美味しい契約

熊井けなこ

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二章

11 ミソチゲ

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スペインに着いてすぐ携帯が壊れた。

「……凄く嫌な感じ…」

「携帯が壊れたらそりゃ嫌な感じだろ。
iPadとかと同期して?…無いか。
ジンさんの番号知らないな…
向こうの事務所に聞けば分かるだろ。」

空港から仕事に向かうクルマの後部座席、崩れるようにシートに寄りかかると、視線が膝と同じくらいの高さになり隣にいるナムがいつもより大きく感じて頼れる男とホント子供みたいな俺。
…年齢差は気にしないようにしていても、結局俺は精神年齢も低い。

運転手には俺達の日本語は分からないはずだからプライベートな事も気にせず話した。

「……初めて…エッチを拒否られた。
どうしよう。
携帯も壊れたし…
ジンに会えない…立ち直れない…」

「ジョン…何やらかしたんだ?
あ、言いたくないなら言わなくてもいいぞ?
聞くのが怖いから。」

「………愛人になってもいいよって…」

「は?…っえ?!
…ジンさん結婚するの?!」

「しても良いよ、って話した。
それでも俺は愛し続けるよ、って。
…愛する人には幸せになって欲しい。
俺には幸せに出来なそうも無いから…」

前屈みになり膝に肘をつき頭を抱え出すナム。
同じくらいの目線になった。
こうしてナムに相談する時間もあるから、仕事も悪く無い。

「……なんでジョンじゃ幸せに出来ないんだ?
そんなのジンさんにしか分からないし、
そもそも…ジョンに幸せにして欲しいって
ジンさんは思ってるのか?
そんな人任せな事…
じゃあ逆にジョンはジンさんに
幸せにして欲しくて一緒にいるのか?
……相手の幸せを願うのは当然だけど
幸せにしてあげる、って思う事は
そもそもエゴ…」

「…俺は自分の幸せは諦められるんだ…」

「そんな……
それじゃジンさんと別れるのか…?」

「別れたく無いから…
少しでも一緒に過ごす時間があればと思って
……愛人って…」

「……はぁ……
一般的じゃない家庭で育ったんだとして
それが悪い事だとも思って無いけど…
ジョンの両親が上手くいってたのは
ごく稀なケースだぞ?………ジンさんは
凄くシンプルな愛し方をする人に見えるけど
ただジョンが好きで一緒にいるように見える。
そんなお前もシンプルに愛してるんだろ?
だから上手くいってるんだと思ってた…」

ナムの言葉で少し気持ちが軽くなる。
同時に涙が溢れそうになる。
涙を堪える俺にナムの手が伸びて来て、頭をクシャクシャと撫でられた。涙を堪える代わりに…つい本音が溢れる。

「……けど……子供…産めない………」


幸せって難しい。

愛するって難しい。


こんなに難しいと思わなかった。

けど、難しくても、ジンを思う気持ちを自分では止められない。

ジンを不幸にしてまで自分の幸せを優先してしまいそう……



ジンに会いたいのに、ジンの声が聞きたくてしょうがないのに、壊れた携帯を握りしめたままジンに電話する事を躊躇した。

そして1週間ギターの仕事に専念した。
…ギターを弾いても、ラブソングを唄っても、誰かが作ったご飯を食べても、冷たい風が枯れ葉を飛ばしても、空に輝く月を見上げても、抱きしめる体が無いまま朝の光を感じても、……電話をかけれなかった。

不幸にしてしまわないように、我慢した。



躊躇。

我慢。

後悔。

ジンと俺の気持ちについて考えてたら、考え過ぎて行動に移せなかった。
日本に戻ってすぐ携帯を直したけど、基本ジンと連絡をとる為の機械でしかないそれ。
電源を入れるのも今更な気がして怖くなってしまった。


10日ぶりくらいに帰って来た自宅。
ただ、ジンが生活している所に戻って、ジンの顔を見たら気が楽になるかと思ったのに…誰もいない、静かな、もぬけの殻な家は、ただの廃墟で…自分が死んだみたい。

あれ…?

俺、ホントに死んだのかな?

こんなにも廃墟で空虚な場所だったっけ?


幽霊になったように幾つもの部屋を歩き回った後、玄関の床に膝をついた。

足にも手にも力が入らないけど…俺、ジンと、また会えるよね…?
会う事さえ出来なくなったような絶望感。

離れたら…俺は廃人だよ。
会えないってだけでこんなにも怖いのに、何が愛人?
誰が愛人になれるって?

