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第6話 今ある問題
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僕は、今いくつかの問題を抱えている。
一つは、先の兄への対応。
態度が180度変わった兄との距離感に戸惑っている。
二つ目は、2人のフィアンセとの距離感。
ガーベラは毎朝お稽古の師範代というポジションで関わってきている。
こちらは稽古が厳しすぎる。
もう逃げたい。
サルビアは実家の両親が、従者というポジションが気に入らないということで、未だに実家にいる。
どうやら、説得されているらしい。
また、ガーベラの実家であるストライク侯爵家からも圧力がかかっているらしい。
ストライク家としては「まずは、一人目を生んでから次の妻を」との親心らしい。
非情にめんどくさい。
三つ目は、先日連れて来たメイドのアイリスが僕にべったりなことだ。
メイドとしての仕事に支障をきたすレベルなので、フランソワがお怒りだ。
そして、王家に使えるメイドの多くがそうなのだが、貴族の家出身者が大半であるということだ。
アイリスの実家であるバルーン家は古くからある子爵家で、アイリスは当主の妾の子というポジションらしい。
王城に勤めていたはずの娘が、事後報告という形で第六王子の屋敷に転勤となってしまったのだ。
子爵家もいい顔をしなかったらしい。
僕はただ『ピュア』の効果を試したかっただけなのに。
そして、最大の問題は『ピュア』についてだ。
朝の2回のルーティンの使用をしてしまうと残りが2回で、その2回では一般人の心を大きく動かすことはできないらしい。
お兄様のときは、嫌がらせがイヤすぎて、朝のルーティンを減らした。
そのおかげで、あの有り様だが、結果オーライととらえよう。
それでも、朝のルーティンはどうしても使ってしまうのだ。
アイリスが2回で心を動かせたのは元々屋敷勤めを望んでいたのと、どうやら、僕への恋慕の気持ちもあったらしい。
なんたる偶然。
僕は陰キャモブだが、両親は美形だ。
つまり、顔だけは華やかなのである。
そう、僕は最後の『ピュア』の使用回数を一番大きな問題だと考えている。
しかし、世間は違うようだ。
一つ目がまずいのか?
二つ目がまずいのか?
いや、三つ目なのか?
とにかく、僕は、今、お母様とともに王城に緊急招集を受けている。
正直、どうでもいいが、ヘタすれば、大事件にはなるだろう。
ビビりの僕としては、行きたくなかった。
しかし、すぐにフランソワに捕まってしまったのだ。
だから、今、馬車の中でお母様とフランソワから冷たい目線で見られている。
きっと、横で僕にべったりくっついているアイリスも同罪だ。
お母様にとって唯一の子供が変な子供で非常に申し訳ない。
でも、僕にとっては他人と思えないこともないので、気にしないようにしよう。
我ながらクズだな。
王城に到着すると、お父様の執務室に通された。
王城はいつもよりバタバタしている印象を受けた。
「王、失礼します。お連れしました」
「入れ」
「はっ」
連れられて入る。
「失礼します。シャルム様、ご機嫌うるわしゅう」
きれいな礼をする、お母様。
僕も続く。
「よい、今は急ぎの用件だ。前置きは終わりだ。まずは話を聞いてくれ。おい、ラムダ、説明せよ」
「はっ。失礼します。担当直入に申し上げますと、勇者様と生活を共にしていただけませんでしょうか?」
ラムダと呼ばれる無骨な男――確か将軍――が話し出した。
「は?それはなぜでしょう?まだ、どのようなお方か、お会いもしていませんが」
「失礼いたしました。結論を急ぎすぎました。実は、勇者様がどうも城内での暮らしにご不満があるようで、街で暮らしたいとおっしゃられています。つきましては、イザベラ様と、アーサー様がお住まいの屋敷でしたら勇者様の望まれる環境が整うとの判断でございます」
「えーっと……」
珍しく、お母様がうろたえている。
「ラムダよ。それでは、説明が足るまい、イザベラ様、アーサー様、失礼いたしました。勇者様は召喚されて間もない身、城内の堅苦しい雰囲気が好ましくないらしく、程よく接待ができて、王族であられる方のおわすところで過ごしていただこうという考えです。いかがですかな?」
横にいた宰相が付け足した。
それを聞いて、僕は安心した。
自分が原因の問題ではないからだ。
勇者のことはよくわからないけど、同じ日本人のよしみで仲良くしてあげてもいい。
今、この場で怒られないのなら。
「説明はわかりました。それで、私の屋敷が王城との距離や、アーサーが末っ子の第六王子であることも考えての判断ということですね。そして、接待については、メイドが一人多く配置されていますものね。そういったところでしょうか?」
「はははっ。イザベラにはかなわんな。すべてお見通しだな。まいった。頼む!すまん!」
「もう、シャルム様はいつもズルいです。そういえば私が何も言い返せないのをご存じで……」
「まぁ、そう言うな。どうだ? 今晩は城に泊まっていくだろ?」
あらあら、第七王子ができたらどうしましょ?
でも、お父様も、お母様も僕がメイドを連れて帰ってきたことを叱らずに責任を取らせるつもりだな。
面倒だけど、仕方ないな。
勇者の面倒を見てやろう。
お父様はさすがだな。
全てバレバレだった。
「して、アーサーよ、お前はこの短期間で女の子を三人も連れ込んだそうだな。お前も俺に似て女泣かせなのかもしれんな。あと、アドルフは喜んでいたぞ!がははは」
がはは!じゃねーよ。
全部バレてんのか。
『ピュア』「お父様、そんなことはありません。僕なんて小物ですから」
お父様はその後も「がははは」と笑っていた。
効いてんのか?
