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第一章 宇宙の始まり

第2話 科学から見出すヒトの幸せ〜科学って誰にでも使えて便利〜

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 俺の名前はアルターイ、天使だ。
 見た目は15歳、実際は、2000歳くらいだ。
 もう、いつ生まれたかも忘れちまったから数えてない。
 2000年くらい前にいきなり天使にされてグータラしてる間に2000年くらいたってた。
 ただ、俺も好きでグータラしてるわけではない。
 天使になりたてのころは頑張ってアレコレしてたよ。
 それにアリエルとの新婚旅行もとてもよかった。
 そこで気が付いたんだ。
 どうやら、放っておいても問題はないらしい。
 何を? って?
 宇宙さ。

 俺は自分で宇宙を作っちまった。
 初めこそ戸惑ったが、やりだしたら意外に楽しかった。

 まずは、他の宇宙の見学に行った。
 そしたら、俺がヒトだったころに住んでた惑星もあったんだ。
 そこで学んだ。
「あぁ、俺たちも作られたんだな」
 ってね。
 それからは早かった。
 魔法でやりたい放題さ。
 テキトーに星を作っては動かし、作っては動かし。
 そしたら、気に入った星の一つもできるよな?
 そこにヒトを配置したんだ。
 まずは男と女を一体ずつ。
 そして、リンゴの実をだな……。
 
 って、そんなことはもういいよな?

 まぁ、でも、失敗も多かったよ。
 せっかく配置しても全滅したり、病気が流行り出したり、星の変動一つ一つにダメージを受けてた。
 それに一番の失敗は戦争だな。
 俺が昔住んでた第10宇宙は小競り合いはあっても、戦争はなかった。
 そもそも大量破壊兵器がなかったな。

 あー、それと俺の宇宙ではあるルールを決めたんだ。
 魔術や魔法は禁止だ。
 絶対的なルールだ。
 魔術や魔法を禁止にして他の宇宙より優れた宇宙にすることを目標にしてるんだ。
 他の宇宙は全部魔法アリだろ?
 他との差別化だ。
 そしたら、ヒト達はがんばったぜ?
 あ、ウチの宇宙では人とか、人間って呼んでるんだ。
 それも、差別化だ。

 ここで重要なのはアイデアがどれほどあるのか? ってことだな。
 人間はヒトと違って面白い。
 魔法が無い分、アイデアで乗り切るんだよ。

 初めの方は俺も手を貸したんだぜ?
 例えば、大雨が止まない時期には何人かの人間を選んで舟を作るように指示した。
 まぁ、言うことを聞かないヤツもいたけど、素直な人間は助かったよ。
 中には動物まで救っちまう、お人よしもいたな。
 寒くなる時期にはあったかい毛皮の動物をたくさん配置した。
 最近のウイルスは見えなかったからなんのアドバイスもできなかったな。

 あ、配置ってのは、天使のスキルだよな?
 俺もよくわかってないんだよ。
 それで、好きな生物を好きなように「配置」したわけよ。
 
 そう、それでだ。
 人間は環境に応じて適応していくのよ。
 すると、技術が生まれたよ。
 そして、科学が生まれた。
 魔術バカもたくさんいるが、技術バカや科学バカもたくさんいるんだぜ?

 そんなバカたちが一生懸命に作るんだよ。
 後世にのこるようなノウハウをよ。
 そしたら、その弟子がまた残すんだ。
 そうやって積み重ねた科学はすげーんだぞ?
 
 俺も想像できなかったよ。
 だって人間は宇宙へ出てくるんだぜ?
 俺が宇宙でフラフラしてたらロケットにぶつかりそうになったよ。

 あぁ、ロケットってのはだなぁ……。
 俺もよく知らん!
 なんせ、人間は、すごいんだよ。

 しかも、何がすごいって、科学は誰でも使えるんだぜ?

 魔術なら、できないヒトもいるだろ?
 違うんだよ。
 だれでも触れるし、使える。
 コレが気に入ってるんだ。
 魔術と魔法を、禁止にした甲斐があるってもんだ。

 おい、聞いてんのか?
 お前だよ。
 お前に言ってんだよ。



 一人の女が起き上がる。
 女はアルターイのことを睨みつける。

「この悪魔め!」

「いや、俺は天使だって言ってんだろ!やっぱり聞いてなかったのかよ!?」

 アルターイは激高する。

「話は聞いていたが、お前のやったことはただのエゴじゃないか」

「そりゃそうさ。お前もお前のエゴで宇宙を経営してるんだろ?」

「いいや、違う。私は神様の望まれる世界を作るために働いているんだ。お前のやり方は認めない」

 女も大きな声を出した。

「それなら、こっそりと俺の地球にお前の星の住民を移住させろよ。辻褄は合わせてやるからよ。それで聞いてみろよ。生の声をよ?」

「そんな話に乗るか!魔術もない不便な星に私の星の子どもたちを送るわけにはいかん!」

「そうかよ。お前なら乗ってくると思ってたんだがなぁ! 第3宇宙の天使、ガブエラさんよぉー」

 天使ガブエラにすごむアルターイはガラが悪かった。
 嫌われても仕方ないほどに。

「そこまで言うなら私が行ってやろう」

「いや、そんな先入観の塊が来ても良さはわかんねーだろ? だから、星の代表数名でいいから連れてこいって! 大丈夫だって! もうそう言う映画ができてて、みんな耐性はついてるから!」

「エイガ?」

「あーもー! めんどくせー! 俺が勝手に連れていくからな!」

 こうしてアルターイによる、第3宇宙の住民拉致計画は実行に移された。
 果たして、第3宇宙の住民に地球の良さは伝わるのか?
 そもそも、この話し合いの場も勝手にアルターイが第3宇宙にある、天使の間に乗り込んで押し付けているだけである。
 こうと決めたら曲げない信念は持っているが、いささか迷惑な性格でもあるのであった。
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