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青年期

10年越しの

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「メアリー班長。」

 私、メアリー・シャーは馬車で山を駆け上っている。今、部下のイオに声をかけられた。

「まもなく目的地です。」

「そうか、」

 私は馬車の窓から顔を出し、遠くに木々の間に建つ屋敷を見つめた。

「10年越しの再会か……。」





 私は悪魔が逃げてからずっと、悪魔を追っていた。

 あちこちの街を巡り、ひたすらに情報を集めた。

 どうやら、この悪魔はあまり目立たないように移動したらしく、情報は少なかった。

 いかんせん、馬車の御者なんかにも聞き込みをしたが、全員知らないと言っていた。

 見ず知らずの客を庇うとは思えないし、本当に全員知らなかったのだろう。

 つまり、あの悪魔は、徒歩で移動していたのだ。

 そのせいもあって、場所を特定するのに時間がかかってしまった。

 その時、私の腰につけている剣が壁にあたった。

 ふと、見るとあんなに長く重かった剣は今ではずっと振り続けていられる位には軽く感じられる。

 逃げられた時、私は14歳だったからもう24歳になっている。

 私は悪魔を置い続けた時間の長さを実感した。





 今回、私達が悪魔の所在を掴むことができたのはとある男が証言したからだった。

 と言うのも、とある森で彷徨った旅人が偶然、屋敷を見つけ、助けを求めてその中に入ってみると、あの指名手配されていた悪魔が中にいたらしい。その旅人は怖くなって逃げ、なんとか近くの街までたどり着けたそうだ。

 つまり、あの悪魔も見つかったことに気付いている。

 もう、逃げているかもしれないが調べてみる価値はある。

 そうして、私達は馬車に乗っているのである。





「着いたか。」

 私は屋敷前で馬車から降りた。部下もそれに続く。

 屋敷は二階建てでレンガでできていた。所々に修繕した跡がある。周りに生えている雑草も切られていて綺麗に整備されていた。

 重そうな木の扉をノックする。

「いらっしゃいますか?」

 しかし反応はなく、辺りに静かな空気が流れる。

 そっと、扉に力を入れる。鍵はかかっていなかった。

 そして、思いっきり力を込めて、扉を勢いよく開けた。

 そして、中を見た。

 なにかいる

 玄関は吹き抜けになっていてステンドガラスにより色とりどりの光で満ちていた。

 その奥には二階に通じる階段があり、その隣に扉が見える。

 その階段の一番上の部分に二階部分の天井から何かが吊るされていた。それはステンドガラスの光が反射した弱い光により薄っすらとその輪郭が見える。

 部下からランタンをもらい中を照らす。

 そこには白い服を着た、天井から首を吊るされたあの悪魔、ルイス・ミラデナスがいた。
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