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幼少期

あの日

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 「でも、実際どうなるのかなんてわからないしさ。」だいぶ苦し紛れに答える。
 
 確かに医療技術が全く言っていいほど発展していないこの世界では実際そうなってしまうだろう。前の世界でもペストに対する抗生物質であるサルファ剤が開発されたのも20世紀に入ってからである。

 「ところでさ、私たちがこの世界にやってきた話だけど。」

「「神様に出会ってないよな?」」

 声がハモってしまい少し恥ずかしくなる。親たちがこちらを覗いた。

「んんっ、ということはそっちも会っていないんだな」

 と真剣な眼差しで絶世の美少女が聞いてきたので、

「あぁ、神様級に可愛くエロチシズムな女神様が眼の前にご降臨してくださると期待してたんだけどなぁ。」

 と理想をありのまま話すと、

「きっっっっっっもっ!」

 と、とても拒絶感のある声で距離を取られながら返されてしまった。正直言ってその引きつったような顔でもかわいいんだよなぁ。

 「でだ!そっちの転生した経緯とこっちで気がつくまでの詳細とか、色々聞きたいことが有ってだなぁ。」

 と、俺とこの可憐な少女と情報交換した。大まかな経緯などはほぼ俺のと同じだった。突然科学室で衝撃を受けた後気付いたらベットの上で寝ていたらしい。なるほど、俺とほぼ変わらん。でも……。

「そうなると、少しおかしいよな?」

「えっ、どこが?」

「だって、俺らがこの世界に来たって気がついたのがどっちも出産から少し経ってからなんだよ。よく考えたらおかしくないか。普通に考えてこの世界に俺たちの意識を持って生まれたならば生まれたその瞬間にその意識があるはずだ。なのに……。」と疑問をぶつける。

 この世界に俺たちの意識を引き継いできたのならこの世界に産み落とされたその瞬間に自分の意識が戻るのではと考えた方が自然だ。なぜ、二人ともそこに遅れが生じたのか。

「たしかに、なんで遅れが出たんだろうな?まぁそれはおいおい調べてみようよ。」

 そこからはこの世界に来た理由に近づく資料として、毎日日記を書いているとか、この世界に保存料がないからパンが腐りやすいだの、ホント他愛もない話をしていた。そうこうしている間に、母親たちも腰を上げようとしていた。

「日記は私も書いてみることにするよ。」

「うん、じゃあねー!」と行こうとした時、腕を掴まれた。

「そういえばまだ名前を言ってもいなかったし聞いてもいなかったね、私の名前はクリス。クリス・グッドマン。この世界での名前はなんていうの?」

「ルイス・ミラデナス。明日からもよろしく!」

「えっ、明日も来てくれるの?」と少し嬉しそうに聞いてきた。

「まぁ、一応家の手伝いもしてるけど、まだまだ役立たずで暇だからね。都合が合えば来てもいいかな?」

「もちろん!」









 その夜、クリスの自室でなにやら嬉しそうにクリスが小物入れなどを漁っていた。おそらく隣の本屋の一人息子と遊ぶゲームなどを探しているのだろう。
 
 そんな中、ふと手を止めて、
「前の世界では駄目だったけど、この世界ならきっと……。」
 
 そうつぶやき、また鼻歌を歌いながら、手を動かした。
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