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勇者、逃げる
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やった……やったぞ……!
喜びの雄叫びをあげそうになったが俺は何とか踏みとどまる。こんな所ではしゃいでいてはリュートに見つかってしまう。
現在俺は城の中を探索中で強盗もビックリなほど足音を殺しながらも早々と動いていた。何故こんなことになっているかと言うと簡単な話、部屋から脱走したからである。
事の経緯を話すと俺がある意味無知過ぎることがリュートにバレてからずっと人体の不思議(性的な意味で)を力説されているのだ。しかしあまりに情報が多すぎて俺は赤面するとかそんなことも忘れて勉強していた。色々と無駄な知識も教えられた気がするがまあ、良しとする。
もはやベロチューなんて単語が出てきても様々な知識を得た今の俺にとってはぬるいですよ。ぬるいぬるい。3分のカップラーメンを間違って5分待ってしまった、と思い出した時には15分経っていた時ほどぬるい。(作者の経験)
中でも衝撃的だったのはリュートから『彼シャツ』というものを教えられ、自分が性的な意味でズボンと下着を没収されていたということに気づいてしまったことである。通りですごくデカイ白シャツ1枚を着させられていたわけだ。(その後抗議しなんとかズボンと下着ををもぎ取ることに成功する。)
そんな感じでなんだかんだすごしていたが、今日、遂に転機は訪れる。俺は今日もリュートが大量の本を持ってきて勉強会(?)を開催する最中、何気なくリュートの体が気になった。
そういえばコイツ人間じゃないよな?年齢も506歳って言ってたし、背丈も物凄いデカいし……。
と、思った俺は一言
「リュート、ちょっと服脱いでみて」
と何気なく口にしていた。これが幸をそうした。
「な、なんだよ唐突に、遂にそういうことしちゃう?」
「ちげーし、普通に魔王の体の構造が気になっただけだし」
「やっぱお年頃だなー。まあいい、いっちょ脱いでやるか」
リュートはなんやかんやノリノリで服を脱ぎ始めた。脱いでいる間俺に背を向けて。その瞬間即座に「出ていけるのでは?」と考えることコンマ2秒。俺はなんとたまたま呪いがかけられてない扉からそそくさと逃げ出すことに成功してしまったのである。
そして今に至る。
それにしてもさすが城なだけあって広いなぁ。
部屋から逃げ出してかれこれ10分程は経過しただろうか。まだまだ出口は見つからなそうだ。きっと今頃リュートは流石に俺がいないことに気づいているだろう。どこまで脱いだか知らないが。
適当に右へ左へと廊下を曲がっていくと 俺は様々な部屋の扉がある長い廊下を見つける。
さて、どこに逃げ込むか……。
手当り次第扉に手をかけるが、鍵がかかっているのか開くことは無い部屋ばかりだ。このままでは見つかるのも時間の問題だろう。
なんとか入れる部屋を探していると1つだけ作りの頑丈そうな真紅の扉を発見する。いかにも「ここは大事なものを隠してますよー。」って感じの扉だ。こんなところ絶対鍵がかかっていそうなものだが……。
俺はダメ元で扉を押してみた。
あ、開いた……!
想像以上に軽く開いてしまった事に驚きつつも俺はその部屋に逃げ込むことにした。
扉をゆっくりと音を立てないように閉め、辺りを見渡す。が、薄暗くて暗さに慣れない目では何があるのか全く分からず、とりあえず手探りで進んでみる。少し先に小さな窓がついている様でその光を目指して歩いてみることにする。
しかし重要そうな部屋の扉ではあった割に鍵はかけてないしすごく埃っぽい部屋だな……。なんか小山みたいなものが沢山あるしガラクタ置き場にでもしてたのか……
と、思った矢先『ガランッ』っと大きな音がした。感触から察するに何かを蹴ってしまったようだ。
しまった!と反射的に扉の入口を見るが、誰も入ってくる様子は無い。
あっぶねえ……!
まだリュートに気づかれてないことに安堵し胸を撫で下ろす。
ふと、視線を戻すと先程蹴ったものが窓から入ってくる太陽光によって1部姿を現す。
これは……剣……?
それはどう見ても剣の刃先だ。俺は駆け寄り、その剣のような物を拾い上げる。
やっぱり剣だ!と、俺は喜び、剣の全身が見えるように光に照らす。
これでなんとかアイツと戦え……え?
俺の手にたった今握られているもの。
それは勇者なら必ず持っているもの、伝説の剣だった。
「…………」
え?ホントに?本当にこれ伝説の剣?こんな無造作に床に置いていい代物じゃないものがここに?
正直最初は疑いしか無かった。伝説の剣は何十、いや何百と魔物を切り捨てた神秘の森で命からがら手に入れたものだ。俺の努力の結晶でもある。こんな飾られもせず床に転がっていいものじゃない。
だがしかし、このズッシリとした重さに慣れ親しんだ持ち心地、なにより柄の重厚さを感じさせる絵柄や形に俺は「本物だ……」と確信を持ってしまった。
ヤバイ……!ヤバイヤバイ!遂に見つけちゃった伝説の剣!テンション上がってきたあ!これであとは鎧も見つかれば……!
