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第93話 夏野菜カレーと、豆乳コーンスープ③

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 日本酒大さじ8を加えたビニール袋の中でもんでから、酒ごと鶏肉を鍋に入れ、少し水を入れて弱火に近い中火で3分、落し蓋をして蒸し煮にしたら、裏返して弱火で更に2分加熱する。鍋から取り出して冷ましたら、適当な大きさにほぐしておく。予熱で火が通るのでかたくなり過ぎない。

 加熱時間は味を染み込ませたいのかどうかと、肉の厚みで変える。
 1つ1つ作るので量を作ろうと思うと時間はかかるが、上に散らすだけだから今回は2枚使った。このまま味を染み込ませてもう一品作りたくなってくるが、今回はやることが多いので諦めた。

 スライスした玉ねぎを油で炒めたら、市販のカレールウと水を加えて、固形コンソメを2つ、ウスターソースと中濃ソースをひとまわし、コショウ少々を入れたら、半分に切ったオクラとナスを加えてひと煮立ちさせる。
 ちなみに我が家のカレールウは、実家の頃からリンゴと蜂蜜のやつである。

 コンソメを加えるのは祖母のやり方だ。ソースは俺が加えるようになった。
 適当な大きさに切ったトマト、インスタントコーヒーを5つまみほど、お酢を小さじ1入れて弱火で5分煮たら、ご飯を乗せた皿に盛り付け、蒸し鶏を散らして、夏野菜カレーの完成だ。

 俺は某カレーチェーン店の夏野菜カレーを週5で食べるほどに好きなので、どうせならと思い具材をそれっぽくしてみた。店だとこれにとろけるチーズが必須である。
 ちなみに普段はインスタントコーヒーとお酢は入れない。今回は酸味が欲しかったので加えたのだ。トマトが酸っぱめなら、なくてもいいと思う。

 カイアとアエラキがいるので、2人の分は甘口のカレールウにし、コショウを抜いて同じものを作り、更にアエラキの分は片栗粉でトロミをつけた。俺の中ではアエラキは2歳くらいのイメージなんだよな。こうすればお子さま専用カレーでなくとも食べられる。

 その間にトウモロコシをひたひたの水で柔らかくなるまで煮ておく。ミキサーにかけてなめらかになるまで潰したら、鍋に戻してトウモロコシ2本あたりにつき、バター20グラム、コンソメキューブ1個、豆乳500ミリリットル、塩コショウ少々を加えて沸騰しないように煮たら、仕上げにパセリを乗せれば、豆乳コーンスープの完成だ。

 炒めた玉ねぎを加えてもうまいが、今回はトウモロコシだけにした。
 海藻サラダを作り、冷蔵庫からシメジとエノキとエリンギと舞茸の常備菜も出して、今日の夕飯は夏野菜カレーと、豆乳コーンスープと、海藻サラダと、塩、醤油、酒、ニンニクと、オリーブオイルで炒め煮したキノコの常備菜だ。

「じゃあ、おすそ分けしてくるな。すぐに戻るから、少しだけ待っていてくれ。」
「はあい。」
「ピョル!」
「ピューイ。」
 俺は鍋つかみで寸胴鍋を持ちながら、円璃花にドアを開けて貰って外に出た。

 カレーのいい匂いと、以前俺からおすそ分けを貰っていたことを、他の兵士たちから聞いていたのだろう、寸胴鍋を抱えた俺の姿を見たとたん、外の兵士たちが、わあっ!と声をあげて俺を出迎えてくれる。
「いつもありがとうございます。たくさん作りましたのでよろしければどうぞ。うちで取れた野菜を使っています。」

 兵士たちが簡易のテーブルを並べだし、皿の準備をはじめてくれる。俺はまた米の見た目が虫の卵に見えて驚く人がいるといけないので、これは穀物です、とあらかじめ説明しながらご飯を皿に盛り付けていった。
 説明してよかった。ご飯が目に入った瞬間ウッとなった兵士もホッとしてくれた。

 豆乳コーンスープと、海藻サラダと、塩、醤油、酒、ニンニクと、オリーブオイルで炒め煮したキノコの常備菜も出すと、任務の最中、外でこんな豪華な食事を食べたことがありませんと、兵士たちに驚かれた。
 みんな喜んで食べてくれる。暑い日はやっぱりカレーだよなあ。俺も家の中に戻ると、みんなで楽しくご飯を食べたのだった。

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