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EP1_4章

4章_11 エンタールの大公

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 「・・・しかし、本当に出陣なさるのですか。
未だ納得いきませぬ。」

ポズナンは振り返った先の男に鋭く問いかける。


「当然よ。今攻め苦を受けているのは我が国、
我が国民。それを当主が縮こまって隠れていられる訳がなかろう。
ポズナン、男ならば理解せよ。」


ポズナンの進言を制したその男の目は、
怒りでギラギラと燃え滾っているようだ。


「お身体が万全ならば、私も何も言いませぬ。
先日生死の淵を彷徨ったばかりの御人が馬上で采配を執り、
ましてや剣を取るなどもってのほかだ。

主君エオメル・エンタール、
どうかこのブラナスの守将、ポズナンにお任せあれ。」

公国の主、エオメルに近づき、
ポズナンは小声で再び考えを改めるよう迫る。

しかしエオメルは頑として応じない。

「ならん。病など理由にならぬ。それにポズナンよ、
私が南門に出れば、君は東門へ行くこともできよう。

西門と北門の守備兵からそれぞれ千の兵を集め、
東門の大軍に奇襲をかけろ。たとえ西に続き南門を開放したとしても、
東門の大軍をどうにかせねば、事態は変わらんのだ。よいな。」


額に脂汗をにじませながら、
大公エオメルはニヤリと笑った。

本当は立っているだけでもつらい状態なのだ。
それを知っているポズナンはなおも食ってかかるが、
言葉は伝令の声にかき消された。


「報告!敵軍が東門に大樽を積み始めております!
おそらく火薬で門扉を吹き飛ばすつもりです!ご指示を!」

伝令の言葉を聞いた大公エオメルは豪快に笑った。

「なんと、こちらが開門する手間を省いてくれるとは渡りに船だ。
城壁の見張りに火矢を持たせよ、
大樽を積みに敵兵が集まってきたところで、
こちらから松明を放って吹き飛ばしてやれ。

そしてそのあとは残りの大樽をひたすら火矢で射抜くのだ。
そして我らは、爆発の開門と同時に出撃だ。
この私が南門を、そして我が国最強の将ポズナンは東門を奇襲する。
爆破の合図は私がする、全軍万端に準備せよ。」

大公エオメルは、
予断を許さない容体であることを少しとして感じさせない
勇壮たる姿で指示を出し、兵たちに勇気をもたらしたのだった。
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