一つは、先の兄への対応。
態度が180度変わった兄との距離感に戸惑っている。
二つ目は、2人のフィアンセとの距離感。
ガーベラは毎朝お稽古の師範代というポジションで関わってきている。
こちらは稽古が厳しすぎる。
もう逃げたい。
サルビアは実家の両親が、従者というポジションが気に入らないということで、未だに実家にいる。
どうやら、説得されているらしい。
また、ガーベラの実家であるストライク侯爵家からも圧力がかかっているらしい。
ストライク家としては「まずは、一人目を生んでから次の妻を」との親心らしい。
非情にめんどくさい。
三つ目は、先日連れて来たメイドのアイリスが僕にべったりなことだ。
メイドとしての仕事に支障をきたすレベルなので、フランソワがお怒りだ。
そして、王家に使えるメイドの多くがそうなのだが、貴族の家出身者が大半であるということだ。
アイリスの実家であるバルーン家は古くからある子爵家で、アイリスは当主の妾の子というポジションらしい。
王城に勤めていたはずの娘が、事後報告という形で第六王子の屋敷に転勤となってしまったのだ。
子爵家もいい顔をしなかったらしい。
僕はただ『ピュア』の効果を試したかっただけなのに。
そして、最大の問題は『ピュア』についてだ。
朝の2回のルーティンの使用をしてしまうと残りが2回で、その2回では一般人の心を大きく動かすことはできないらしい。
お兄様のときは、嫌がらせがイヤすぎて、朝のルーティンを減らした。
そのおかげで、あの有り様だが、結果オーライととらえよう。
それでも、朝のルーティンはどうしても使ってしまうのだ。
アイリスが2回で心を動かせたのは元々屋敷勤めを望んでいたのと、どうやら、僕への恋慕の気持ちもあったらしい。
なんたる偶然。
僕は陰キャモブだが、両親は美形だ。
つまり、顔だけは華やかなのである。
そう、僕は最後の『ピュア』の使用回数を一番大きな問題だと考えている。
しかし、世間は違うようだ。
一つ目がまずいのか?
二つ目がまずいのか?
いや、三つ目なのか?
とにかく、僕は、今、お母様とともに王城に緊急招集を受けている。
正直、どうでもいいが、ヘタすれば、大事件にはなるだろう。
ビビりの僕としては、行きたくなかった。
しかし、すぐにフランソワに捕まってしまったのだ。
だから、今、馬車の中でお母様とフランソワから冷たい目線で見られている。
きっと、横で僕にべったりくっついているアイリスも同罪だ。
お母様にとって唯一の子供が変な子供で非常に申し訳ない。
でも、僕にとっては他人と思えないこともないので、気にしないようにしよう。
我ながらクズだな。
王城に到着すると、お父様の執務室に通された。
王城はいつもよりバタバタしている印象を受けた。
「王、失礼します。お連れしました」
「入れ」
「はっ」
連れられて入る。
「失礼します。シャルム様、ご機嫌うるわしゅう」
きれいな礼をする、お母様。
僕も続く。
「よい、今は急ぎの用件だ。前置きは終わりだ。まずは話を聞いてくれ。おい、ラムダ、説明せよ」
「はっ。失礼します。担当直入に申し上げますと、勇者様と生活を共にしていただけませんでしょうか?」
ラムダと呼ばれる無骨な男――確か将軍――が話し出した。
「は?それはなぜでしょう?まだ、どのようなお方か、お会いもしていませんが」
「失礼いたしました。結論を急ぎすぎました。実は、勇者様がどうも城内での暮らしにご不満があるようで、街で暮らしたいとおっしゃられています。つきましては、イザベラ様と、アーサー様がお住まいの屋敷でしたら勇者様の望まれる環境が整うとの判断でございます」
「えーっと……」
珍しく、お母様がうろたえている。
「ラムダよ。それでは、説明が足るまい、イザベラ様、アーサー様、失礼いたしました。勇者様は召喚されて間もない身、城内の堅苦しい雰囲気が好ましくないらしく、程よく接待ができて、王族であられる方のおわすところで過ごしていただこうという考えです。いかがですかな?」
横にいた宰相が付け足した。
それを聞いて、僕は安心した。
自分が原因の問題ではないからだ。
勇者のことはよくわからないけど、同じ日本人のよしみで仲良くしてあげてもいい。
今、この場で怒られないのなら。
「説明はわかりました。それで、私の屋敷が王城との距離や、アーサーが末っ子の第六王子であることも考えての判断ということですね。そして、接待については、メイドが一人多く配置されていますものね。そういったところでしょうか?」
「はははっ。イザベラにはかなわんな。すべてお見通しだな。まいった。頼む!すまん!」
「もう、シャルム様はいつもズルいです。そういえば私が何も言い返せないのをご存じで……」
「まぁ、そう言うな。どうだ? 今晩は城に泊まっていくだろ?」
あらあら、第七王子ができたらどうしましょ?
でも、お父様も、お母様も僕がメイドを連れて帰ってきたことを叱らずに責任を取らせるつもりだな。
面倒だけど、仕方ないな。
勇者の面倒を見てやろう。
お父様はさすがだな。
全てバレバレだった。
「して、アーサーよ、お前はこの短期間で女の子を三人も連れ込んだそうだな。お前も俺に似て女泣かせなのかもしれんな。あと、アドルフは喜んでいたぞ!がははは」
がはは!じゃねーよ。
全部バレてんのか。
『ピュア』「お父様、そんなことはありません。僕なんて小物ですから」
お父様はその後も「がははは」と笑っていた。
効いてんのか?
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