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大狼の目的
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「君は凄いね、魔力を解放するだけでこんなにも恐ろしく見えてしまうなんてね・・。」
大狼はコキコキと首の骨を鳴らしながらそう言うと、足に纏っていた黒毒爪解除する。
と、同時に大狼は私に対して、自身の身体能力だけを発揮する噛みつきをお見舞いしてくるのであった。
大狼の戦意がなくなったと感じた私は、見事な不意打ちを食らってしまう。
が、それは生身の場合の話だ。
魔法少女となった今の私にとって、今の大狼はただの犬と同然なのだ。
大狼は噛み付いた私の肩に噛み付いた感触がしなかったのだろう。
何度も何度も、顎を動かした大狼に私は咎めるように言い聞かせるのであった。
「貴方程度じゃ何をしたって私の身体に傷なんて入らないわ」
大狼の盾をも貫く鋭い犬歯が私の肩に食い込むことはないだろう。
何故ならば、今の彼は私の魔法少女の能力慈愛の対象になってしまっているからである。
慈愛の対象となった者は、私の害になる全ての行いをすることが出来なくなる。
現状で例えると、大狼の噛み付くという行為が、私が傷つく行為、つまり害ある行為とみなされ大狼は噛み付くことしか出来ない。
大狼は私の肩を噛むことが出来ずに、あくせくとしていた。
しばらくして大狼は首をブルブルと振り、
「まだ確証出来ない・・。ボクの魔女はもっと凄いはずなんだ・・。」
と、自分に言い聞かせるように独り言を呟く。
「気が済むまで来ていいよ。ただそれが終わったら大人しく私たちのところからいなくなってね」
「ボクを相手に、よくそんな啖呵が切れたモンだね!」
大狼はそう吠えると、体重を前に傾け、前足を曲げて前傾姿勢をとる。
大狼は奥歯を噛み締めて、唸り声を上げる。
地響きのようなその唸り声は人に恐怖を与える。
レーネはおろか、眠りについていたミリアンヌもその声に反応するかのように目を覚ます。
「何これ・・!?どういう状況なの?」
「ミリアンヌ落ち着いて・・。私がなんとかするから」
ミリアンヌに振り向き、私は彼女を安心させるように笑顔を向ける。
「女神様だ・・。」
ミリアンヌのその言葉に私はハッとする。
今の私は、前世の姿のため彼女には別人に映ったのだろう。
何て説明しようと悩んでいたが、すぐにその考え私の頭のなからなくなってしまう。
大狼が暗闇も飲み込むほどの大きな口を私とミリアンヌのいる方向に向けて開ける。
『黒曜の咆哮』
次の瞬間大狼の口から漆黒の光線が私たちに襲いかかるのであった。
その光線を浴びながら私は大狼に哀れみの眼を向けてしまうのであった。
大狼はコキコキと首の骨を鳴らしながらそう言うと、足に纏っていた黒毒爪解除する。
と、同時に大狼は私に対して、自身の身体能力だけを発揮する噛みつきをお見舞いしてくるのであった。
大狼の戦意がなくなったと感じた私は、見事な不意打ちを食らってしまう。
が、それは生身の場合の話だ。
魔法少女となった今の私にとって、今の大狼はただの犬と同然なのだ。
大狼は噛み付いた私の肩に噛み付いた感触がしなかったのだろう。
何度も何度も、顎を動かした大狼に私は咎めるように言い聞かせるのであった。
「貴方程度じゃ何をしたって私の身体に傷なんて入らないわ」
大狼の盾をも貫く鋭い犬歯が私の肩に食い込むことはないだろう。
何故ならば、今の彼は私の魔法少女の能力慈愛の対象になってしまっているからである。
慈愛の対象となった者は、私の害になる全ての行いをすることが出来なくなる。
現状で例えると、大狼の噛み付くという行為が、私が傷つく行為、つまり害ある行為とみなされ大狼は噛み付くことしか出来ない。
大狼は私の肩を噛むことが出来ずに、あくせくとしていた。
しばらくして大狼は首をブルブルと振り、
「まだ確証出来ない・・。ボクの魔女はもっと凄いはずなんだ・・。」
と、自分に言い聞かせるように独り言を呟く。
「気が済むまで来ていいよ。ただそれが終わったら大人しく私たちのところからいなくなってね」
「ボクを相手に、よくそんな啖呵が切れたモンだね!」
大狼はそう吠えると、体重を前に傾け、前足を曲げて前傾姿勢をとる。
大狼は奥歯を噛み締めて、唸り声を上げる。
地響きのようなその唸り声は人に恐怖を与える。
レーネはおろか、眠りについていたミリアンヌもその声に反応するかのように目を覚ます。
「何これ・・!?どういう状況なの?」
「ミリアンヌ落ち着いて・・。私がなんとかするから」
ミリアンヌに振り向き、私は彼女を安心させるように笑顔を向ける。
「女神様だ・・。」
ミリアンヌのその言葉に私はハッとする。
今の私は、前世の姿のため彼女には別人に映ったのだろう。
何て説明しようと悩んでいたが、すぐにその考え私の頭のなからなくなってしまう。
大狼が暗闇も飲み込むほどの大きな口を私とミリアンヌのいる方向に向けて開ける。
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次の瞬間大狼の口から漆黒の光線が私たちに襲いかかるのであった。
その光線を浴びながら私は大狼に哀れみの眼を向けてしまうのであった。
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