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4.キイラの独白 ※この話には攻めが強姦される表現が含まれます
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俺がシミオン・イェレミースだった頃の話だ。
決して裕福な家庭ではなかったけれど、最初は幸せだった。
街の外れに位置する小さな民家に母親と二人で暮らしていた。父親は居ない。もしかしたら俺がある程度大人になった時に父親について話そうとしたのかもしれないが、その機会は得られぬままに、俺が六歳になった位の頃に母親を失った。
一人で働き俺を養ってくれていた強く美しい母親は、勤め先の事故で帰らぬ人となったのだ。
親戚も居らず、身寄りのない俺は街の教会へと預けられ、そこで仕事の手伝いをしながら他の身寄りのない子供達と一緒に暮らすことになった。
仲間が居たから寂しくはない。時折、母親の事を思い出して涙が出る日もあったが、それでも教会の子供達は俺に優しく、俺も目一杯それに応えたつもりだ。
そんなある日のこと、俺に魔法使いの素質がある事が発覚した。七歳の時のことだ。
魔法というものは誰も彼もが使える訳ではなく、光の精霊ルーゲルから選ばれた者のみが与えられし人智を超える力である。と言うのが通説だ。
故に、魔法使いたちは魔法を使わざる者達の為にその力を行使しなければならない。自分だけのために力を使うのは許されざる行為である。と、今までも教えられてきた。
その力が自分にある事には驚いたが、同時に誇らしくもあった。
たまたま、この教会の神父であったリチャードさんは魔法の使い手でもあった。俺は、リチャードさんの側に付き、魔法を教わる事になった。
リチャードさんからは癒しの魔法を教わった。そして、沢山の人を救いなさいと言われ育ち、今でもその考えは自分の根底にあるように思える。リチャードさんは優しく、厳しい人だった。
俺は彼に付いて仕事をこなして、十二歳に成る頃には街一番の癒し手となった。
俺の運命を変えてしまった出来事は、この頃に起きた。
この世界には勇者と呼ばれる英雄が存在する。彼等は圧倒的な武力で人ならざる物、魔物と対峙し、国々の平和を守る者たちの事を指す。
勇者は国毎に一人存在する。十二歳の頃の俺が暮らしていたレイヴンテールの勇者であったオックスは、癒し手を探していた。
そこで仲間として選ばれたのが、俺だった。
俺は教会での暮らしが楽しかったし、離れたくなかったから、一度は断ろうとした。
しかし、リチャードさんに「シミオン、勇者様と共に旅をし、私だけでは手の届かない者たちに救いを与えてきなさい」と説得されてしまえば、もはや断る術は残されていなかった。
決して裕福な家庭ではなかったけれど、最初は幸せだった。
街の外れに位置する小さな民家に母親と二人で暮らしていた。父親は居ない。もしかしたら俺がある程度大人になった時に父親について話そうとしたのかもしれないが、その機会は得られぬままに、俺が六歳になった位の頃に母親を失った。
一人で働き俺を養ってくれていた強く美しい母親は、勤め先の事故で帰らぬ人となったのだ。
親戚も居らず、身寄りのない俺は街の教会へと預けられ、そこで仕事の手伝いをしながら他の身寄りのない子供達と一緒に暮らすことになった。
仲間が居たから寂しくはない。時折、母親の事を思い出して涙が出る日もあったが、それでも教会の子供達は俺に優しく、俺も目一杯それに応えたつもりだ。
そんなある日のこと、俺に魔法使いの素質がある事が発覚した。七歳の時のことだ。
魔法というものは誰も彼もが使える訳ではなく、光の精霊ルーゲルから選ばれた者のみが与えられし人智を超える力である。と言うのが通説だ。
故に、魔法使いたちは魔法を使わざる者達の為にその力を行使しなければならない。自分だけのために力を使うのは許されざる行為である。と、今までも教えられてきた。
その力が自分にある事には驚いたが、同時に誇らしくもあった。
たまたま、この教会の神父であったリチャードさんは魔法の使い手でもあった。俺は、リチャードさんの側に付き、魔法を教わる事になった。
リチャードさんからは癒しの魔法を教わった。そして、沢山の人を救いなさいと言われ育ち、今でもその考えは自分の根底にあるように思える。リチャードさんは優しく、厳しい人だった。
俺は彼に付いて仕事をこなして、十二歳に成る頃には街一番の癒し手となった。
俺の運命を変えてしまった出来事は、この頃に起きた。
この世界には勇者と呼ばれる英雄が存在する。彼等は圧倒的な武力で人ならざる物、魔物と対峙し、国々の平和を守る者たちの事を指す。
勇者は国毎に一人存在する。十二歳の頃の俺が暮らしていたレイヴンテールの勇者であったオックスは、癒し手を探していた。
そこで仲間として選ばれたのが、俺だった。
俺は教会での暮らしが楽しかったし、離れたくなかったから、一度は断ろうとした。
しかし、リチャードさんに「シミオン、勇者様と共に旅をし、私だけでは手の届かない者たちに救いを与えてきなさい」と説得されてしまえば、もはや断る術は残されていなかった。
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