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第39話 ルピラス商会と王宮へ③
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「今日はこれから、王宮にキッチンペーパーをおさめに行くついでに、侍従長にコボルトの店の商品を見せたいと思っているんだが、今手元に見本はあるか?
なければ次回で構わないんだが。
大量にと言われていたからな、王宮は後回しのつもりだったんだが、おさめられる数手に入ったから、最優先で行きたいんだ。」
「ああ、ありますよ。これと、これです。」
俺はアシュリーさんから分けてもらった、コボルトの食器を幾つかと、テッセ、ペシ、ラカンを渡した。
「ほおお、予想以上に美しいな。
それにこの感触が素晴らしい。口当たりもなめらかだ。」
エドモンドさんは食器をまじまじと眺め、カップに唇をあててみたりしていた。
追加で店で購入していた魔宝石を渡す。
「これは半径10メートルを照らす、照明の魔宝石ですが、他にも色んな魔宝石がありましたよ。
冒険者に人気なのは、これと、姿隠しの魔宝石と、操れるゴーレムが出てくるものだそうです。ゴーレムは高いですけどね。」
「いくらだ?」
「中金貨1枚です。
今、それと、敵を察知する精霊魔法を連動させて、敵が来たらゴーレムが出てくる魔道具の開発をお願いしています。」
「それ、出来たらうちでも欲しいな。
倉庫に置いたら、警備の人間が減らせるかも知れない。」
エドモンドさんが目を輝かせる。
「ただ、魔宝石の効果を2つ連動させる技術が難しいらしくて……。出来るかは確定じゃないんです。」
「そうなのか……。魔道具は、魔道具の効果1つ1つに魔石を使うが、連動してるのは魔道具の機能自身だからな。それと同じようにはいかないってわけか。」
「それをご存知なんですね、はい、そうみたいです。」
「最近自動で動いて止まる食器洗浄機が出てな。うちでも仕入れたんだが、どういった仕組みで動いているのか確認したら、そういうことだと言われたよ。」
さすが商人、耳が早いな。
「今ロンメルが、それの家庭用サイズの開発をお願いしていて、自動乾燥機能もつける予定なんですよ。開発出来たら、それも商人ギルドに登録する予定です。」
「なんだって!?ちょっと待て……。
自動食器洗浄機の開発者は……。」
エドモンドさんが何やら書類を引き出しから出してくる。
「開発登録者、ジョージ・エイト……。
ジョージ、君か!なんてことだ、見落としていたよ。出来上がったら、最優先で取り扱いさせてくれ。」
「ロンメルに、最安値で販売していただけますか?開発費用は俺が出しているので、俺が登録しますが、もともとは彼のアイデアなので。」
「ああ、もちろんだ、それくらいどうってことないさ。」
エドモンドさんは、胸を叩いて請け負ってくれた。
「実は……、前回パトリシア王女に王宮に呼ばれた際に、ルピラス商会がコボルトの商品を見せにいく際、俺も同行するよう言われてしまったのですが、俺も一緒にうかがったほうがいいですかね……。」
気乗りしないまま俺はそう言った。
「そうなのか?そりゃあ、行ったほうがいいだろうな。セレス様とパトリシア様は、男前に目がないことでも有名だ。
おそらく気に入られたのさ。」
エドモンドさんがニヤニヤする。
「俺にはその気がないので、来られても困るんですがね……。」
「なんだ、パトリシア王女は好みじゃないのか。まあ、俺もお転婆はゴメンだがな。
心配しなくても、さすがに国王が、平民のところに嫁にやろうとはしないさ。
それに滅多なことじゃ、平民は王宮で雇われないしな。そこまで心配しなくてもいいんじゃないか?」
「そうですか、でしたら安心です。
行きましょう。」
「そんなに嫌か……。」
ころっと態度を変えた俺を見て、エドモンドさんが驚いたように言う。
