85 / 424
第31話 コボルト自家製ソーセージのカオパットネーム(ソーセージ入りタイ風チャーハン)①
しおりを挟む
「そういえば、先程集落の様子がおかしかったのですが、ひょっとして、俺が1人で尋ねて来たからなのでしょうか?」
俺は気になっていたことをオンスリーさんに尋ねた。オンスリーさんはハッとした表情になったあとでうつむいた。
「はい……。アスターさんたちは、何度もこちらにいらしていますし、討伐した魔物を分けてくださることも多く、我々も信用していますが、それ以外の人間は、我らに害をなすものも多いのです。」
そうだったのか。
「魔物の集落から金品を奪っても、罪に問われることはありません。
我らは既に魔物ではありませんが、まだまだ偏見が根深く、集落を襲った人間に対し、役人がおめこぼしをするのです。
それであのように……。
大変申し訳ありませんでした。」
「いえ、そうした事情も知らず、1人で来てしまったこちらが悪いのです。
気になさらないで下さい。」
頭を下げるオンスリーさんに、頭をあげるよう促す。
色々な事情のある場所なのだ、もう少し事前に調べておけば良かった。
申し訳無さそうな俺を見て、オンスリーさんが恐縮する。
「ジョージ様は我らと同じく、ドライアド様の守護を持つお方。ドライアド様は純粋で心優しく、他人に危害を加えるつもりのない存在にしか、味方をしないものと言われております。今後ジョージ様を敵視するものは、この集落にはいないと言っていいでしょう。」
「そうなのか?カイア。」
そう尋ねる俺に、不思議そうに首をかしげたあと、ニコーッとするカイア。
「名付けをされたのですね。」
オンスリーさんが驚いた表情で俺を見る。
「何かまずかったですか?」
「──いえ、逆です。
精霊や妖精は、生涯付き従うと決めた存在以外からの名付けを受け入れません。
カイア様が名付けを受け入れていらっしゃるということは、ジョージ様を守護しつつ、ジョージ様の庇護下に入ったということにほかなりません。」
「ええと?つまりどういう……。」
「簡単に申しますと、ジョージ様の命ある限り、カイア様はジョージ様とともにあるということです。
また、ジョージ様が生まれ変わったとしても、その魂を探して目の前に現れることでしょう。よほど気に入られたのですね。」
オンスリーさんがニッコリする。
「精霊は古来より、信仰心と愛情を元に力を得ると言われております。この大きさでカイア様は既に力を使われた。
ジョージ様がカイア様を大切にされているのが伝わっているのでしょう。」
「カイア……。」
言葉が通じているのか、不安に思っていたが、気持ちはしっかり伝わっていたらしい。
泣きそうになりながら微笑む俺に、キャッキャッと無邪気に笑うカイア。
「そういえば、人間がこちらに来るのが珍しく、来る場合、集落を襲撃する目的の人間の可能性が高いということは、みなさんあまり人間と交流されていらっしゃらないのでしょうか?冒険者ギルドからは、友好的な種族であると伺っていたのですが……。」
「はい、冒険者ギルドの方々とは、友好的に対応させていただいておりますが、それ以外の人間となりますと……。
基本的にこの集落の中ですべてを完結しておりますので、人間の世界に買い出しに行くようなこともありませんで……。
まれに冒険者組は、外で人間と交流がありますが。」
「そうなんですね……。」
交流がないとなると、双方に誤解があるまま、それを解決する手段もないわけか。
「例えばなんですが、もし交流する機会があるとすれば、してみたいと思いますか?」
「と言いますと?」
オンスリーさんは首をかしげる。
「人間と交流する第一歩を、踏み出してみるお気持ちはありますか?」
オンスリーさんは明らかに逡巡した。
「若いものはそうした考えのものもいるようですが、我々はこの歳になりますと……。」
まあ、そうだろうな。人間も、長年培った価値観を変えるのは難しい。
「もちろん、時間はかかると思います。
ですが、集落を襲われても、役人が犯罪者の味方をするという状況は異常です。
俺はそれに我慢がなりません。」
俺は気になっていたことをオンスリーさんに尋ねた。オンスリーさんはハッとした表情になったあとでうつむいた。
「はい……。アスターさんたちは、何度もこちらにいらしていますし、討伐した魔物を分けてくださることも多く、我々も信用していますが、それ以外の人間は、我らに害をなすものも多いのです。」
そうだったのか。
「魔物の集落から金品を奪っても、罪に問われることはありません。
我らは既に魔物ではありませんが、まだまだ偏見が根深く、集落を襲った人間に対し、役人がおめこぼしをするのです。
それであのように……。
大変申し訳ありませんでした。」
「いえ、そうした事情も知らず、1人で来てしまったこちらが悪いのです。
気になさらないで下さい。」
頭を下げるオンスリーさんに、頭をあげるよう促す。
色々な事情のある場所なのだ、もう少し事前に調べておけば良かった。
申し訳無さそうな俺を見て、オンスリーさんが恐縮する。