なんの覚悟も出来てないくせにジンと離れて待つだけの男になれると思った俺が馬鹿だった。

まだ間に合うかな…

ジンに会いたい一心で震える指で携帯電話を操作した。
…電話を鳴らす。けど繋がらない。

メッセージを確認すると数件溜まっていた。

『携帯壊れたんだってね。
このメッセージは読まれずに消えたりして。
…信じて言うけど…
ジョンのバカ。バーーーーカ。
バカになろうって言ったけど、違うだろ。
愛人は違うだろ…』

…うん。違う。
イイ子になって愛人になろうと思ったけど、俺には無理だ。
こんなにもバカだから。


『ごめん、ジョン、約束したけど…
僕だけ韓国に行ってくるね。』

…約束…?
韓国に一緒に行く約束の事だよな。
まさか他の約束の事も含まれる…?


『ジョン、会いたい。
ジョンに会いたい。もう一度だけでも…』

うん。会いたい。
ジンに会いたい。
もう一度……?…だけ……?


無音の世界にドアが開く音がして見上げる。

開いた隙間からジンの姿。

視線は重なった瞬間から外れない。
外れないどころか瞳がだんだん大きくなり歪む目元や口元。

なんて声をかけたらいい…?

ジンは手にしていた荷物を落として、涙を堪えるように表情が堅い。
フラフラと俺に近づくジンを抱きしめる為に俺も立ち上がる…視線はジンのまま、覚束ずフラフラしてしまう。
伸ばされた手が伸びて来て頭に回されると同時、受け止めた身体は思ったより勢いがあって更にフラフラしたけどどうにか立ったまま…ジンの身体を抱きしめ返した。
強く。

「……会いたかった…」

「うん、僕も…」

「……ごめん…」

「………」

強く強く抱きしめると、顔を手で包み込まれ、頬を抑えられながら、食い付かれるようなキスをされた。

「……ジン…」

「…ん…ジョン…」

「……ごめん…」

「………謝らないで…」

……こんなにジンを傷つけて、謝らずにはいられない…
涙を零し、身体を強張らせながら、キスを繰り返して来る。
深く舌を絡ませて、呼吸も会話も最低限。
ジンの舌の勢いに応えるだけで俺の身体は熱くなった。

コートの中のセーターとTシャツを捲り、ジンの強張る身体に両手を這わせる。
…素肌をなぞるだけで跳ねて震える。
ベットで愛撫を重ねた後くらいの感度の高さ。
俺も我慢出来ずにジンを抱きかかえて、玄関から一段高いフロアーマットの上にジンの背中を支えながら倒し、上からキスを…顔や首に沢山落とした。
下から伸びて来る手は髪の隙間を彷徨ったり、後頭部を押さえてキスを深くしたり、俺の服をいつもより荒く大胆に脱がしてく。
そんな手の動きに翻弄されつつ俺もジンのコートやセーターを脱がしていった。
2人の熱で寒さなんて感じない。
胸の突起を舐めようと舌を伸ばした瞬間、ジンと目が合った。

……涙で潤んでる瞳の奥、強い視線にいつもと違う意志の強さを感じて反射的に目を細める。

蕩けて流されてくれる雰囲気じゃない…

その意志は……
答えを出した……?

"もう一度…だけ"……なの…?

だからこんなに激しくやろうとしてるの?


舌で転がした胸の突起を思い切り吸い上げた。
ビクンと反り返る身体は快感に溺れる事なく俺に手を伸ばしてくる。
ウエストボタンを外しチャックを下ろされ…

俺は俺で舌を動かし、出る筈もない甘い蜜を味わうように舐め取り容赦なく吸い上げ続ける。
片方ずつ交互に、空いた方は指で転がしながら、感じて跳ね続ける身体なのに、上半身を起き上がらせて背中を丸め、俺の下半身に顔を近づけたと思ったら強く吸い上げられた。
更に舌を絡めてきて続く快感。
一点を急に快感へ導かれ床に崩れてしまう。

