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EP1_4章

4章_17 大公の意地

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「いいや、まだだ!」

不意に躍り出たカムランが剣を向けて立ち塞がる。
病中とはいえ勇猛名高い大公を退け、
ペルセウスをも一刀のもとに葬った女騎士を前に、
カムランは思わず恐怖に唾を飲んだ。


「興醒めな男だな。私の勝ちだ。さあそこをどけ!」

狂気をも感じさせる冷たい表情のロキシェル将軍の目には、
気のせいか涙が滲んでいるように見えた。


「興醒めで結構。よくも、メリッサ様の前で・・!
これ以上やらせるか!」

怒りに身を任せたカムランは、
ロキシェル将軍を下がらせるほどに攻め続ける。


「ソードブレイカーなど、得物までつまらない人間だ!」
カムランに押し込まれながらも、
ロキシェルは不敵に笑う。

その後も二人は何合も打ち合い、
敵味方紛れる乱戦の中で、一進一退の攻防を繰り広げた。


「早く、二人を城内に!」
このロキシェル将軍を相手に
長くは持ちこたえられないと感じたカムランは、
大公とメリッサの護衛についた近衛兵に声を飛ばす。


「中々の腕だ、つまらないという言葉は撤回しよう。
しかし、私を楽しませるにはまだ遠い。」

涼しい顔でカムランの一撃をいなし、
ソードブレイカーと共にカムランを弾き飛ばした将軍は、
大公にすがりつくメリッサに冷徹な視線を向ける。


「今更逃げようなど。王も娘も逃がしはしない!」

ロキシェル将軍は落ちていた槍を拾いあげ、
槍を打ち放った。


その槍は公家の後ろを守る近衛兵の隙間を抜け、
メリッサに迫る。

そして、槍が人を穿つ鈍い音と共に、近衛兵の円の中、人が倒れ込む。


「お父さま!」
槍は、メリッサを守るべく咄嗟に身を挺した
大公の背に突き立てられていた。

まだ止血もままならない大公は、
それでも気丈を装う。


「娘よ、先に城へ戻れ。
こうも好き放題やられては、
名折れが過ぎる。せめて娘くらいは守ってみせねば。」

歯を食いしばり、大公は再び立ち上がり、
近衛兵を押し退けてロキシェル将軍へ向かって突き進む。
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