45 / 71
青年期
屋敷の本
しおりを挟む
「で、ここに来た理由はなんですか?」
「それはね、これだよ。」
俺は、本棚の中の本を何冊か取り出した。
長年大切にしまわれていたので、状態はいい。
「ここにある本は、父さんが旅の途中で貰ったり、買ったりしたものなんだ。でも、引っ越しの時に持っていけなかったものなんだけどね。」
取り出した本を袋に詰めると、背中に背負った。
「家の売り物の本が減ってきたからね。追加するために本を取りに来たんだよ。」
「ルイスさん、結構な量持って帰りますね。」
本を詰めた袋を背負って、エラは言った。
「なかなか、ここには来れないからね。」
「確かに、馬車の御者との交渉しないといけませんからね。」
と、エラはニヤけながら言う。
そんなところまで、見てたのか……。
「ところで、ルイスさん。来た道をまた歩いて戻るのなら絶対日をまたぎますけどクリスさんに伝えてあるんですか?」
「あぁ、伝えてあるよ。もしかしたら帰るのは次の日かもって。」
そう言うと、エラは頬を膨らませて怒ったように呟いた。
「私、何も聞いてなかったんだけどな……。」
「ごめんって。」
俺が謝ると、エラは勝ち誇ったような顔をして、
「じゃあ、夜ご飯とか、一緒に食べようよ。あっ、外泊もいいなぁ……。」
そう言って、エラはくすくす笑い出した。
そんな感じで、呆気に取られていると、エラは急に俺の手をつかんで、走り出した。
「さぁ、ルイスさん、時間がもったいないですよ。さっさと近くの街に行って、宿を取って、それから……。」
そういって、俺のことを引っ張る。
「ちょっと待って、鍵をかけないと。」
俺は今にも家を飛び出しそうなエラに向かってそう言った。
「それはね、これだよ。」
俺は、本棚の中の本を何冊か取り出した。
長年大切にしまわれていたので、状態はいい。
「ここにある本は、父さんが旅の途中で貰ったり、買ったりしたものなんだ。でも、引っ越しの時に持っていけなかったものなんだけどね。」
取り出した本を袋に詰めると、背中に背負った。
「家の売り物の本が減ってきたからね。追加するために本を取りに来たんだよ。」
「ルイスさん、結構な量持って帰りますね。」
本を詰めた袋を背負って、エラは言った。
「なかなか、ここには来れないからね。」
「確かに、馬車の御者との交渉しないといけませんからね。」
と、エラはニヤけながら言う。
そんなところまで、見てたのか……。
「ところで、ルイスさん。来た道をまた歩いて戻るのなら絶対日をまたぎますけどクリスさんに伝えてあるんですか?」
「あぁ、伝えてあるよ。もしかしたら帰るのは次の日かもって。」
そう言うと、エラは頬を膨らませて怒ったように呟いた。
「私、何も聞いてなかったんだけどな……。」
「ごめんって。」
俺が謝ると、エラは勝ち誇ったような顔をして、
「じゃあ、夜ご飯とか、一緒に食べようよ。あっ、外泊もいいなぁ……。」
そう言って、エラはくすくす笑い出した。
そんな感じで、呆気に取られていると、エラは急に俺の手をつかんで、走り出した。
「さぁ、ルイスさん、時間がもったいないですよ。さっさと近くの街に行って、宿を取って、それから……。」
そういって、俺のことを引っ張る。
「ちょっと待って、鍵をかけないと。」
俺は今にも家を飛び出しそうなエラに向かってそう言った。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
GAME CHANGER 日本帝国1945からの逆襲
俊也
歴史・時代
時は1945年3月、敗色濃厚の日本軍。
今まさに沖縄に侵攻せんとする圧倒的戦力のアメリカ陸海軍を前に、日本の指導者達は若者達による航空機の自爆攻撃…特攻 で事態を打開しようとしていた。
「バカかお前ら、本当に戦争に勝つ気があるのか!?」
その男はただの学徒兵にも関わらず、平然とそう言い放ち特攻出撃を拒否した。
当初は困惑し怒り狂う日本海軍上層部であったが…!?
姉妹作「新訳 零戦戦記」共々宜しくお願い致します。
共に
第8回歴史時代小説参加しました!
[恥辱]りみの強制おむつ生活
rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。
保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。
タイムワープ艦隊2024
山本 双六
SF
太平洋を横断する日本機動部隊。この日本があるのは、大東亜(太平洋)戦争に勝利したことである。そんな日本が勝った理由は、ある機動部隊が来たことであるらしい。人呼んで「神の機動部隊」である。
この世界では、太平洋戦争で日本が勝った世界戦で書いています。(毎回、太平洋戦争系が日本ばかり勝っ世界線ですいません)逆ファイナルカウントダウンと考えてもらえればいいかと思います。只今、続編も同時並行で書いています!お楽しみに!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる