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6.二人の始まり
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side:キイラ
ローレンツさんと二人きりで過ごすのが楽しい。
俺が知らない沢山のことを教えて貰える、知りたいことは沢山ある、いくら過ごしても足りないくらい今の時間が幸せだ。
いつの日か、この家を出ていかなければならない日が来るのかと思うと恐ろしい気持ちになる。ローレンツさんと離れたく無い気持ちが日に日に大きくなって行って、自分では制御が出来ない。
もし、自分が寝ている間に彼が何処かへ行ってしまったらどうしよう。とありもしない想像で不安になる日々だ。依存しているのは分かっているが、気持ちを止めることが少しも出来そうに無い。
その日の夜は窓の外に光る月が余りにも綺麗だったのだ。身体を撫でるような優しい風が吹いていたし、空気も澄んでいて、出掛けるのであればうってつけだった。
俺はいつもの想像から抜け出せなくなって、真夜中にローレンツさんの部屋の扉を叩いた。少ししてから彼は眠たそうな眼を擦りながら扉を開けてくれた。
「どうした?」
起こしてしまったのが申し訳なかったが、顔が見れて心が落ち着く。こんなわがままを言っていいのか分からなかったが、昂る気持ちを抑えることが出来ずに、彼の寝巻きの裾を掴んだ。
「……ここで眠っても良いですか」
拒否されたらどうしよう。いや、それでも、顔が見れただけでも良かったじゃないか。
「入れ」
ローレンツさんは理由も聞かずに俺を部屋に招き入れた。今、俺はどんな顔をしていたのだろうか。きっと、迷子の子供のような、そんな顔をしていたのだろう。
彼はシングルサイズのベッドの奥に、隣を開けるように寝転がった。隣に入っても良いと言う事だろうか。
少しだけ緊張しながら隣に入る。布団の中に感じる彼の体温が暖かくて、なんだか泣いてしまいそうだった。
「……ローレンツさんが起きる時に、起こして」
朝、知らないうちに貴方が居なくなっているかも知れないと思うと、胸がはち切れそうな程に痛いから。
「ああ」
「おやすみなさい」
彼の背中に自分の背中をくっつけて目を閉じる。心地よさに直ぐにでも眠ってしまいそうだ。
「次は枕を持ってこい」
次も望んで良いんだな。微睡む頭の片隅で彼の優しさに触れながら、俺は暫くしたら眠りに落ちた。
ローレンツさんと二人きりで過ごすのが楽しい。
俺が知らない沢山のことを教えて貰える、知りたいことは沢山ある、いくら過ごしても足りないくらい今の時間が幸せだ。
いつの日か、この家を出ていかなければならない日が来るのかと思うと恐ろしい気持ちになる。ローレンツさんと離れたく無い気持ちが日に日に大きくなって行って、自分では制御が出来ない。
もし、自分が寝ている間に彼が何処かへ行ってしまったらどうしよう。とありもしない想像で不安になる日々だ。依存しているのは分かっているが、気持ちを止めることが少しも出来そうに無い。
その日の夜は窓の外に光る月が余りにも綺麗だったのだ。身体を撫でるような優しい風が吹いていたし、空気も澄んでいて、出掛けるのであればうってつけだった。
俺はいつもの想像から抜け出せなくなって、真夜中にローレンツさんの部屋の扉を叩いた。少ししてから彼は眠たそうな眼を擦りながら扉を開けてくれた。
「どうした?」
起こしてしまったのが申し訳なかったが、顔が見れて心が落ち着く。こんなわがままを言っていいのか分からなかったが、昂る気持ちを抑えることが出来ずに、彼の寝巻きの裾を掴んだ。
「……ここで眠っても良いですか」
拒否されたらどうしよう。いや、それでも、顔が見れただけでも良かったじゃないか。
「入れ」
ローレンツさんは理由も聞かずに俺を部屋に招き入れた。今、俺はどんな顔をしていたのだろうか。きっと、迷子の子供のような、そんな顔をしていたのだろう。
彼はシングルサイズのベッドの奥に、隣を開けるように寝転がった。隣に入っても良いと言う事だろうか。
少しだけ緊張しながら隣に入る。布団の中に感じる彼の体温が暖かくて、なんだか泣いてしまいそうだった。
「……ローレンツさんが起きる時に、起こして」
朝、知らないうちに貴方が居なくなっているかも知れないと思うと、胸がはち切れそうな程に痛いから。
「ああ」
「おやすみなさい」
彼の背中に自分の背中をくっつけて目を閉じる。心地よさに直ぐにでも眠ってしまいそうだ。
「次は枕を持ってこい」
次も望んで良いんだな。微睡む頭の片隅で彼の優しさに触れながら、俺は暫くしたら眠りに落ちた。
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