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第113話 キャメロン・ディアス丼①

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「すみません……、まいどまいど……。」
 俺はルピラス商会につくなり、ぐったりしてソファーに横になって、エドモンドさんの部下の人に水を貰った。
「いや、こちらこそすまない。ジョージが馬車酔いするのをすっかり忘れてたよ。」
 エドモンドさんが申し訳なさそうに言う。

「だがこれで数を回す目処がたった。
 ジョージと排水回収業者とで考えた金額でも、じゅうぶん採算が取れるだろう。
 まずは服はシャツのみを受付して、魔道具でキレイにする。鞄なんかの時間のかかるものは生活魔法使いの人数が必要になるから、人数が確保出来るまでは出来次第の引き渡し連絡にしたほうがいいだろうな。」

「回せることが分かってから、鞄の引き渡し期間を決めるということですね。」
「そうだ。シャツ以外は他の場所に工房を増やしてから受け付けた方がいいな。さすがに彼らだけじゃ全国は回らん。いくら自動熱石押し機能付き洗浄機があるとはいえな。」
 確かに。それはそうだな。元々俺の考えとしては、全国規模の予定じゃなかったし。

「移動販売が軌道に乗ったら、そちらで受け取りと引き渡しを可能に出来るようにとも、考えているんですよね。」
「いいじゃないか。仕事についていない平民がどれだけ利用するかは分からないが、礼服や鞄なんかは需要があるかも知れないな。
 それで、そろそろ行けそうか?」

「はい、もうだいじょうぶです。」
「なら行こうか。早いほうがいいからな。」
 俺とエドモンドさんは再び馬車に乗ると、メッペンさんたちと契約を交わすためと、自動熱石押し機能付き洗浄機を渡すため、数字を書き加えたばかりの契約書を持って、洗濯工房へと向かった。

 メッペンさんたちは、俺とエドモンドさんの登場にも驚いていたが、自動熱石押し機能付き洗浄機の存在には目をひん剥いていた。
「これで簡単なものは誰でも並べるだけで洗濯出来るようになります。ただ、全国の分をここですべてまかなうのは難しいと思いますので、処理件数を増やす為に、人手を増やしていただきたいのですが。」

「……わかったよ。ルピラス商会の従業員が出してくれるというシャツの分だけでも、かなり採算が見込めるし、ある程度の人数を確保するのはこちらも問題ない。」
「数が安定してきたら、すぐに新しい工房を他の場所にも建てようと思ってます。
 そちらで採用する方たちの管理も含めて、全体の管理をお願いします。」

「離れた場所に作るのか?」
「そのつもりです。地元の雇用を増やしたいと思っているので。」
「なら、工房の数だけ通信具がいるな……。急ぎの細かい指示をミーティアじゃ出来ん。ルピラス商会で手配を頼めるだろうか?」
「もちろんだ。」

「それなら、最初に採用する人間は、幹部候補として育てたほうがいいな……。
 他の地方に住んでくれる奴か、はじめからその地域から出稼ぎに来られる奴を探す必要があるな。商人ギルドに募集を頼むか……。
 ちなみにどこに出すつもりなんだ?」
 メッペンさんに言われて、はたと気が付いた。俺、この国の地名とか分からないぞ?

「キシン、マンバ、ツィーレ、ニゴヒ、ピリッサ、チャンサン、ノッセ、レッス、アバガン、ニャマゴ、ブーバ、ニモピン、エイス、ラーグルマあたりがいいだろうな。」
 代わりにエドモンドさんが答えてくれる。
 ひとつだけ知っている地名があった。キシンはジャスミンさんとアラベラさんが住んでいる、ちょっと大きな町だ。

 ジャスミンさんとアラベラさんは、俺のコボルトの伝統を売る店の土地建物を所有していた、ウッド男爵の奥さんと、その奥さんの母親だ。ルピラス商会の支店もあると言っていたし、最初は勤め人を相手にするから、そういう大きな町の近くに置くんだろうな。

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