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第105話 魔道具の開発②

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「冷気の出入り口に開閉式のフタを付けて、霜取り運転時にフタを閉じることで暖気の流入を止めて、冷凍室内の温度変化を抑えることで、食材を霜付きから守れるようにしたいのですが、可能でしょうか?」
「ふむ?やってみます。ちなみにそれって移動販売用だけなんですか?普通に霜が付かない冷凍庫付き冷蔵庫として売れそうですが。
 一般販売はお考えではないのですか?」

「うーん……。出来上がったら、ルピラス商会に相談して、売れると判断するのであればそれもありかと思います。多分大型になるでしょうし、魔石の力をたくさん必要とするでしょうから、個人宅に置くにはお高くなってしまうと思うんですよね。」
 現代にもそういう冷凍庫付き冷蔵庫はあるが、だいぶ大きいしお高いからな。

「それとなんですが、これで撮影して保存されたものを、投影機で映せるように出来ませんでしょうか?録画したものを編集したいと思ってまして。文字とか入れれたり、撮影したものを短くまとめたいのですが……。」
 俺はそう言ってデジカメをミスティさんに渡した。これはちょっと難しいかもなあ。

 ミスティさんは俺から受け取ったデジカメをしばらくいじくり回していたが、
「これ、どうやって動くものですか?」
「ここに電池というものを入れて、それで動かします。撮影したものはここに保存することが出来て、取り出して他の道具の中に取り込んで、見たり加工出来るものですね。」

「以前拝見させていただいた、目覚まし時計と基本は同じなんですね。エネルギー部分を魔石に変えることは出来ると思いますが、保存された映像は魔法を一切使用されていないんですね?これだと、映像を使用できるように変換するのが難しいと思いますよ。」
 と言われてしまった。

「やっぱりそうですか……。」
「ですが、イチから作るのであれば可能だと思います。保存された映像を短くつなぎ合わせたり、映像に文字を入れる……でしたか?
 無属性魔法なら、それが可能かと。」
「本当ですか!?」
「はい。無属性魔法はインクや映像と相性がいいんです。それくらいでしたら。」

 やった!これで全部解決だ!
 パソコンで編集出来ないのは残念だが、この世界ものを使用できるのであれば、俺以外の人にもやれるようになるから、そのほうがむしろありがたいな。
「じゃあ、開発費用としてお金を預けますので、残りは精算でおねがいします。」

「分かりました。ジョージさんの依頼はいつも楽しいので、こちらもありがたいです。」
 ミスティさんは笑顔でそう言ってくれた。
 俺は1度ルピラス商会に戻ると、エドモンドさんに移動販売の件を相談してみることにした。霜の付かない冷凍庫付き冷蔵庫を組み込んだ馬車を開発する予定だと言うと、さっそく食い付いてきた。

「──それは店舗や個人宅に置かれる大きさのものは開発する予定はないのか?」
「かなり大型になると思いますから、店舗は可能かと思いますが、個人宅はあまり現実的ではないかも知れませんね。それに値段がかなりすることになると思いますので。」
「なら店舗分だけでも開発して欲しいな。確実に王宮にも料理店にも売れると思う。」

「それでしたら、霜の付かない冷凍庫付き冷蔵庫が実現出来たら、そちらも開発を相談しようと思います。それで、移動販売自体の方はどうでしょうか?商品を販売するのに商人ギルドの許可や、専用の商会を作って、くだんの冒険者にその商会長におさまっていただく必要があると思っているのですが。」

「商人ギルドの方は冷凍庫付き冷蔵庫の安全性が確認出来れば、移動販売で生物や冷凍食品を売ること自体は問題ないと思う。
 だがその冒険者が移動販売の商会を作って商会長になるってほうは難しいだろうな。」
 エドモンドさんは腕組みをしながら眉間にシワを寄せた。
「──なぜですか?」
 そう返されるとは予想外だった。

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