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第115話 ブレンドティーの試飲と打ち合わせ②
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「あああぁ~!!思い出した!弟さんが奥さんの実家に婿入りしたって話してたな!」
懐かしそうにザキさんが笑う。
「確かに。……ヤンガスが引き受けてくれたら有り難いな。手紙を送って会いに行ってみるか。まだ俺のせいでクエストを拒否したまま、自宅にいる筈だ。」
インダーさんもうなずく。
「それで言うなら、ノッセに嫁に行ったリーシャンはどうだ?子どもの手が離れるようになったから、冒険者に復帰しようとしたら、みんながクエスト放棄をしてて、だいじょうぶなのかと俺に手紙をくれたんだ。」
アスターさんが人差し指を立てて言う。
「リーシャンか!同期の中じゃあ最速でBランクまで上がったのに、もったいないなと思ってたんだ。あいつは確かに頼りになる。」
とマジオさん。
みんな結構心当たりがあるんだな。現地に住んで貰う必要があるから、もともと現地の人か、そっちに住みたい人だと助かるよな。
「待てよ待てよ……。それで言うなら、ばあちゃんが1人でニャマゴに住んでて心配だって言ってたあいつ、名前なんだったっけなああ~!!近くに住みたいけど、あっちじゃ自分のランクにちょうどいいクエストがないって言ってた……。駄目だ思い出せねえ!」
ザキさんが髪を掻きむしる。
冒険者は自分のひとつ上のランクのクエストまでなら受けられる。当然下位のランクも受けられるのだが、そうすると、最も人数の多い下位ランクの冒険者たちが受けられる仕事がなくなってしまう。
だからよほど人手がない時以外は、暗黙の了解で自分のランク以下の仕事はあまり受けないのだ。反発を買うからな。
それでちょうどいいクエストがないということは、真ん中あたりのCランクかな?
なんだかんだでみんな知り合いが多いんだなあ。まあ、そりゃそうか。つける仕事が少ないから、剣士や魔法使いのスキルがあっても、働きに出る先がないとなれば、冒険者以外に選択肢がない。だから幼い頃からみんな働きに出てたんだものな。
学校もないから働きに出てから色々と知ることになる。結果お互いが助け合って生きてきたんだろう。その中で信頼出来る人を見抜く力は何よりの財産だ。みんながいいと言う人なら、俺はなんの文句もない。というか、それが1番いい人が見つかると思う。
今回の人材募集は、冒険者ギルドにも手を貸して貰えることとなった。インダーさんへの役場の対応を不服とするストライキは、本人が別の仕事を始めることにした為、取りやめて欲しいこと、その仕事に協力出来る人を募集していることを、同時に告知して貰うことで、冒険者ギルドにも人が戻るという、お互いにとってメリットのあることだからだ。
「ではその方たちには、冒険者ギルドから連絡を取って貰いましょう。俺としても、皆さんが信用に足るとする方々には、ぜひともうちで働いていただきたいです。」
みんながコックリとうなずく。
俺はクリーニング店の工房を置く拠点に、移動販売の拠点も置くことにしたのだ。
そうすれば各家庭から受け取った洗濯物や鞄なんかを、そのままクリーニング工房に持ち運べるという利点がある。
今後拠点を増やすとしても、クリーニング工房と同時に展開していきたいと思ってる。
人材以外の部分は、ルピラス商会の力を借りたり、俺の能力でどうにでもなるしな。
俺はその場でエドモンドさんに手紙を書いて、急ぎ便の魔手鳥のミーティアで送ると、返事が来たらまた連絡します、と告げて、アスターさんの家をあとにした。
4人はこのまま飲むつもりらしい。俺としても加わりたかったが、連日家をあけているから、カイアのことが心配だしな。
一応みんなと仲良く楽しそうにしてはいるものの、普段出かける時はマジックバッグに入れて連れて行っていたから、俺と数日長時間離れることが、あまりなかったんだよな。
仕事が立て込んできたら、この先そういうことも増えるとは思うが、こういうのは少しずつ慣らしていかないとと思う。
円璃花もいつまでいてくれるか分からないし、そうなったらマイヤーさんとガーリンさんご夫婦に頼むしかなくなる。
アーリーちゃんと遊ぶのがカイアは大好きだから、それなら多少は俺がいなくてもだいじょうぶだとは思うが、それでも夜は寂しくて泣いてしまったと言うからな……。