「ジョージ様は我らと同じく、ドライアド様の守護を持つお方。ドライアド様は純粋で心優しく、他人に危害を加えるつもりのない存在にしか、味方をしないものと言われております。今後ジョージ様を敵視するものは、この集落にはいないと言っていいでしょう。」
「そうなのか?カイア。」
そう尋ねる俺に、不思議そうに首をかしげたあと、ニコーッとするカイア。
「名付けをされたのですね。」
オンスリーさんが驚いた表情で俺を見る。
「何かまずかったですか?」
「──いえ、逆です。
精霊や妖精は、生涯付き従うと決めた存在以外からの名付けを受け入れません。
カイア様が名付けを受け入れていらっしゃるということは、ジョージ様を守護しつつ、ジョージ様の庇護下に入ったということにほかなりません。」
「ええと?つまりどういう……。」
「簡単に申しますと、ジョージ様の命ある限り、カイア様はジョージ様とともにあるということです。
また、ジョージ様が生まれ変わったとしても、その魂を探して目の前に現れることでしょう。よほど気に入られたのですね。」
オンスリーさんがニッコリする。
「精霊は古来より、信仰心と愛情を元に力を得ると言われております。この大きさでカイア様は既に力を使われた。
ジョージ様がカイア様を大切にされているのが伝わっているのでしょう。」
「カイア……。」
言葉が通じているのか、不安に思っていたが、気持ちはしっかり伝わっていたらしい。
泣きそうになりながら微笑む俺に、キャッキャッと無邪気に笑うカイア。
「そういえば、人間がこちらに来るのが珍しく、来る場合、集落を襲撃する目的の人間の可能性が高いということは、みなさんあまり人間と交流されていらっしゃらないのでしょうか?冒険者ギルドからは、友好的な種族であると伺っていたのですが……。」
「はい、冒険者ギルドの方々とは、友好的に対応させていただいておりますが、それ以外の人間となりますと……。
基本的にこの集落の中ですべてを完結しておりますので、人間の世界に買い出しに行くようなこともありませんで……。
まれに冒険者組は、外で人間と交流がありますが。」
「そうなんですね……。」
交流がないとなると、双方に誤解があるまま、それを解決する手段もないわけか。
「例えばなんですが、もし交流する機会があるとすれば、してみたいと思いますか?」
「と言いますと?」
オンスリーさんは首をかしげる。
「人間と交流する第一歩を、踏み出してみるお気持ちはありますか?」
オンスリーさんは明らかに逡巡した。
「若いものはそうした考えのものもいるようですが、我々はこの歳になりますと……。」
まあ、そうだろうな。人間も、長年培った価値観を変えるのは難しい。
「もちろん、時間はかかると思います。
ですが、集落を襲われても、役人が犯罪者の味方をするという状況は異常です。
俺はそれに我慢がなりません。」
389
お気に入りに追加
1,873
あなたにおすすめの小説
レジェンドテイマー ~異世界に召喚されて勇者じゃないから棄てられたけど、絶対に元の世界に帰ると誓う男の物語~
裏影P
ファンタジー
【2022/9/1 一章二章大幅改稿しました。三章作成中です】
宝くじで一等十億円に当選した運河京太郎は、突然異世界に召喚されてしまう。
異世界に召喚された京太郎だったが、京太郎は既に百人以上召喚されているテイマーというクラスだったため、不要と判断されてかえされることになる。
元の世界に帰してくれると思っていた京太郎だったが、その先は死の危険が蔓延る異世界の森だった。
そこで出会った瀕死の蜘蛛の魔物と遭遇し、運よくテイムすることに成功する。
大精霊のウンディーネなど、個性溢れすぎる尖った魔物たちをテイムしていく京太郎だが、自分が元の世界に帰るときにテイムした魔物たちのことや、突然降って湧いた様な強大な力や、伝説級のスキルの存在に葛藤していく。
持っている力に振り回されぬよう、京太郎自身も力に負けない精神力を鍛えようと決意していき、絶対に元の世界に帰ることを胸に、テイマーとして異世界を生き延びていく。
※カクヨム・小説家になろうにて同時掲載中です。
白紙の冒険譚 ~パーティーに裏切られた底辺冒険者は魔界から逃げてきた最弱魔王と共に成り上がる~
草乃葉オウル
ファンタジー
誰もが自分の魔法を記した魔本を持っている世界。
無能の証明である『白紙の魔本』を持つ冒険者エンデは、生活のため報酬の良い魔境調査のパーティーに参加するも、そこで捨て駒のように扱われ命の危機に晒される。
死の直前、彼を助けたのは今にも命が尽きようかという竜だった。
竜は残った命を魔力に変えてエンデの魔本に呪文を記す。
ただ一つ、『白紙の魔本』を持つ魔王の少女を守ることを条件に……。
エンデは竜の魔法と意思を受け継ぎ、覇権を争う他の魔王や迫りくる勇者に立ち向かう。
やがて二人のもとには仲間が集まり、世界にとって見逃せない存在へと成長していく。
これは種族は違えど不遇の人生を送ってきた二人の空白を埋める物語!
