96 / 424
第34話 八宝菜丼とチョミックル(サワガニもどき)の素揚げ③
しおりを挟む
「さて、俺も準備するか。」
俺は商人ギルドへと向かうことにした。
商人ギルドにつくと、前回申請したキッチンペーパーの登録が終わっていて、販売を担当する商団を紹介するので、品物をおろしてほしいと頼まれた。
かなり手広くやっている、有名なところらしく、店を持ちたいと話すと、商団に相談してみたほうがいいのではないかと言われた。
「実際に町に詳しいのは、商団の皆様のほうですので。」
なるほど。
「副長さんがちょうどいらしてますから、ご紹介いたしますね。」
商人ギルドの受付嬢が、奥で人と話していた、もみあげから髭のはえたたくましい男性を連れてくる。
「こちらエドモンドさんです。
ルピラス商会の副長さんです。
こちらの方がジョージさんです。」
「ジョージ・エイトです。
良かったんですか?お話のほうは……。」
「エドモンド・ルーファスだ。
ちょうど終わったところだから構わない。
見本を見せて貰ったが、あれはとても素晴らしいものだった。
きっとこの国どころか、他の国にも広まるだろう。君はあれをどこで?」
「まあ……、それは商売上の秘密ということで……。」
「まあ、それはそうだよな。
こちらは商品の質さえよければ問題ない。
取引に感謝する。」
エドモンドさんが快活に笑いながら握手を求めて来た。
俺はエドモンドさんと握手をかわす。
「こちらこそ、よろしくおねがいします。
それで、先程受付嬢の方から伺ったのですが、俺は店を出したいと考えていまして、それなら商団の方に相談したほうがよいとのことで……。なんでも町にお詳しいとか。」
「まあそうだな、俺たちはあちこちの店に顔がきくし、客層なんかも把握している。
どうだ、どこかの店でゆっくり話をしないか?」
「それが、実は先ほど昼を食べてきたばかりでして……。」
「ああ、それならキャフェに行こう。
今度ジョージの商品をおろす予定の店さ。
なかなかいいコーヒーを出すんだ。」
キャフェ?カフェのことか?コーヒーを出すというし。どこかの国の発音だと、カフェがキャフェだったよな、確か。
エドモンドさんが連れて来てくれたのは、やはりカフェだった。コーヒーを2つ注文すると、飲み慣れたコーヒーが出てくる。
名前は違うけどマヨネーズがあったり、小麦粉はそのまま小麦粉だったり、全然違う食材もあったりで、不思議な世界だな。
「おいしいです。」
「それは良かった、ところで、どこにどんな店を出したいと思ってるんだ?」
「若返りの効果のあるお茶と、絵柄が美麗な食器と、精霊魔法のかかった魔宝石があるので、貴族の住む地域に出したいと思っているのですが……。」
「なんだって!?
それは本当か?ジョージ。
それは確かに貴族にうけるだろう。
君は本当に凄いな。」
「ですが土地を買うにしても、借りるにしても、色々と問題があるようで……。」
「まあ、そこは確かにそうだな。
買ったほうが俺は良いと思うが、貴族の保証のあてはあるのか?」
「王宮勤めの友人がおりまして、あたって貰おうかと思っているのですが……。
既に何か動いてくれているようです。」
「ふむ。なら、先に店の場所を探したほうがいいな、そこを誰が持っているかで話が変わってくる。」
「ですが、友人から、俺の売りたいものが原因で、貴族の住む場所は難しいと思うと言われてしまいまして……。」
「なぜだ?商品はどれも、貴族の気をひくものばかりだ。
貴族の護衛は精霊魔法を使えない。
精霊魔法の使える魔宝石なんて、いくらでも買うだろうに。
若返りのお茶だってそうだ。
美しい食器も興味を示すだろう。」
「俺の出したい店は、料理も出すつもりなのですが、それがコボルトの料理なのです。
お茶も、食器も、精霊魔法の使える魔宝石も、すべてコボルトたちが作っています。」
「コボルトだって!?」
突然エドモンドさんが眉間にシワを寄せ、目を見開いて俺を見た。
────────────────────
少しでも面白いと思ったら、エピソードごとのイイネ、または応援するを押していただけたら幸いです。
俺は商人ギルドへと向かうことにした。
商人ギルドにつくと、前回申請したキッチンペーパーの登録が終わっていて、販売を担当する商団を紹介するので、品物をおろしてほしいと頼まれた。
かなり手広くやっている、有名なところらしく、店を持ちたいと話すと、商団に相談してみたほうがいいのではないかと言われた。
「実際に町に詳しいのは、商団の皆様のほうですので。」