「………っ……ぁっ……ジっ…ン…?」

「………んッジョンッ、…すきっだよ…」

ジンはそのまま、近くにあった自分のコートのポケットからハンドクリームを出して自分の後ろへ…多分自分で馴染ませ始めた。

「……ジン…、激しいのは嬉しいけど…」

「…いいにゃら…このまま…」

ジンのお尻を引き寄せ、2人で横になりながら相手を舐めた。
ジンの指を抜き、俺の指を入れると中がうねる。
同時にジンは苦しそうなのに舌を絡ませ吸い付きを強くする。
指を動かすとジンがビクビクと震える。
下半身を俺から逃げるようにして一瞬身体が離れたけど…ジンが俺のモノを捉えてすぐ、ずぶずぶと満たされていく。

「……ジン……っすごい…けどっ……」

「……っけど、な…に……」

ジンも感じてる筈なのに、一生懸命動いて…度が過ぎる程、快楽を求めてる。

「……もう一度だけって……なに…」

少し横になっていたジンの体を正面に持ち上げると、俺の上で震えて悶えて崩れてを繰り返す。
上向き、正面で向き合うジンのモノからは
溢れる液を光らせながら。

「……あっ…あっ……あんっ……」

声もいつもより甘く響いてる。

「ねぇ……?」

確認せずにいられない。
こんなに乱れるジンは何かを隠してそう。
"もう一度だけ"…そんな意志だったらどうしよう…

このまま離したくない。

下から首に手を伸ばして掴もうとしたその時…

「……ジョンを好きなんだよっ…
…ジョンじゃないとダメなんだよ…
…こんな身体にしといて…
逃げるなんて酷い………バカ…バカ…」

もがきながらも声を絞り出し、俺を睨んで涙を更に流し出した。
ポタポタと腹に落ちてくる涙は温かい。

首へ伸ばした手で頬の涙を拭うと同時に、上半身を起こし、反対にジンの背を倒した。
ゆっくり、見つめ合いながら。
繋がりながら。

緩々と…出来るだけ強くは動かないようにして、キスをしながら…こんな時に…しながらでも、すれ違いたくないし、…卑怯でも、今更でも、……離したくない。

離したくないけど…不幸にもしたくない。

「…ジン…利己的に考えて。
俺と過ごして…この先もずっと、
俺と過ごす事はジンにとって損?特?
…幸せ?……不幸にしそうで怖いんだ…」

「損得なんて…損なわけないし、
そんなふうに考えられるわけない。
幸せにして欲しいわけじゃない。
僕が…ただ今の感情だけで考えても、
将来の事を利己的に考えても、
誰かを傷つけるんじゃないか…とか
子供が欲しくなるんじゃないか…とか
気持ちが変わっちゃうじゃないか…とか
いろんな不安、全部、
全部…どんなに考えても…
………こうしてジョンといたい。
それが、僕の……気持ち。
ジョンに幸せにして貰うわけじゃなくて、
ジョンと1日1日、一緒にいたい。
何日か離れて過ごしたとしても、
気持ちは一緒に…
約束を繰り返して
2人が幸せになるように
2人して努力したり…求めたり…
……今回みたいにもう離れたくない…」

拭っても拭っても泣きながら話すジンを、近くで繋がりながら見つめていた。

「…ほんとは、
韓国にジョンと一緒に行きたかったけど…
すぐにでも断った方がいいと思ったし…
ここに1人でいれなかった
…自分が壊れそうで……」

ジンの気持ちが痛い程伝わる。
…信じて…尊重して…

2人で努力か……

緩々と動かしていた腰を、奥へ強く沈める。

甘い声をあげながらも強い視線のジン。

「……あっ……ジョンッ……約束っ…
2人で約束っ…して…守る努力…」

「……んっ……っ…
……スペインで……俺も…
ジンをっ……思いながらっ
写真を撮って来たよっ……約束したから…」

…安心したように微笑むジン。
笑顔も大好き。愛してる。


……幸せにするのは難しいだろうけど、約束は守るし……今、ここでジンを天国へ連れて行けたら…

ジンの腰を持ち上げるように強く引き寄せ、自分の腰も奥へ強く速く突く。

快楽の最中、強張る身体から出るものは溢れて、暫く止まらなかった。
力が抜ける身体に引き続き動き続けると朦朧の意識なのか、うわ言のように鳴き出し
身体が痙攣するように跳ね、汗がバァッとジンから出て全身を包む。
そんな身体が俺のに吸い付いてきて、うねりには耐えられる筈もなく…絶頂を迎えた。

