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第103話 貴族街でのイベント提案⑤
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「コボルトの集落でも、全員分欲しいそうなので、先に渡して、代金はルピラス商会で売り上げたコボルトの商品代金から引いていただこうかと思っているのですが……。」
「なるほどな。数をあとで教えてくれ。担当者に伝えておこう。」
「ありがとうございます。」
「それでな、うちにおさめて欲しい数なんだがな。とりあえず50万個ほど……。」
俺は思わずギョッとした。エドモンドさんの言った言葉にではない。待ち疲れたのか、トランポリンで遊びだしたアエラキが、ポーン!ポーン!と、すぐ脇の窓に、姿をあらわしたからだ。エドモンドさんは窓の方を向いていないが、俺が窓側に立っているから、いつこちらを向いてもおかしくはない。
止めようとしたカイアまでもが、トランポリンに巻き込まれ、ポーン!ポーン!と、一緒に弾みだしてしまい焦っている。
「ん?ジョージ、聞いているのか?」
「え?ええ。はい。なんでしたっけ。」
「このウォーターガイドを50万個だな、」
ポーン!ポーン!
「ジョージ?」
「エドモンドさん!」
俺は精一杯両手を広げて、エドモンドさんの視界から窓を隠すようにしながら、
「実は考えていることがあるのですが、城下町の貴族街の近くに、短期間借りられる空き家なんてありませんか?」
と言った。
「そりゃ、なくはないと思うが……。
どうしてだ?」
ポーン!ポーン!
「その……。コボルトの店を受け入れやすくする為に、貴族街の店を巻き込んだ、ちょっとしたお祭りをしたいなと思ってまして。」
「祭り?」
ポーン!ポーン!
「王室御用達、かつ、コボルトの店ともなると、注目されるのはもちろんですが、きっと近隣の店からの反発が予想されるかと。」
「それはそうだな。」
ポーン!ポーン!
「ですので、貴族街で買い物をした人たちが入れる、お化け屋敷を作って、うち以外での買い物も促進されるようにしたいと思っているのです。貴族街全体を盛り上げることで、受け入れやすくなるかと思うのです。」
「悪くない企画だが、その、お化け屋敷ってのはどんなものなんだ?」
「お化け屋敷というのはですね……。」
俺の様子がおかしいことで、窓の外の様子に気が付いた円璃花が、エドモンドさんに気付かれないようコッソリと、家の外に向かってくれるのを目の端で見ながら、エドモンドさんにお化け屋敷について説明をした。
「なんだそりゃ!面白いな!今まで誰も考えつかなかったのが不思議なくらいだ。きっと流行るぞ!精霊魔法には投影魔法があるというから、精霊魔法使いを探して、投影魔法を魔石に込めて貰えば、うちの従業員でも魔物を出して驚かすことが出来るだろう。」
窓の外でアエラキを抱っこした円璃花が、小さく手を振ってくれたのでひと安心だ。
「あら、それなら私が使えるわよ?」
アシュリーさんがそう言ってくれる。紙で作ろうと思ってたが、そのほうがリアルで現代っぽくて面白いかも知れないな。
「そうですか!──アシュリーさんが精霊魔法を使えるのであれば、あとは場所と貴族街の店の協力だけだな。ではさっそくいい場所を探して、他の店にも声をかけるとしよう。それはルピラス商会にまかせてくれ。」
「よろしくおねがいします。」
アシュリーさんとララさんに隠れて貰い、来た時と同じく慌ただしく帰って行くエドモンドさんを見送ると、俺は外に出てアエラキに、お客さんが来てる時は俺がいいと言うまで遊んじゃ駄目だぞ?約束出来ないなら、今度からお部屋に鍵をかけて入ってて貰うことになるからな?と改めて注意したのだった。
────────────────────
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「なるほどな。数をあとで教えてくれ。担当者に伝えておこう。」
「ありがとうございます。」
「それでな、うちにおさめて欲しい数なんだがな。とりあえず50万個ほど……。」
俺は思わずギョッとした。エドモンドさんの言った言葉にではない。待ち疲れたのか、トランポリンで遊びだしたアエラキが、ポーン!ポーン!と、すぐ脇の窓に、姿をあらわしたからだ。エドモンドさんは窓の方を向いていないが、俺が窓側に立っているから、いつこちらを向いてもおかしくはない。
止めようとしたカイアまでもが、トランポリンに巻き込まれ、ポーン!ポーン!と、一緒に弾みだしてしまい焦っている。
「ん?ジョージ、聞いているのか?」
「え?ええ。はい。なんでしたっけ。」
「このウォーターガイドを50万個だな、」
ポーン!ポーン!
「ジョージ?」
「エドモンドさん!」
俺は精一杯両手を広げて、エドモンドさんの視界から窓を隠すようにしながら、
「実は考えていることがあるのですが、城下町の貴族街の近くに、短期間借りられる空き家なんてありませんか?」
と言った。
「そりゃ、なくはないと思うが……。
どうしてだ?」
ポーン!ポーン!
「その……。コボルトの店を受け入れやすくする為に、貴族街の店を巻き込んだ、ちょっとしたお祭りをしたいなと思ってまして。」
「祭り?」
ポーン!ポーン!
「王室御用達、かつ、コボルトの店ともなると、注目されるのはもちろんですが、きっと近隣の店からの反発が予想されるかと。」
「それはそうだな。」
ポーン!ポーン!
「ですので、貴族街で買い物をした人たちが入れる、お化け屋敷を作って、うち以外での買い物も促進されるようにしたいと思っているのです。貴族街全体を盛り上げることで、受け入れやすくなるかと思うのです。」
「悪くない企画だが、その、お化け屋敷ってのはどんなものなんだ?」
「お化け屋敷というのはですね……。」
俺の様子がおかしいことで、窓の外の様子に気が付いた円璃花が、エドモンドさんに気付かれないようコッソリと、家の外に向かってくれるのを目の端で見ながら、エドモンドさんにお化け屋敷について説明をした。
「なんだそりゃ!面白いな!今まで誰も考えつかなかったのが不思議なくらいだ。きっと流行るぞ!精霊魔法には投影魔法があるというから、精霊魔法使いを探して、投影魔法を魔石に込めて貰えば、うちの従業員でも魔物を出して驚かすことが出来るだろう。」
窓の外でアエラキを抱っこした円璃花が、小さく手を振ってくれたのでひと安心だ。
「あら、それなら私が使えるわよ?」
アシュリーさんがそう言ってくれる。紙で作ろうと思ってたが、そのほうがリアルで現代っぽくて面白いかも知れないな。
「そうですか!──アシュリーさんが精霊魔法を使えるのであれば、あとは場所と貴族街の店の協力だけだな。ではさっそくいい場所を探して、他の店にも声をかけるとしよう。それはルピラス商会にまかせてくれ。」
「よろしくおねがいします。」
アシュリーさんとララさんに隠れて貰い、来た時と同じく慌ただしく帰って行くエドモンドさんを見送ると、俺は外に出てアエラキに、お客さんが来てる時は俺がいいと言うまで遊んじゃ駄目だぞ?約束出来ないなら、今度からお部屋に鍵をかけて入ってて貰うことになるからな?と改めて注意したのだった。
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