なるほど。
「副長さんがちょうどいらしてますから、ご紹介いたしますね。」
商人ギルドの受付嬢が、奥で人と話していた、もみあげから髭のはえたたくましい男性を連れてくる。
「こちらエドモンドさんです。
ルピラス商会の副長さんです。
こちらの方がジョージさんです。」
「ジョージ・エイトです。
良かったんですか?お話のほうは……。」
「エドモンド・ルーファスだ。
ちょうど終わったところだから構わない。
見本を見せて貰ったが、あれはとても素晴らしいものだった。
きっとこの国どころか、他の国にも広まるだろう。君はあれをどこで?」
「まあ……、それは商売上の秘密ということで……。」
「まあ、それはそうだよな。
こちらは商品の質さえよければ問題ない。
取引に感謝する。」
エドモンドさんが快活に笑いながら握手を求めて来た。
俺はエドモンドさんと握手をかわす。
「こちらこそ、よろしくおねがいします。
それで、先程受付嬢の方から伺ったのですが、俺は店を出したいと考えていまして、それなら商団の方に相談したほうがよいとのことで……。なんでも町にお詳しいとか。」
「まあそうだな、俺たちはあちこちの店に顔がきくし、客層なんかも把握している。
どうだ、どこかの店でゆっくり話をしないか?」
「それが、実は先ほど昼を食べてきたばかりでして……。」
「ああ、それならキャフェに行こう。
今度ジョージの商品をおろす予定の店さ。
なかなかいいコーヒーを出すんだ。」
キャフェ?カフェのことか?コーヒーを出すというし。どこかの国の発音だと、カフェがキャフェだったよな、確か。
エドモンドさんが連れて来てくれたのは、やはりカフェだった。コーヒーを2つ注文すると、飲み慣れたコーヒーが出てくる。
名前は違うけどマヨネーズがあったり、小麦粉はそのまま小麦粉だったり、全然違う食材もあったりで、不思議な世界だな。
「おいしいです。」
「それは良かった、ところで、どこにどんな店を出したいと思ってるんだ?」
「若返りの効果のあるお茶と、絵柄が美麗な食器と、精霊魔法のかかった魔宝石があるので、貴族の住む地域に出したいと思っているのですが……。」
「なんだって!?
それは本当か?ジョージ。
それは確かに貴族にうけるだろう。
君は本当に凄いな。」
「ですが土地を買うにしても、借りるにしても、色々と問題があるようで……。」
「まあ、そこは確かにそうだな。
買ったほうが俺は良いと思うが、貴族の保証のあてはあるのか?」
「王宮勤めの友人がおりまして、あたって貰おうかと思っているのですが……。
既に何か動いてくれているようです。」
「ふむ。なら、先に店の場所を探したほうがいいな、そこを誰が持っているかで話が変わってくる。」
「ですが、友人から、俺の売りたいものが原因で、貴族の住む場所は難しいと思うと言われてしまいまして……。」
「なぜだ?商品はどれも、貴族の気をひくものばかりだ。
貴族の護衛は精霊魔法を使えない。
精霊魔法の使える魔宝石なんて、いくらでも買うだろうに。
若返りのお茶だってそうだ。
美しい食器も興味を示すだろう。」
「俺の出したい店は、料理も出すつもりなのですが、それがコボルトの料理なのです。
お茶も、食器も、精霊魔法の使える魔宝石も、すべてコボルトたちが作っています。」
「コボルトだって!?」
突然エドモンドさんが眉間にシワを寄せ、目を見開いて俺を見た。
────────────────────
少しでも面白いと思ったら、エピソードごとのイイネ、または応援するを押していただけたら幸いです。
428
お気に入りに追加
1,873
あなたにおすすめの小説
白紙の冒険譚 ~パーティーに裏切られた底辺冒険者は魔界から逃げてきた最弱魔王と共に成り上がる~
草乃葉オウル
ファンタジー
誰もが自分の魔法を記した魔本を持っている世界。
無能の証明である『白紙の魔本』を持つ冒険者エンデは、生活のため報酬の良い魔境調査のパーティーに参加するも、そこで捨て駒のように扱われ命の危機に晒される。
死の直前、彼を助けたのは今にも命が尽きようかという竜だった。
竜は残った命を魔力に変えてエンデの魔本に呪文を記す。
ただ一つ、『白紙の魔本』を持つ魔王の少女を守ることを条件に……。
エンデは竜の魔法と意思を受け継ぎ、覇権を争う他の魔王や迫りくる勇者に立ち向かう。
やがて二人のもとには仲間が集まり、世界にとって見逃せない存在へと成長していく。
これは種族は違えど不遇の人生を送ってきた二人の空白を埋める物語!
