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第53話 ドライアドの復活と聖なる守護③
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「ほらカイア、お前のお兄さんかお姉さんだぞ?近くに行って挨拶してごらん。」
「ピョル……。」
地面におろして近付けてやろうとしたが、カイアがそれを嫌がって、困った表情で、再び俺に抱っこを求める。
「じゃあお父さんと一緒に行こう。
それなら怖くないだろ?」
こっくりとうなずいたカイアを抱き上げると、俺はドライアドの子株に近付いた。
「はじめまして、ジョージ・エイトと言います。あなたの兄弟と暮らしているものです。俺はこの子をカイアと名付けました。
俺の子どもだと思っています。どうぞよろしくお願いします。」
俺はそっとカイアの枝の手をそっと握ってやると、カイアとともに、ドライアドの子株の幹に触れた。
すると光が強く大きくなったかと思うと、その光が霧散し、光が消えた場所に、とても美しい、だが人とは思えぬ緑の髪の少女の姿をした人物が立っていた。
「おお……!ドライアド様!おひさしゅう!
そのお姿を拝見出来るのはいつぶりでしょうか。オンスリーでございます!」
「久しぶりよの、オンスリー。
達者でおったか。」
このドライアドは人間の言葉をしゃべれるのか!大きいからか?
カイアも大きくなったら話すのかな?
「はい……ドライアド様もお元気そうで何よりです。このオンスリー、生きている間に二度とお目にかかれることはないと思っておりました。」
オンスリーさんは涙ぐんだ。
「お主は……、オンスリーの孫娘だな。
生まれた時に精霊魔法の加護を授けたのを覚えているぞ。大きくなったな。」
「はい……。ドライアド様。私に精霊魔法を与えて下さってありがとうございます。
ずっとお礼が言ったかったのです。」
アシュリーさんも涙ぐむ。
コボルトにとって、ドライアドはやっぱり特別な存在なんだな。2人ともドライアドの子株に会えて感動しているようだった。
「ジョージと申したか。お主のおかげで助かった。おかげでこの姿を取ることが出来た。例を言うぞ。」
「俺が……何か?」
微笑んで見つめてくるドライアドの子株に俺は首を傾げる。
「お主の体には、神の聖なる守護が宿っている。お主に触れられたところから、最後の瘴気が消えていったのよ。
──お主、自分で自分の力を把握しておらんのか?」
ドライアドの子株に、逆に不思議そうに問いかけられてしまう。
「え!?ジョージ、そうなの?
凄いわ!ドライアド様を助けてくれてありがとう!」
アシュリーさんが目を丸くする。
俺の体は神がくれたもので、勇者の為に用意したものだと思っていたのだが、まさか聖女の男版……はなんて言うんだ?の為のものだったのか?
魔法陣が作れたから、魔力が備わっているのはなんとなくわかったが、はっきり言ってそんな聖なる守護の力だとか、意識したことはまったくない。使えたこともない。
それらしい兆しも感じたことがない。
そもそも間違いだったから、使命みたいなものを与えられていないからな、俺は。
「──カイアと言ったか。」
「ピョル……。」
「我らは同じドライアドから別れた子株。
いわば兄弟よ。だがお主はジョージを守護対象に選び、親としたのだな。
お主はそれにより、我らとは異なる特別なドライアドとなった。」
「どういうことですか?」
「ドライアドは子株をその身から分かれさせることで数を増やすが、子株が孫株を作り出すことは出来ぬ。
だが、ジョージを親としたことで、お主は我らとは離れ、ドライアドの親株となれる存在となったのだ。」
「つ、つまり……俺に将来、孫が……?」
孫……、なんて甘美な響きだろうか。カイアにそっくりな子どもたちに囲まれた、年老いた自分を思わず想像してしまう。
「ジョージ、気が早いわ。」
「問題はそこでは……。それにカイア様はまだ赤子の大きさですぞ……。」
アシュリーさんとオンスリーさんが、呆れた表情で俺に突っ込んでくる。
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「ピョル……。」
地面におろして近付けてやろうとしたが、カイアがそれを嫌がって、困った表情で、再び俺に抱っこを求める。
「じゃあお父さんと一緒に行こう。
それなら怖くないだろ?」
こっくりとうなずいたカイアを抱き上げると、俺はドライアドの子株に近付いた。
「はじめまして、ジョージ・エイトと言います。あなたの兄弟と暮らしているものです。俺はこの子をカイアと名付けました。
俺の子どもだと思っています。どうぞよろしくお願いします。」
俺はそっとカイアの枝の手をそっと握ってやると、カイアとともに、ドライアドの子株の幹に触れた。
すると光が強く大きくなったかと思うと、その光が霧散し、光が消えた場所に、とても美しい、だが人とは思えぬ緑の髪の少女の姿をした人物が立っていた。
「おお……!ドライアド様!おひさしゅう!
そのお姿を拝見出来るのはいつぶりでしょうか。オンスリーでございます!」
「久しぶりよの、オンスリー。
達者でおったか。」
このドライアドは人間の言葉をしゃべれるのか!大きいからか?
カイアも大きくなったら話すのかな?
「はい……ドライアド様もお元気そうで何よりです。このオンスリー、生きている間に二度とお目にかかれることはないと思っておりました。」
オンスリーさんは涙ぐんだ。
「お主は……、オンスリーの孫娘だな。
生まれた時に精霊魔法の加護を授けたのを覚えているぞ。大きくなったな。」
「はい……。ドライアド様。私に精霊魔法を与えて下さってありがとうございます。
ずっとお礼が言ったかったのです。」
アシュリーさんも涙ぐむ。
コボルトにとって、ドライアドはやっぱり特別な存在なんだな。2人ともドライアドの子株に会えて感動しているようだった。
「ジョージと申したか。お主のおかげで助かった。おかげでこの姿を取ることが出来た。例を言うぞ。」
「俺が……何か?」
微笑んで見つめてくるドライアドの子株に俺は首を傾げる。
「お主の体には、神の聖なる守護が宿っている。お主に触れられたところから、最後の瘴気が消えていったのよ。
──お主、自分で自分の力を把握しておらんのか?」
ドライアドの子株に、逆に不思議そうに問いかけられてしまう。
「え!?ジョージ、そうなの?
凄いわ!ドライアド様を助けてくれてありがとう!」
アシュリーさんが目を丸くする。
俺の体は神がくれたもので、勇者の為に用意したものだと思っていたのだが、まさか聖女の男版……はなんて言うんだ?の為のものだったのか?
魔法陣が作れたから、魔力が備わっているのはなんとなくわかったが、はっきり言ってそんな聖なる守護の力だとか、意識したことはまったくない。使えたこともない。
それらしい兆しも感じたことがない。
そもそも間違いだったから、使命みたいなものを与えられていないからな、俺は。
「──カイアと言ったか。」
「ピョル……。」
「我らは同じドライアドから別れた子株。
いわば兄弟よ。だがお主はジョージを守護対象に選び、親としたのだな。
お主はそれにより、我らとは異なる特別なドライアドとなった。」
「どういうことですか?」
「ドライアドは子株をその身から分かれさせることで数を増やすが、子株が孫株を作り出すことは出来ぬ。
だが、ジョージを親としたことで、お主は我らとは離れ、ドライアドの親株となれる存在となったのだ。」
「つ、つまり……俺に将来、孫が……?」
孫……、なんて甘美な響きだろうか。カイアにそっくりな子どもたちに囲まれた、年老いた自分を思わず想像してしまう。
「ジョージ、気が早いわ。」
「問題はそこでは……。それにカイア様はまだ赤子の大きさですぞ……。」
アシュリーさんとオンスリーさんが、呆れた表情で俺に突っ込んでくる。
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