意識を失ったジンをベットに運び、身体を拭き、毛布で包んでおく。

俺がシャワーを済ませて戻る頃、寝ぼけたように少しだけ意識が戻るジン。
抱き合いながら眠りにつくんだ。




・・・・・🦋・・・🦋・・



日本へ戻り、ジョンと抱き合って眠りについた次の日。
2人空腹でフラフラな状態。
暖房が間に合わない冷えたキッチンから身を守るように毛布を被ったジョンに、後ろから包み込まれる。

毛布はフワフワだし、ジョンの温もりと素肌の感触が気持ち良い。
料理しながら動くとジョンのモノが当たって少し硬さを主張してくるけど、ろくにご飯も食べて無いのに昨夜激しかったから…すぐに何か食べないと2人共倒れてしまう。


ジョンが以前炊いたご飯の冷凍と、スープを煮て簡単にチゲを作った。
韓国で仕入れた調味料で甘辛い味噌チゲ。

後ろでは待ちきれず韓国海苔を食べ始めてる。

「…出来た!早く食べよう!」

「……はい、あーーん…」

後ろから覗き込まれて海苔を口に。

「俺にも…あーーん…」

眠いんだろうからベットに寝ててと言っても、聞かずにキッチンへやって来たまま寝ぼけているジョン。
立ちながらチゲをスプーンに取り僕の息で冷ました。

「フーっ…フーっ…出来たてで熱いからね?
少しずつ飲んで。はい、あーーん…」

口元に運ぶと大きな一口でスプーンが口へ…

「熱っ!」

「ごめん!チョットずつ食べてっ?」

「……ん、うまー…」

「え?大丈夫?火傷してない?」

「大丈夫ー…」

「味の濃さは?薄い?辛くない?」

「大丈夫ー…丁度良いー…美味しい…」


味の濃薄は好みがある。
大抵の料理は少し薄めに作り、食べる人に合わせていく。
他人には…親にさえ、味付けを合わせる仕上げをするのに…ジョンはいつも僕の好みのまま文句も言わず美味しい美味しいと食べてくれる。

ジョンが僕に合わせてくれてるのか、運命のようにピッタリ合った味覚なのか…


「……運命だよね…」

「え?何?」

隣で立ったまま作業台に寄りかかり、皿によそった味噌チゲを頬張っている。

「……いや……僕が作ったご飯を
美味しく食べてくれるジョンがいるだけで、
僕の人生は幸せなんだよ。」

「……ジン……
俺はジンのご飯が食べれる人生なら幸せ…
……あと笑顔のジンと、エロいジンと…」

「はいはい…ジョンの方がエロいけどね…」

「あ、ジンの仕事の面でも
俺が出来る事はするから。協力。」

「いや、いい。
自分の事は自分で。仕事は仕事だから。」

「だって今回…」

確かに仕事よりジョンを優先しちゃう事も増えたけど…
 
「お互い仕事は仕事、
今まで通り頑張ろー!」

「おー!!まぁ…
収入安定しないのは俺の方だろうけど!」

クシャっと照れたように笑うジョン。

「…ジョンなら大丈夫なのに何言ってるの。
まぁ、ジョンがどうなっても僕は大丈夫。」

「俺だって…とにかく、
いざって時は!ジンは俺に頼る事!」

……笑いながら少し寝ぼけてふざけてるのかと思いきや…

「約束。」

低く落ち着いた声の囁き。
真剣な鋭い瞳に近くで見つめられ、唇が重なる。


ジョンとの守り守られていく約束。

この約束は永遠だと思える僕は、自分でも驚く程ジョンを愛してる。


恋人契約は、これからも約束とてして守られていくはず。



「まず…これからも浮気は絶対しちゃダメ。
約束ね。」

「おー…ジンから言われるの新鮮だねー…
可愛い、ジン。」

「ちょ、歳上馬鹿にしてる?
誤魔化してる?
ダメだよ?約束だよ?」

「ふはっ馬鹿にしてないよ!
誤魔化してないよっ!約束。
ジンもね?
2人きりだと食事も浮気だからー…」

「え?そうなの?!
あ、ジョンだとそうだけど、
僕は仕事で普通にありえる…」

「…なにそれ、なんで俺だとそうなの…
はい、早く食べて。
食べたらまたベット行き決定。
あ、それともココでまた始めちゃうよ?」



これからも、僕とジョンなりのいろんな約束が交わされていくだろう。


2人の間には、甘い契約と時々切ない…愛の約束。




僕の永遠の恋人、ジョン。

これからもずっと一緒にいて。




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