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第42話 明太子餅チーズもんじゃ焼きパーティ③

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「これだけ口が広ければ、じゅうぶん鉄板全体に火が通るな!これ、借りてもいいかい?ここに鉄板を置きたいんだ。」
「ああ、もちろん構わないよ。」
 俺は巨大な鉄板を出してかまどの上に置いた。重さにして80キロ。肉体労働をしている男なら普通に持てるが、そうでない人間だと1人じゃ持てない重さのやつだ。

 鉄板がかまどからはみだす大きさなので、これなら鉄板から直接取って食べることも可能そうだ。俺は豚の薄切り肉、キャベツ、明太子、チーズ、餅、青のり、顆粒出汁、薄力粉、ウスターソース、醤油、塩、コショウ、サラダ油、ボウル、粉ふるい、泡立て器、大べラを2つ、小ベラをたくさん出した。

 ボウルに薄力粉をよくふるっていれ、薄力粉120グラムに対して、水1000ミリリットルを入れ、顆粒出汁小さじ2と、ウスターソースと醤油大さじ1、塩コショウを少々加えて、泡立て器でよく混ぜ生地を作る。
 キャベツはみじん切りにし、豚肉と餅とチーズは1センチ幅に切る。明太子は皮から外してほぐしてもいいし、切るだけでもいい。

 生地の4分の1に具材を入れて絡めたら、熱した鉄板に油をしいて、具材を絡めた生地をドーナツ状に広げて土手を作る。
 真ん中に残った生地を半分流し入れて、真ん中の生地に泡がたつようになったら、全体を混ぜて平らにする。

 残りの生地を入れて更に混ぜる。もっと小分けにして生地を流すやり方や、一気に全部入れるやり方もあるが、うちはこのやり方だ。チーズは後乗せする派もいるな。
 最後に大ベラを縦にして、素早く交互にタタタタタタタタタン!とリズミカルに全体を上から切ってやる。

 焦げ目がつくまでしっかり焼いたら、お好みで青のりをふりかけて、明太子餅チーズもんじゃ焼きの完成だ。
 うちではこれを4人前として作るが、量を食べない家族なら、もっと少ない生地の量で良いと思う。

「……え、ジョージ……それはなんなの?」
 案の定、アシュリーさんをはじめ、初めて見たみんなが見た目にドン引きしている。
「もんじゃ焼きって言って、俺たちの地元じゃ定番の子どものおやつなんだ。
 見た目はアレだけど食べるとうまいぜ。」

「なんでもいいと言ったもの……。
 食べてみるわ。」
「この小ベラで、鉄板から直接剥がして食べてみてくれ。熱いから小ベラが鉄板にあんまり触れないように気をつけて。」
 俺はアシュリーさんに小ベラを渡した。

 アシュリーさんは恐る恐る、小ベラですくってもんじゃ焼きを口にする。
「──なにこれ、美味しいわ!」
 俺はにっこり微笑んだ。
 子どもたちがワイワイ集まって来て、食べたい食べたい!と騒ぎ出した。

「かまどの背が高いから、地面にシートを敷いて、その上に椅子を置いて上に立とうか。ちょっと離れてくれ。」
 俺はビニールシートをいくつか出して、かまどを囲うように地面に敷いた。
「みんな、おうちから自分の椅子を持っておいで。」

 子どもたちはワーッと歓声を上げながら、自分たちの家から、えっちらおっちら椅子を持って来ると、かまどの周囲に椅子を置いてその上に乗った。
 俺が1人ずつに小ベラを渡すと、かまどの周囲を大勢で囲んで、みんなめいめいに小ベラでもんじゃ焼きを剥がして食べる。

「美味しい!」
「ピョル!」
 見るとヨシュア君が、自分の持ってきた椅子にカイアを乗せて、落ちないようにカイアの体を支えてくれている。
「美味しいね!」
 ナティス君とカイアが微笑み合っている。

「今度はヨシュアちゃんが乗りなよ。」
 ナティス君と交代でヨシュア君が椅子に乗り、手の届かないカイアのそばまで、もんじゃ焼きを小ベラで引き寄せてやり、一緒にもんじゃ焼きを食べている。
 2人とも優しいいい子だなあ。

 子どもたちの様子を見て、大人たちも手を出すようになった。見た目からは予想外の美味しさに、みんな目をみはる。
 もんじゃ焼きは大人気で、次々おかわりをみんなで作り、楽しくもんじゃ焼きパーティーをしたのだった。
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