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懐かしそうにザキさんが笑う。
「確かに。……ヤンガスが引き受けてくれたら有り難いな。手紙を送って会いに行ってみるか。まだ俺のせいでクエストを拒否したまま、自宅にいる筈だ。」
インダーさんもうなずく。
「それで言うなら、ノッセに嫁に行ったリーシャンはどうだ?子どもの手が離れるようになったから、冒険者に復帰しようとしたら、みんながクエスト放棄をしてて、だいじょうぶなのかと俺に手紙をくれたんだ。」
アスターさんが人差し指を立てて言う。
「リーシャンか!同期の中じゃあ最速でBランクまで上がったのに、もったいないなと思ってたんだ。あいつは確かに頼りになる。」
とマジオさん。
みんな結構心当たりがあるんだな。現地に住んで貰う必要があるから、もともと現地の人か、そっちに住みたい人だと助かるよな。
「待てよ待てよ……。それで言うなら、ばあちゃんが1人でニャマゴに住んでて心配だって言ってたあいつ、名前なんだったっけなああ~!!近くに住みたいけど、あっちじゃ自分のランクにちょうどいいクエストがないって言ってた……。駄目だ思い出せねえ!」
ザキさんが髪を掻きむしる。
冒険者は自分のひとつ上のランクのクエストまでなら受けられる。当然下位のランクも受けられるのだが、そうすると、最も人数の多い下位ランクの冒険者たちが受けられる仕事がなくなってしまう。
だからよほど人手がない時以外は、暗黙の了解で自分のランク以下の仕事はあまり受けないのだ。反発を買うからな。
それでちょうどいいクエストがないということは、真ん中あたりのCランクかな?
なんだかんだでみんな知り合いが多いんだなあ。まあ、そりゃそうか。つける仕事が少ないから、剣士や魔法使いのスキルがあっても、働きに出る先がないとなれば、冒険者以外に選択肢がない。だから幼い頃からみんな働きに出てたんだものな。
学校もないから働きに出てから色々と知ることになる。結果お互いが助け合って生きてきたんだろう。その中で信頼出来る人を見抜く力は何よりの財産だ。みんながいいと言う人なら、俺はなんの文句もない。というか、それが1番いい人が見つかると思う。
今回の人材募集は、冒険者ギルドにも手を貸して貰えることとなった。インダーさんへの役場の対応を不服とするストライキは、本人が別の仕事を始めることにした為、取りやめて欲しいこと、その仕事に協力出来る人を募集していることを、同時に告知して貰うことで、冒険者ギルドにも人が戻るという、お互いにとってメリットのあることだからだ。
「ではその方たちには、冒険者ギルドから連絡を取って貰いましょう。俺としても、皆さんが信用に足るとする方々には、ぜひともうちで働いていただきたいです。」
みんながコックリとうなずく。
俺はクリーニング店の工房を置く拠点に、移動販売の拠点も置くことにしたのだ。
そうすれば各家庭から受け取った洗濯物や鞄なんかを、そのままクリーニング工房に持ち運べるという利点がある。
今後拠点を増やすとしても、クリーニング工房と同時に展開していきたいと思ってる。
人材以外の部分は、ルピラス商会の力を借りたり、俺の能力でどうにでもなるしな。
俺はその場でエドモンドさんに手紙を書いて、急ぎ便の魔手鳥のミーティアで送ると、返事が来たらまた連絡します、と告げて、アスターさんの家をあとにした。
4人はこのまま飲むつもりらしい。俺としても加わりたかったが、連日家をあけているから、カイアのことが心配だしな。
一応みんなと仲良く楽しそうにしてはいるものの、普段出かける時はマジックバッグに入れて連れて行っていたから、俺と数日長時間離れることが、あまりなかったんだよな。
仕事が立て込んできたら、この先そういうことも増えるとは思うが、こういうのは少しずつ慣らしていかないとと思う。
円璃花もいつまでいてくれるか分からないし、そうなったらマイヤーさんとガーリンさんご夫婦に頼むしかなくなる。
アーリーちゃんと遊ぶのがカイアは大好きだから、それなら多少は俺がいなくてもだいじょうぶだとは思うが、それでも夜は寂しくて泣いてしまったと言うからな……。
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