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ラグーン

情報屋

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「…嵐が去った…」
「ですね…
 改めてお礼を言います、助けて頂いてありがとうございます」
「あぁ、良いよ、僕が勝手にした事だからな」
「そう言って頂けると、有り難いです
 お礼と言っては何ですが…さっきの少女の情報を差し上げます」
「いや、関わるつもりないから、情報いらんよ」
「ふふ、あなたがそうであっても、相手も同じとは限らないですからね」

そう言われ、ユウキはウグッと詰まる
少女の事は何も知らないが、このまま忘れてくれる…とは思えない

「この情報は役立つと思いますよ
 彼女の名前は、ユメ・ハルグレート
 このラグーンを統治しているラルフ・ハルグレートの娘です」
「え…統治してる人の娘が、あんな感じで大丈夫なのか…?」
「心配なのは、分かりますが…統治しているのは、父親なので
 娘がどうこうは、あまり関係ありません
 父親自体は、穏和で統治に全力を尽くされています
 まぁ、娘には少し甘いようですが…
 でも、それも普通の父親の許容を出ない範囲ですし…
 彼女が妄想少女と呼ばれてしまうのは、元々の彼女の気質なのでしょうね」
「…それは、父親も可哀想だな」
「まぁ、それは仕方ないとしまして
 彼女は、自分の気に入ったものは、自分の手元に置いておきたい主義です」
「うげっ…それ、絶対メンドクサイパターンだ…」

ユウキの場合、性別をきちんと告げれば問題ないはずなのだが
本人、そのつもりは、あまりないようだ

「過去に、何度か男の子を我が物にしようと
 父親に相談して、父親も出来るだけ彼女の気持ちに添えるように
 男の子の家を訪問してお願いしに行っています
 まぁでも、強制ではないので、拒否する事は出来ます
 実際に、何人かは断っていますし」
「うん…大変だな…」
「そうですね」
「ていうか、あの子は、妄想少女という名前で通ってるのか?」
「えぇそうですね、妄想少女という称号を得ているのは
この街では、彼女だけなので、彼女の事を指していますね」
「称号って…?」
「称号というのはですね、街レベルでその名で知れ渡ると得られます
 彼女は、この街では知らない人はいないレベルで、周知されています
 その場合『妄想少女』という称号を手に入れる事になります」
「へぇ~、そうなんだ…」

女性は、ユウキが頷いたのを見て、時計を確認する

「すいません、私、急いでいますので
 申し訳ありませんが、失礼いたしますね」
「あぁ、情報ありがとうございます!」
「いえいえ、助けて頂いたお礼ですので
 もし、必要な情報がありましたら
 セリア通りにあります『ウサギの耳』にいらして下さい
 色々な情報を取り扱っていますので」

女性は、そういうと、お辞儀をして去って行った
ちなみに、周りにいた人達は、先程妄想少女が去った辺りで
自然解散となっていた
きっと、彼女が来なかったら、ユウキはまた囲まれたに違いない

(いつの間にか、あの男もいなくなってんな
 なんか、単なる人助けが大騒動になったな…)

若干疲れを感じつつ、ユウキは自宅に向かう
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