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2.関係性の自覚
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それから、クレアと少しだけ話して、俺は彼女の部屋を出た。
「娘と話してくれてありがとう、キイラくん」
なんとなく嬉しそうにしているカールさんを見て、先ほどの彼女との話が思い出される。
「いえ……その、良い友達になれそうだと思いました」
「それはよかったよ。仲良くしてやってくれ」
それから、カールさんに挨拶をして、俺と師匠は彼の家を出た。
自宅までの道すがら、師匠は少しだけ言いづそうにぽつりと呟いた。
「……その、なんだ、クレア殿をお前の嫁にどうだと言われたのだが、まだ修行中の身だからと言って断ってしまった」
本来なら儂が決めることではないのだがな。と言う師匠はどこか照れを感じているようだ。もしかして、俺を渡したくないと思ってくれたのだろうか。もし、そうであれば愛おしくて仕方がない。
「だって、俺はあんたの恋人だもんな」
「っ、そ、そうだが、うう……」
師匠は顔を真っ赤にしてしまっている。ああ、もう。まだ関係性に慣れないながらも、ちゃんと恋人として振る舞ってくれようとするローレンツさんが大好きだ。
「クレアは俺とローレンツさんがそう言う関係だって知ってて、応援してくれてるよ」
「話したのか?」
「カール氏があんたのこと好きだから俺とクレアを結婚させようとしてるって話しを彼女がしてたんだ、その流れで」
「馬鹿な、そんな訳なかろうに」
「なんで分かんないかなあ」
ああ、ローレンツさんに触れたい。今すぐ抱きしめて、手を繋いで帰りたい。あんたの全ては俺のものだって言いたい。
「ねえ、今夜俺の部屋で寝てよ」
ローレンツさんのこと、抱きしめて眠りたい。俺がまだ未熟で、小さな事で嫉妬してしまうなら、相手を憎むよりも、それよりも大きな愛情があると言って満足いくまでローレンツさんに触れたい。
「……わかった」
暮れてきた空を見て、少し先の未来に想いを馳せる。
こんなに幸せで許されるんだろうか。何か罰が下ったりするのであれば、ローレンツさんは巻き込まないで欲しいなあ。などと考えながら、俺たちは自宅へと帰った。
「娘と話してくれてありがとう、キイラくん」
なんとなく嬉しそうにしているカールさんを見て、先ほどの彼女との話が思い出される。
「いえ……その、良い友達になれそうだと思いました」
「それはよかったよ。仲良くしてやってくれ」
それから、カールさんに挨拶をして、俺と師匠は彼の家を出た。
自宅までの道すがら、師匠は少しだけ言いづそうにぽつりと呟いた。
「……その、なんだ、クレア殿をお前の嫁にどうだと言われたのだが、まだ修行中の身だからと言って断ってしまった」
本来なら儂が決めることではないのだがな。と言う師匠はどこか照れを感じているようだ。もしかして、俺を渡したくないと思ってくれたのだろうか。もし、そうであれば愛おしくて仕方がない。
「だって、俺はあんたの恋人だもんな」
「っ、そ、そうだが、うう……」
師匠は顔を真っ赤にしてしまっている。ああ、もう。まだ関係性に慣れないながらも、ちゃんと恋人として振る舞ってくれようとするローレンツさんが大好きだ。
「クレアは俺とローレンツさんがそう言う関係だって知ってて、応援してくれてるよ」
「話したのか?」
「カール氏があんたのこと好きだから俺とクレアを結婚させようとしてるって話しを彼女がしてたんだ、その流れで」
「馬鹿な、そんな訳なかろうに」
「なんで分かんないかなあ」
ああ、ローレンツさんに触れたい。今すぐ抱きしめて、手を繋いで帰りたい。あんたの全ては俺のものだって言いたい。
「ねえ、今夜俺の部屋で寝てよ」
ローレンツさんのこと、抱きしめて眠りたい。俺がまだ未熟で、小さな事で嫉妬してしまうなら、相手を憎むよりも、それよりも大きな愛情があると言って満足いくまでローレンツさんに触れたい。
「……わかった」
暮れてきた空を見て、少し先の未来に想いを馳せる。
こんなに幸せで許されるんだろうか。何か罰が下ったりするのであれば、ローレンツさんは巻き込まないで欲しいなあ。などと考えながら、俺たちは自宅へと帰った。
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