか、目の虹彩とか、耳の形とか、数えればきりがない程。」
「細けぇな。ある意味この仕事、お前の天職だぞ。」
そして、手に持つアタッシュケースを社員が見せつける。
「一つに一億、それが六個で六億だ。簡単な計算だろ?」
そう言って後ろにあるアタッシュケースに手を差し向ける。
手に持っているのも含めると確かに六個ある。
「約束のものをそこに置け。いつも通りで頼む。」
ブローカーは背負っていたリュックから梱包された小包を取り出す。
「少なくね?あれぽっちで六億?」
俺はそう呟いた。
そして、社員とブローカーが時計回りにグルッと回り、社員は入り口付近に置かれた小包の位置に、ブローカーはアタッシュケースの位置についた。
「これで取引は成立だ。せいぜい楽しめ。それでは、良き夜を。」
「あぁ、お前こそ、刑務所でな……。」
そう言って、社員は天に向かって空砲を鳴らした。
俺とアムレットは窓から飛び降りる。
空砲に驚いた男はなすすべ無く、羽交い絞めにされ手錠が掛けられた。
「どうして、こんな遠回りするんだろう?追跡防止だからって過剰な気もしますが……。」
「念には念を、てところか?確かに六億フォルの商売の前は慎重になるだろ。」
そのブローカーはやがて工場街の倉庫の一つに入っていった。
その中には一人の男がいる。
俺とアムレットは屋根の壁についた窓から中の様子を見ていた。
「お、あいつ、昔、仕事したことある奴じゃん。」
あのブローカーがうちの会社の社員と接触した。
「よく分かるな、ローゼン。あいつも変装してんだぞ。」
「人ってのは変装していても意外と誰か見分けることが出来るんだよ。歩行とか、目の虹彩とか、耳の形とか、数えればきりがない程。」
「細けぇな。ある意味この仕事、お前の天職だぞ。」
そして、手に持つアタッシュケースを社員が見せつける。
「一つに一億、それが六個で六億だ。簡単な計算だろ?」
そう言って後ろにあるアタッシュケースに手を差し向ける。
手に持っているのも含めると確かに六個ある。
「約束のものをそこに置け。いつも通りで頼む。」
ブローカーは背負っていたリュックから梱包された小包を取り出す。
「少なくね?あれぽっちで六億?」
俺はそう呟いた。
そして、社員とブローカーが時計回りにグルッと回り、社員は入り口付近に置かれた小包の位置に、ブローカーはアタッシュケースの位置についた。
「これで取引は成立だ。せいぜい楽しめ。それでは、良き夜を。」
「あぁ、お前こそ、刑務所でな……。」
そう言って、社員は天に向かって空砲を鳴らした。
俺とアムレットは窓から飛び降りる。
空砲に驚いた男はなすすべ無く、羽交い絞めにされ手錠が掛けられた。
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