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第41話 葱塩ダレのサラダチキン温玉トロロそうめん③

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「さあ、ご飯にしようか。」
 と言ってもキョトンとしている。
 やはり外と比べると、中の時間の進み方が遅いのだろうか。朝食を食べてすぐにマジックバックの中に入れたから、カイアの中では朝食を食べたばかりのお腹なのかな?
 でも俺は腹が減っちまったしなあ……。

 消化がよくて簡単なものにでもするか。量を食べれば腹にたまるし、消化がいいからカイアが食べたくなったら、お腹いっぱいでも少しは食べられるしな。
 俺は市販のサラダチキン、大根、長芋、長ネギ、小ねぎ、すだち、そうめん、温泉卵を出し、みりん、ごま油、塩、七味唐辛子、鶏ガラスープの素、昆布出汁の素、おろし金を出した。

 長ネギを薄い斜め切りにして、鶏ガラスープの素こさじ3、みりん小さじ4、昆布出汁の素小さじ1、塩ひとつまみ、水を120ミリリットル加えて、鍋で加熱する。電子レンジでもいいが、火加減がよく分からないのでそうしている。

 ほぐしたサラダチキンを加えて、さらにまぜる。浸透圧で少し味を染み込ませた後、粗熱をとったらボウルに移して、冷凍庫で瞬時に冷やす。冷蔵庫でもいいが、早く腹に何か入れた過ぎて今回はそうした。
 大根をむいて大根おろしを作る。

 その間に塩を入れた大きめの鍋でそうめんを茹でる。手早くざるにあけて水で冷やしたら、器にそうめんをいれて、冷やしておいたつゆをかけ、サラダチキンと長ネギをきれいに盛り付け、その上にトロロにすった長芋と温泉卵を乗せる。

 更に大根おろし、刻んだ小ねぎ、半分に切ったすだちを盛り付け、七味唐辛子、少し塩を混ぜたごま油を振りかけて、葱塩ダレのサラダチキン温玉トロロそうめんの完成だ。
 ちなみに今回は冷やしで作ったが、暖かくても美味しくいただけるし、そうめんのかわりにうどんでもいい。

「食べるか?」
 俺の分を盛り付けたのを見て、カイアがちょっと興味を示したようだったので聞いてみる。こっくりとうなずいたので、七味唐辛子抜きのものを、小さなお椀に同じように盛って、カイアを抱き上げて俺の隣の椅子に座らせてやり、フォークを渡した。

「すだちは好き嫌いが分かれるから、食べてみて、ちょっとかけてみて嫌なら、かけなくていいぞ。
 足りなかったらおかわりがあるからな。」
 カイアが一口食べたところで、ちょっとすだちを絞ってやる。
「どうだ?」
 すだちのかかった部分を食べて目をキラキラさせた。どうやら気に入ったようだ。

 俺も一気にそうめんをかきこむ。うん、めんつゆでなくてもうまいなあ。
 葱と塩とごま油の組み合わせって、どうしてこんなに最強なんだろう。酒のツマミにも料理にも合うんだから。
 自分ですだちを絞れないカイアが、すだちを絞って欲しがったので、全体に散らすように絞ってかけてやる。

 すだちのおかげか、食べたら食欲がわいたらしく、おかわりを欲しがったので、俺の分と一緒におかわりを作ってやり、2人でモリモリ美味しく食べた。
 洗い物をしている俺を見て、カイアが真似をしたがったのでやらせてみる。

「このヘチマタワシで洗うんだぞ。」
 最初はうまくヘチマタワシが掴めなくて、枝がヘチマタワシにささってしまった。
 俺はヘチマタワシが抜けなくて焦っているカイアに、笑いながらヘチマタワシを取ってやると、
「優しく触るんだ。ほら。」
 再びヘチマタワシを渡してやる。

 日頃食器をテーブルに置いたまま食べているカイアには、重すぎて片手じゃ落っことしそうだったので、俺が一緒に支えてやりながらカイア専用の食器を洗う。
「洗えたらお水で流そうな。」
 タンクから水を流して一緒にお椀を洗う。
 きれいになったお椀を見て、上手に洗えたことに嬉しそうなカイアに、俺は笑顔が止まらなかった。

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