セレス様の態度とパトリシア王女の態度を両方合わせて考えると、さすがに結婚はないまでも、何らかの理由をつけて王宮に留められそうな気がしてしまうのだ。
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なければ次回で構わないんだが。
大量にと言われていたからな、王宮は後回しのつもりだったんだが、おさめられる数手に入ったから、最優先で行きたいんだ。」
「ああ、ありますよ。これと、これです。」
俺はアシュリーさんから分けてもらった、コボルトの食器を幾つかと、テッセ、ペシ、ラカンを渡した。
「ほおお、予想以上に美しいな。
それにこの感触が素晴らしい。口当たりもなめらかだ。」
エドモンドさんは食器をまじまじと眺め、カップに唇をあててみたりしていた。
追加で店で購入していた魔宝石を渡す。
「これは半径10メートルを照らす、照明の魔宝石ですが、他にも色んな魔宝石がありましたよ。
冒険者に人気なのは、これと、姿隠しの魔宝石と、操れるゴーレムが出てくるものだそうです。ゴーレムは高いですけどね。」
「いくらだ?」
「中金貨1枚です。
今、それと、敵を察知する精霊魔法を連動させて、敵が来たらゴーレムが出てくる魔道具の開発をお願いしています。」
「それ、出来たらうちでも欲しいな。
倉庫に置いたら、警備の人間が減らせるかも知れない。」
エドモンドさんが目を輝かせる。
「ただ、魔宝石の効果を2つ連動させる技術が難しいらしくて……。出来るかは確定じゃないんです。」
「そうなのか……。魔道具は、魔道具の効果1つ1つに魔石を使うが、連動してるのは魔道具の機能自身だからな。それと同じようにはいかないってわけか。」
「それをご存知なんですね、はい、そうみたいです。」
「最近自動で動いて止まる食器洗浄機が出てな。うちでも仕入れたんだが、どういった仕組みで動いているのか確認したら、そういうことだと言われたよ。」
さすが商人、耳が早いな。
「今ロンメルが、それの家庭用サイズの開発をお願いしていて、自動乾燥機能もつける予定なんですよ。開発出来たら、それも商人ギルドに登録する予定です。」
「なんだって!?ちょっと待て……。
自動食器洗浄機の開発者は……。」
エドモンドさんが何やら書類を引き出しから出してくる。
「開発登録者、ジョージ・エイト……。
ジョージ、君か!なんてことだ、見落としていたよ。出来上がったら、最優先で取り扱いさせてくれ。」
「ロンメルに、最安値で販売していただけますか?開発費用は俺が出しているので、俺が登録しますが、もともとは彼のアイデアなので。」
「ああ、もちろんだ、それくらいどうってことないさ。」
エドモンドさんは、胸を叩いて請け負ってくれた。
「実は……、前回パトリシア王女に王宮に呼ばれた際に、ルピラス商会がコボルトの商品を見せにいく際、俺も同行するよう言われてしまったのですが、俺も一緒にうかがったほうがいいですかね……。」
気乗りしないまま俺はそう言った。
「そうなのか?そりゃあ、行ったほうがいいだろうな。セレス様とパトリシア様は、男前に目がないことでも有名だ。
おそらく気に入られたのさ。」
エドモンドさんがニヤニヤする。
「俺にはその気がないので、来られても困るんですがね……。」
「なんだ、パトリシア王女は好みじゃないのか。まあ、俺もお転婆はゴメンだがな。
心配しなくても、さすがに国王が、平民のところに嫁にやろうとはしないさ。
それに滅多なことじゃ、平民は王宮で雇われないしな。そこまで心配しなくてもいいんじゃないか?」
「そうですか、でしたら安心です。
行きましょう。」
「そんなに嫌か……。」
ころっと態度を変えた俺を見て、エドモンドさんが驚いたように言う。
セレス様の態度とパトリシア王女の態度を両方合わせて考えると、さすがに結婚はないまでも、何らかの理由をつけて王宮に留められそうな気がしてしまうのだ。
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