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分岐 参 僕は満足できる

僕は満足できる

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 砂漠の真ん中で寝転ぶ。

 砂漠と言えば、日本人が思いつくのは砂砂漠だが、最も数が多いのは岩石砂漠らしい。

 まぁ、僕が今居るのは砂砂漠なのだが。

 そして、海から離れた大地の中央にあると思われがちな砂漠だが、意外と海のそばにある砂漠もある。

 実際、僕の右手には青い海が広がっている。

 そして、僕の居る砂漠には雲がなく、満点の星空が広がり満月が煌めいていた。そして、そんな雰囲気を壊すような白い煙が砂漠の向こうで立ち上がっている。何かは気になるがわざわざ歩いて確認には行きたくない。そう思うぐらいには遠い場所のようだった。

 僕は月を眺める。

「イスラームの暦は月が基準となっていると本で読んだ事はあるが、確かに一番わかり易いな。」

 僕は二針村からテレポートによってここに来た。

 そして、しばらくの間こうして横たわっている。

「京介?私がいること忘れてない?」

 そして、僕をここまで連れてきた涼波と砂と星空と海、そして邪魔な煙以外は何もない。空虚な場所だ。

「忘れてないよ。涼波。それにしても、ここはどこ?そして、あそこで立ち上っている煙は何?」

「煙は知らないけど、ここは二針村と同じだよ。テレポート・ディメンションって魔法を使ったんだけど、この魔法って二針村が入っているサーバー内の別のフィールドに意識を飛ばす魔法なんだ。」

 と言う事はこの世界は光くんのお父さんが作った世界なのか?こんな世界、一人になりたい時以外使い道がない気もする。

「と、言う事はこの世界で横たわっていても元の現実の世界に帰れる可能性があるのか?」

「まぁね。」

 僕は目を瞑って、

「なら、この世界も悪くないのかもしれない。」

 なんか、まるで星の王子さまのような感じだが、かの王子は結局戻れたのだろうか。

 まぁ、光くんが言っていた通り、自分がそう思えるだけで案外満足なのかもしれない。

 僕もいつかは戻れる。そう思うことができれば……。

 僕は満足できるのだ。

 分岐 参 僕は満足できる~完~
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