※完結済みの自作『PASTEL POISON ~パーティに毒の池に沈められた男、Sランクモンスターに転生し魔王少女とダンジョンで暮らす~』に多くの新要素を加えストーリーを再構成したフルリメイク作品です。本編は最初からすべて新規書き下ろしなので、前作を知ってる人も知らない人も楽しめます!
目覚めた世界は異世界化? ~目が覚めたら十年後でした~
白い彗星
ファンタジー
十年という年月が、彼の中から奪われた。
目覚めた少年、達志が目にしたのは、自分が今までに見たことのない世界。見知らぬ景色、人ならざる者……まるで、ファンタジーの中の異世界のような世界が、あった。
今流行りの『異世界召喚』!? そう予想するが、衝撃の真実が明かされる!
なんと達志は十年もの間眠り続け、その間に世界は魔法ありきのファンタジー世界になっていた!?
非日常が日常となった世界で、現実を生きていくことに。
大人になった幼なじみ、新しい仲間、そして……
十年もの時間が流れた世界で、世界に取り残された達志。しかし彼は、それでも動き出した時間を手に、己の足を進めていく。
エブリスタで投稿していたものを、中身を手直しして投稿しなおしていきます!
エブリスタ、小説家になろう、ノベルピア、カクヨムでも、投稿してます!
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
転生5回目!? こ、今世は楽しく長生きします!
実川えむ
ファンタジー
猫獣人のロジータ、10歳。
冒険者登録して初めての仕事で、ダンジョンのポーターを務めることになったのに、
なぜか同行したパーティーメンバーによって、ダンジョンの中の真っ暗闇の竪穴に落とされてしまった。
「なーんーでーっ!」
落下しながら、ロジータは前世の記憶というのを思い出した。
ただそれが……前世だけではなく、前々々々世……4回前? の記憶までも思い出してしまった。
ここから、ロジータのスローなライフを目指す、波乱万丈な冒険が始まります。
ご都合主義なので、スルーと流して読んで頂ければありがたいです。
セルフレイティングは念のため。
42歳メジャーリーガー、異世界に転生。チートは無いけど、魔法と元日本最高級の豪速球で無双したいと思います。
町島航太
ファンタジー
かつて日本最強投手と持て囃され、MLBでも大活躍した佐久間隼人。
しかし、老化による衰えと3度の靭帯損傷により、引退を余儀なくされてしまう。
失意の中、歩いていると球団の熱狂的ファンからポストシーズンに行けなかった理由と決めつけられ、刺し殺されてしまう。
だが、目を再び開くと、魔法が存在する世界『異世界』に転生していた。
オタクな母娘が異世界転生しちゃいました
yanako
ファンタジー
中学生のオタクな娘とアラフィフオタク母が異世界転生しちゃいました。
二人合わせて読んだ異世界転生小説は一体何冊なのか!転生しちゃった世界は一体どの話なのか!
ごく普通の一般日本人が転生したら、どうなる?どうする?
外れスキル持ちの天才錬金術師 神獣に気に入られたのでレア素材探しの旅に出かけます
蒼井美紗
ファンタジー
旧題:外れスキルだと思っていた素材変質は、レア素材を量産させる神スキルでした〜錬金術師の俺、幻の治癒薬を作り出します〜
誰もが二十歳までにスキルを発現する世界で、エリクが手に入れたのは「素材変質」というスキルだった。
スキル一覧にも載っていないレアスキルに喜んだのも束の間、それはどんな素材も劣化させてしまう外れスキルだと気づく。
そのスキルによって働いていた錬金工房をクビになり、生活費を稼ぐために仕方なく冒険者になったエリクは、街の外で採取前の素材に触れたことでスキルの真価に気づいた。
「素材変質スキル」とは、採取前の素材に触れると、その素材をより良いものに変化させるというものだったのだ。
スキルの真の力に気づいたエリクは、その力によって激レア素材も手に入れられるようになり、冒険者として、さらに錬金術師としても頭角を表していく。
また、エリクのスキルを気に入った存在が仲間になり――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる