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第45話 サバの冷や汁とほうれん草のオムレツ③

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 大葉を千切りにしておき、きゅうり1本を小口切りにし、ボウルに入れて塩を5つまみ加えて揉み込んだ後、水で洗い流してザルにあけ、よく絞って水気を切った。
 水400ミリリットルと、サバの水煮缶、どんぶりを予め冷蔵庫で冷やしておく。

 ほうれん草は根元部分をよく洗って、半分ずつ互い違いに重ねる。左に半分の根っこ、右に半分の根っこが出るような感じだ。それを根っこは包まずにラップで巻いてやる。そのまま500Wで1分12秒加熱し、ラップごと水につけて冷やした後、ラップを外してよく水を絞って1センチ幅に切る。

 ボウルに切るように混ぜた卵8個に、鶏ガラスープの素と砂糖をそれぞれ小さじ2入れてよくまぜたら、ほうれん草を入れて更に混ぜる。卵焼き器にゴマ油大さじ1をしいて、くるくると巻くように焼いたらほうれん草のオムレツの出来上がりだ。
 別にフライパンでやってもいいのだが、この方が切り分けやすいのでそうした。

 ちなみにゴマ油を卵に混ぜて、耐熱容器に入れ、ふんわりとラップを被せるか、耐熱容器の蓋を斜めに被せて、500Wで3分加熱しても出来るが、絶対に見た目が凸凹になったり、ほうれん草が上に浮いてきたり、加熱ムラが出来ることもあって、逆に面倒くさいので、よほど同時に色々作らないといけない時しか俺はやらない。

 別のボウルに味噌を大さじ2と、すった白ごまを大さじ6入れ、冷蔵庫で冷やしておいた水400ミリリットルを、少しずつ加えながら、味噌のかたまりが残らないようよく溶かしてやる。ちなみにうちは合わせ味噌だ。
 サバの水煮缶2つを汁ごと、きゅうりを加えてよく混ぜ合わせ、温かいご飯を入れカッテージチーズと大葉を加えて、オリーブオイルを回しかければサバの冷や汁の完成だ。

 常備菜の牛肉のしぐれ煮と、同じく常備菜の切り干し大根の煮物を出し、じゃがいもとワカメと油揚げをそえて、今日の夕飯の出来上がりだ。俺はビールを出して、サバの冷や汁はシメに食べるつもりだが、カイアには普通に食卓に並べてやる。

 自分1人の時は好きなものを好きなように食べていたが、カイアのことを考えると、子どもにとってバランスのいい食事を考えてやらないとなあ。精霊だしそもそも樹木だから、同じものを食べられるとはいえ、あんまり関係ないのかも知れないが。

 カイアが喜んで食べてくれるから、ついつい色々作りたくなっちまうのが俺の悪い癖なんだよな。
 ビールを飲みながら、オカズをツマミに飲む。あー!久々の酒はくるな!
 カイアが興味津々にビールを見てくる。

「ん?これは駄目だぞ、大人だけの飲み物だからな。カイアの体がおかしくなっちまうから大きくなったらな。」
 精霊が酒を飲めるのかは分からないが。
 カイアがしょんぼりしてしまったので、
「じゃあカイアには代わりのものを出してやろう。カイアだけ特別だぞ?」

 俺は冷えた苺をイメージして出すと、洗ってヘタをとったものを小鉢に入れて出してやった。
「これはデザートの苺だ。ご飯を食べ終わったら一番最後に食べていいぞ?」
 きれいな苺を見て、カイアの目がキラキラと輝く。本当は果物は一番最初に食べるのがいいんだっけな?まあいいか。

 カイアはよほど苺を早く食べたいのか、急いでご飯を食べ始める。
「こらこら、苺は逃げないから、ゆっくり食べなさい。
 じゃあ、先に1つ食べてもいいから、ご飯はちゃんと噛んで食べような?」
 そう言われて、苺を1つ、嬉しそうに咀嚼した後は、ちゃんとゆっくりご飯を食べた。

 ああ、幸せだなあ。防御結界、発動するにいはしたが、ちゃんときくといいけど。
 カイアをちゃんと守ってくれよ?
 他の魔法陣も色々試してみたいけど、まずはインクをカートリッジにつめられる職人を探してからにしよう。
 手書きはこれ以上は、数を作ろうと思うとさすがにしんどい。

 生まれた時から属性を付与されて、簡単に魔法が使える魔法使いが羨ましい。
 まあ、魔法使い自体、数が少ないらしいから、ほとんどの人が羨ましいんだろうな。
 冒険者ギルドの受付嬢も羨ましがっていたものな、使えるものなら使ってみたいと。
 こっちに来る時は守る存在が出来るなんて、考えてもみなかったからなあ。

 プリンターで印刷したもので魔法が使えるようならそれでよし、駄目なら誰かにお金を払って頼まないといけないからな。
 シメのサバの冷や汁が、酒を飲んだあとの腹にするっとおさまる。食欲がない時にもいいし、先人の知恵様々だ。
 俺は大満足で夕食を終えたのだった。

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