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11、再戦

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 退魔師ではない気配……妖気の動きがかすかに感じられる。
 桐葉は痛みに耐えながら、妖気のほうへ体をひきずっていく。その近くに複数の退魔師の気配もある。恐らく戦っているわけではなく、柏崎姉妹だろう。
「はぁ……はぁ……」次第に吐息が熱を持ち始める。体の奥が焼けるように熱い。その熱の根源はいつの間にか下半身に生えている『あれ』と一体化して膨らんでいた。
(……触りたい。だけど、こんなところじゃ……)
 頭から余計な考えを締め出して、足を進める。痛みには耐えることができる。だがこの激しい疼きは……無視できない。
(ダメだ……。こんな状態じゃ戦えない)
 足を止めて、木に寄りかかった。薙刀を雑に放り出し、スカートを捲り上げる。下着の上からでも異常な膨らみがはっきりと見て取れた。
(前より大きくなってる……。これも龍の力のせい……?)
 こうして患部を目の当たりにすると……さらに疼きが強くなった。立っていることができなくて、その場に座り込んでしまう。
(このままじゃ戦えない。でも帰るわけにもいかない……)
 あの祠から箱を持ち出したことは、いずれ母にばれる。庭師に嘘を吐いたことも。それだけでも母が烈火のごとく怒るのは確実だが、また討伐で大した成果がなかったと聞けばどうなるか? ……想像もしたくない。
 桐葉はゆっくりとショーツをずらし、腫れに腫れた熱塊を目の前に露出させた。醜く怒張しているのに、人間の生命を力強く表現した芸術作品のように尊く思えるのはどうしてだろう……。頬が熱くなるのを感じた。
 右手でそっと握ると、その熱さに驚いた。上下に動かす……。肉が歓喜に震えるのが手のひらから伝わってくる。初めて自分の手で熱塊を導いていく。
(なにこれ……すごい……気持ちいい……!!)
 もう胸の痛みよりも快楽のほうが意識を席巻していた。
「あぁ♡ ん……♡ あぁん♡ ……っ♡」
 次第に竿をしごく手が速くなる。びく、びくん、びくびくという反応がダイレクトに伝わる。先のほうから根元まで丁寧に撫で上げていく。早苗がやってくれたように……。愛情をこめて……。
「だめ……もう……。 んんっ♡ んっ……」妖魔や他の退魔師はそう遠くない場所にいるわけで、あまり大きな声を出すことはできない。だから桐葉は制服の上着の布を噛んで、声を押し殺した。「ん♡ ……っ、ん♡ ……ッ!!」早くも最初の絶頂を迎え、白濁した液体を辺りに撒き散らした。
「……んはぁ……はぁ……はぁ……」
 絶頂の余韻に浸って、桐葉はとろんとした顔で唇の端からよだれを垂らしている。意識が飛んでしまうほどの快楽だった。というのも龍の力によって……感覚という感覚が鋭敏化されているからだ。今や桐葉の肢体は感度が数十倍に高まっているのだ。
 波が引いても性欲は収まりそうになかった。
(一回じゃ……全然足りない……)
 すぐに次の射精へ向けて、刺激を再開する。ひと目を気にせず、大きく脚を開き局部を晒して……。
「あぁ……、いい……♡ ふぁ♡ ぁ、ぁ……」すぐに次の絶頂がやってきた。「ん♡ ぅ♡ ……ッ!!」二度目にも関わらず大量の精子が放たれた。
「だめ……また……。くる……♡ もう来ちゃう……! …………んぅッッ!!」三度目……。
 その後も桐葉はここが敵地の深いところだという事実も忘れて……自慰に耽り、精を吐きまくった。
「素敵ですね、桐葉さん」
 不意に横からそんな言葉をかけられて……桐葉は我に返った。手を止めて声のするほうを見ると、柏崎家姉妹の妹……雪菜が柔和な笑みを浮かべて立っていた。
「ですが、こんなところでそれを見せびらかすのは、どうかと思います」
「あたしも、桐葉会長がそんなことする人だとは思ってなかった」隣に立つのは凜……姉妹の姉。
 桐葉は慌てて得物に手を伸ばすが……そばに置いてあるはずの薙刀がない。
「これをお探しですか」雪菜が何かを蹴飛ばした。それが桐葉の薙刀だった。「自分の得物を盗られているようでは、退魔師としてどうかと思います」
 ……その通りだ。敵が近づいていたことに気づかず自慰に耽り続けるなんて、自殺行為も同然だ。しかも相手が凜と雪菜という格上であれば、すでに殺されていてもおかしくない。そうしなかったのは余裕か……?
 桐葉は二人の言葉を聞きつつも、それ以外の音のほうに意識を集中させていた。つまり陰から二人を操るヒト型妖魔が近くにいるはずなのだ。
 桐葉は衣服の乱れを整えると、懐刀……刃渡り二十センチ程度の護身用の短刀を抜いた。
「前回あんなに簡単に負けてしまったのに、そんなものでどうこうできると考えているんですか」
「……やってみなければ分からないでしょ?」
「会長は往生際が悪いらしい」
 凜が刀を抜いた。雪菜が弓を構えた。
(戦うべきは二人じゃない!)
 雪菜が矢を放った。回避する動きは最小限。高速で飛来する矢の軌道が見えるから簡単だった。雪菜の繊細で鋭い攻撃に対して、肉薄してきた凜の戦闘スタイルは真逆だ。広範囲に重い一撃を放ち、敵を殲滅する。であればその重たい一撃を放つ瞬間に懐に飛び込んでしまえばいい。……凜が刀を振りかぶった。地を蹴って短刀の突きを見舞おうとするが、さすがに凜も気づき、振り下ろす軌道を小さく修正。威力と範囲を抑えた凜らしくない一太刀と、桐葉の懐刀が火花を散らした。弾かれたのは凜のほうだ。すかさず追撃しようとする桐葉だが、凜の隙を消すように絶妙のタイミングで雪菜の矢が飛来する。それを跳び退って避け、距離を取った。
「会長、案外やりますね」凜にはまだ余裕が見える。「出来損ないの雑魚だと思ってたのに」
「言ってくれるね、凜さん」今は龍の力があるから対等に戦えているに過ぎない。体が内側から侵されている以上、長期戦は避けなければ……。
「そんな体じゃなければ私たちに勝てたかもしれないのに」凜は薄っすらと笑みを浮かべて呟いた。その勝ち誇った顔を見て、桐葉は戦慄した。
 妖気が近づいてくる……!?
 体内の炎が燃え上がる……!
「な、なにっ……!?」急に股間が熱を孕み、むくむくと怒張していく。連続射精によって一時的に抑えられていた性欲が一気に爆発した。桐葉はたまらなくなって熱塊を押さえた。
「熱いっ……! ひっ!? ふあっ♡ んぁあ゛ああああああ♡」場違いな甘ったるい声をあげて、桐葉は絶頂してしまった。その場に崩れるように座り込んだ。疼く。まだ男のものが疼く……! 快楽の余韻が強すぎて一歩も動けない。
(体が今まで以上におかしくなってる……)
「会長、パンツがベトベトだ」
「わたしが脱がしてあげますよ」
 凜と雪菜に両手を縛られ、ショーツを脱がされ、開脚させられる始末。
 虚ろな目で二人を見上げると……その背後に、あの日のヒト型妖魔の姿があった。
(このままじゃ私、またこいつに……)
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