そう思い、改めて暗さにも慣れた目で当たりを見渡す。すると今まで見ていた小山の正体が分かった。
そこには大量の金銀財宝の山が鎮座していた。
すなわちここは……。
「……宝物庫……ってやつ!?」
喜びの雄叫びをあげそうになったが俺は何とか踏みとどまる。こんな所ではしゃいでいてはリュートに見つかってしまう。
現在俺は城の中を探索中で強盗もビックリなほど足音を殺しながらも早々と動いていた。何故こんなことになっているかと言うと簡単な話、部屋から脱走したからである。
事の経緯を話すと俺がある意味無知過ぎることがリュートにバレてからずっと人体の不思議(性的な意味で)を力説されているのだ。しかしあまりに情報が多すぎて俺は赤面するとかそんなことも忘れて勉強していた。色々と無駄な知識も教えられた気がするがまあ、良しとする。
もはやベロチューなんて単語が出てきても様々な知識を得た今の俺にとってはぬるいですよ。ぬるいぬるい。3分のカップラーメンを間違って5分待ってしまった、と思い出した時には15分経っていた時ほどぬるい。(作者の経験)
中でも衝撃的だったのはリュートから『彼シャツ』というものを教えられ、自分が性的な意味でズボンと下着を没収されていたということに気づいてしまったことである。通りですごくデカイ白シャツ1枚を着させられていたわけだ。(その後抗議しなんとかズボンと下着ををもぎ取ることに成功する。)
そんな感じでなんだかんだすごしていたが、今日、遂に転機は訪れる。俺は今日もリュートが大量の本を持ってきて勉強会(?)を開催する最中、何気なくリュートの体が気になった。
そういえばコイツ人間じゃないよな?年齢も506歳って言ってたし、背丈も物凄いデカいし……。
と、思った俺は一言
「リュート、ちょっと服脱いでみて」
と何気なく口にしていた。これが幸をそうした。
「な、なんだよ唐突に、遂にそういうことしちゃう?」
「ちげーし、普通に魔王の体の構造が気になっただけだし」
「やっぱお年頃だなー。まあいい、いっちょ脱いでやるか」
リュートはなんやかんやノリノリで服を脱ぎ始めた。脱いでいる間俺に背を向けて。その瞬間即座に「出ていけるのでは?」と考えることコンマ2秒。俺はなんとたまたま呪いがかけられてない扉からそそくさと逃げ出すことに成功してしまったのである。
そして今に至る。
それにしてもさすが城なだけあって広いなぁ。
部屋から逃げ出してかれこれ10分程は経過しただろうか。まだまだ出口は見つからなそうだ。きっと今頃リュートは流石に俺がいないことに気づいているだろう。どこまで脱いだか知らないが。
適当に右へ左へと廊下を曲がっていくと 俺は様々な部屋の扉がある長い廊下を見つける。
さて、どこに逃げ込むか……。
手当り次第扉に手をかけるが、鍵がかかっているのか開くことは無い部屋ばかりだ。このままでは見つかるのも時間の問題だろう。
なんとか入れる部屋を探していると1つだけ作りの頑丈そうな真紅の扉を発見する。いかにも「ここは大事なものを隠してますよー。」って感じの扉だ。こんなところ絶対鍵がかかっていそうなものだが……。
俺はダメ元で扉を押してみた。
あ、開いた……!
想像以上に軽く開いてしまった事に驚きつつも俺はその部屋に逃げ込むことにした。
扉をゆっくりと音を立てないように閉め、辺りを見渡す。が、薄暗くて暗さに慣れない目では何があるのか全く分からず、とりあえず手探りで進んでみる。少し先に小さな窓がついている様でその光を目指して歩いてみることにする。
しかし重要そうな部屋の扉ではあった割に鍵はかけてないしすごく埃っぽい部屋だな……。なんか小山みたいなものが沢山あるしガラクタ置き場にでもしてたのか……
と、思った矢先『ガランッ』っと大きな音がした。感触から察するに何かを蹴ってしまったようだ。
しまった!と反射的に扉の入口を見るが、誰も入ってくる様子は無い。
あっぶねえ……!
まだリュートに気づかれてないことに安堵し胸を撫で下ろす。
ふと、視線を戻すと先程蹴ったものが窓から入ってくる太陽光によって1部姿を現す。
これは……剣……?
それはどう見ても剣の刃先だ。俺は駆け寄り、その剣のような物を拾い上げる。
やっぱり剣だ!と、俺は喜び、剣の全身が見えるように光に照らす。
これでなんとかアイツと戦え……え?
俺の手にたった今握られているもの。
それは勇者なら必ず持っているもの、伝説の剣だった。
「…………」
え?ホントに?本当にこれ伝説の剣?こんな無造作に床に置いていい代物じゃないものがここに?
正直最初は疑いしか無かった。伝説の剣は何十、いや何百と魔物を切り捨てた神秘の森で命からがら手に入れたものだ。俺の努力の結晶でもある。こんな飾られもせず床に転がっていいものじゃない。
だがしかし、このズッシリとした重さに慣れ親しんだ持ち心地、なにより柄の重厚さを感じさせる絵柄や形に俺は「本物だ……」と確信を持ってしまった。
ヤバイ……!ヤバイヤバイ!遂に見つけちゃった伝説の剣!テンション上がってきたあ!これであとは鎧も見つかれば……!
そう思い、改めて暗さにも慣れた目で当たりを見渡す。すると今まで見ていた小山の正体が分かった。
そこには大量の金銀財宝の山が鎮座していた。
すなわちここは……。
「……宝物庫……ってやつ!?」
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