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森の中のエルフ幼女、森の中の生活を開始する

最近のガチャでは連続で回す程良いものが出るガチャとかありますね。これってハマるとえらい事になりそう…

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「ほほぅ…色々な物が出てくると思えば搬送系のスキルかな?ここ以外では余り人様に見せない方が良いよ。まぁ、今のジルアちゃんなら大丈夫だろうけどね。それでこの金属は……こりゃ駄目だ。私の手には負えそうにない代物だ。これは武器屋で加工してもらわないと無理だろうね」

 店主の言葉に、やはりこの世界の鍛冶屋ではこの金属の加工はかなりの難物だと分かってしまう。

「ほえええ。この金属そんなに難しい物なのですか。ご主人はよくこんなにバラバラに出来ましたね? 」

 シロの目が驚きを表しているが、君はその金属と一緒のダメージを受けているはずなんだけど…

「流石は『あれ』が使っていただけはありますね。しかし、ここで加工が難しいと言われるぐらいならその辺の鍛冶屋では無理だと思いますよ? 」

 セシルはこの店主の事をよく知っているのか、かなり信頼を寄せている感じだ。

「そっかー。なら他の材料を考えてみるか」

 悩ましい所だが出来ないものは仕方がない…そう思っていたのだが

「このトンファーとやらを作ったのは私じゃないから作った本人に聞いてみてはどうかね? 偏屈者だが腕は確かだ。セシルちゃんも知ってる人だから行ってみるといい」

「あぁ! これ、あいつの作品なの ⁈  どうしてこんな武器がここにあるのか不思議だったけど納得出来たわ」

 セシルと店主の言葉を聞く限り、かなり癖の強そうな御仁みたいだ。

 しかし、この素材を加工出来る可能性があるのなら行ってみるしかないか…

「そう言えば、エルフのパンツについて何か情報は入ったの? 私そろそろ貴族狩りしようかなんて本気で考えているんだけど」

 俺の真剣な表情と言葉に部屋にいる全ての人が後ずさる。

 いや、そろそろ本気で人前でパンツ履き替えるのはどうかと思うのよ? それに今の私なら国を相手にしてもそこそこいけそうだし…

「ま、不味いです、あの目は本気でこの国と殺るつもりです! 店主! どうなっているのですか? このままではこの国は悪魔に飲み込まれてしまうですよ? 」

「ちょっと ⁈  奴隷になって早々に、国と殺り合うなんて勘弁してよ? セル爺、早く知ってる事をさっさと吐き出しなさい! 」

「むぅ……そうは言っても、必要な素材の事ぐらいしか分かってないからねぇ。この国が滅ぶのも嫌だし、エルフ奴隷を持つ悪徳貴族でも探した方が楽な気がするよ」

 ん?こちらの世界のエルフパンツの素材が分かったのか? それは朗報だ! 

「店主! 素材は何を使って作るか分かったの? それなら何とかなるかも知れないから教えて! 」

 俺の店主への強烈なアプローチにシロとセシルの動きが止まる。

「そうは言ってもね…『シルクスパイダーの糸』に『水竜の鱗』そして『フェンリルの毛』だよ? フェンリルの毛なんか誰も用意出来ないんじゃないかな? 」

 店主は苦笑いを浮かべながら教えてくれるが、最難関のフェンリルの毛は何とかなる! 最悪青い毛玉をバリカンで刈ればいいだけだ…そうなるとシルクスパイダーの糸と水竜の鱗があれば作れそうだな。

「ドラゴンファンタジア」でのエルフの下着に必要な物は『フェンリルの毛』と『エンペラードラゴンの牙』に『デススパイダーの糸』と、どれもこれもレイド級のボスばかりだったので諦めていた所だ。



「なら、ご主人が集まるのはシルクスパイダーの糸と水竜の鱗だけですね。これなら国が滅びるのを回避出来そうです」

「良かったわ…一番面倒な物が既にあるから何とかなりそうね。セル爺、シルクスパイダーと水竜の居場所を早く見つけて頂戴。それで世界は平和になるわよ? 」

 俺達の会話に目を白黒させる店主。

 しかし、これで次の目的は決まったな。

「そうと分かればセシルも知っているトンファーの作り手の場所に急ごうか。店主は悪いけど他の2匹の場所を調べておいてね。後、これは装備品の代金ね」

 金貨を50枚ほど取り出して、唖然としている店主のいるカウンターに置いていく。



「何だお前ら? ここは俺の鍛冶場だ。用がなければ帰れ! 」

 ずんぐりした髭面のおっさんに怒られたが俺は気にしない。

 それどころかおっさんの手を握って握手を強要するぐらいだ。

「ナイスドワーフ! 貴方こそ、本当のドワーフだ! 」

 ハイテンションな俺をシロやセシルはドン引きしながら見ている。

 身長は俺とさほど変わらないのに横幅が3倍以上もある上に、筋肉質なこの体。

 ワイルドな伸ばし放題のヒゲは意外と長さが整えられており、ドワーフの美学を感じさせる。

 何より、腰につった手斧がドワーフの魅力を倍増させている! 

「これだこれ、私がドワーフに求めていたのはこれなんだよ! 最近の女ドワーフのロリ化もそれはそれでいいものだけど、やっぱりドワーフと言ったらこうじゃなくちゃ」

 ドワーフの肩をバンバン叩く俺に、当人のドワーフも困惑気味だ。

「おいセシル……この異様なエルフはお前のか? 言っちゃあ悪いが、こいつ本当にエルフなのか? 俺が知ってるエルフ達を軒並み破壊する勢いがあるぞ?こいつ」

「その子は本当にエルフよ。ただ、ここまでドワーフ好きとは知らなかったけどね? それに今の私はその子の奴隷なの。良かったらその子の話を聞いてくれないかしら? 」

「お、おぅ……そうなのか、そりゃ大変だな。こんな奇天烈エルフに拾われて。おい、そろそろ俺のヒゲに頬擦りするのをやめねえか。取り敢えず話だけは聞いてやるから…だから腕や腹を触るんじゃねぇ! 何なんだよこのエルフ。どっか壊れてるんじゃねえのか?」

 思う存分ドワーフを楽しむ俺に、3人の可哀想なものを見る目が突き刺さるがこの時を逃したらドワーフに永遠に会えない可能性もあるので恥も外聞も関係無いと俺は俺の思うがままにしている。

「はぁ…もういいや。取り敢えず俺に聞きたい事があるなら早くしてくれ。これでも俺は暇じゃ無いんだ」

 俺を貼り付けたまま鍛冶場に入るドワーフに防具屋で話した事をそのまま話し、世界の守護者の鎧の欠片とトンファーを見せてみる。

「こりゃ……お前さんらとんでもないもんを持ち込んでくれたな。『神鋼』なんて久しぶりに見ちまったぜ」

 溜め息をつきながら欠片を見ているドワーフが俺達にこの素材の本当の名前を教えてくれたのだが、3人共聞いたことの無い名前なのでドワーフに解説を求める。

「神鋼ってやつはこの世界でも聖剣を作る時ぐらいにしか使われない幻の鋼材だ。基本は『聖教会』と言われる聖剣を貸与する協会でしか扱われない品で、勇者が現れた時に託される聖剣を作るのに必要なもんなんだが…お前ら、これを何処で手に入れたんだ? 」

 ドワーフの鋭い眼光が俺達を見ているが、浮かれてしまった俺はついつい本当の事を言ってしまう。



「世界の守護者を倒したら出てきたよ」



 正確には倒したではなく、潰したなのだがあまり変わりはしないだろう。

 因みにドワーフさんは、白目を向いて気絶していました。





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