※完結済みの自作『PASTEL POISON ~パーティに毒の池に沈められた男、Sランクモンスターに転生し魔王少女とダンジョンで暮らす~』に多くの新要素を加えストーリーを再構成したフルリメイク作品です。本編は最初からすべて新規書き下ろしなので、前作を知ってる人も知らない人も楽しめます!
元銀行員の俺が異世界で経営コンサルタントに転職しました
きゅちゃん
ファンタジー
元エリート (?)銀行員の高山左近が異世界に転生し、コンサルタントとしてがんばるお話です。武器屋の経営を改善したり、王国軍の人事制度を改定していったりして、異世界でビジネススキルを磨きつつ、まったり立身出世していく予定です。
元エリートではないものの銀行員、現小売で働く意識高い系の筆者が実体験や付け焼き刃の知識を元に書いていますので、ツッコミどころが多々あるかもしれません。
もしかしたらひょっとすると仕事で役に立つかもしれない…そんな気軽な気持ちで読んで頂ければと思います。
目覚めた世界は異世界化? ~目が覚めたら十年後でした~
白い彗星
ファンタジー
十年という年月が、彼の中から奪われた。
目覚めた少年、達志が目にしたのは、自分が今までに見たことのない世界。見知らぬ景色、人ならざる者……まるで、ファンタジーの中の異世界のような世界が、あった。
今流行りの『異世界召喚』!? そう予想するが、衝撃の真実が明かされる!
なんと達志は十年もの間眠り続け、その間に世界は魔法ありきのファンタジー世界になっていた!?
非日常が日常となった世界で、現実を生きていくことに。
大人になった幼なじみ、新しい仲間、そして……
十年もの時間が流れた世界で、世界に取り残された達志。しかし彼は、それでも動き出した時間を手に、己の足を進めていく。
エブリスタで投稿していたものを、中身を手直しして投稿しなおしていきます!
エブリスタ、小説家になろう、ノベルピア、カクヨムでも、投稿してます!
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
ダンジョン菌にまみれた、様々なクエストが提示されるこの現実世界で、【クエスト簡略化】スキルを手にした俺は最強のスレイヤーを目指す
名無し
ファンタジー
ダンジョン菌が人間や物をダンジョン化させてしまう世界。ワクチンを打てば誰もがスレイヤーになる権利を与えられ、強化用のクエストを受けられるようになる。
しかし、ワクチン接種で稀に発生する、最初から能力の高いエリート種でなければクエストの攻略は難しく、一般人の佐嶋康介はスレイヤーになることを諦めていたが、仕事の帰りにコンビニエンスストアに立ち寄ったことで運命が変わることになる。
異世界転移したら、死んだはずの妹が敵国の将軍に転生していた件
有沢天水
ファンタジー
立花烈はある日、不思議な鏡と出会う。鏡の中には死んだはずの妹によく似た少女が写っていた。烈が鏡に手を触れると、閃光に包まれ、気を失ってしまう。烈が目を覚ますと、そこは自分の知らない世界であった。困惑する烈が辺りを散策すると、多数の屈強な男に囲まれる一人の少女と出会う。烈は助けようとするが、その少女は瞬く間に屈強な男たちを倒してしまった。唖然とする烈に少女はにやっと笑う。彼の目に真っ赤に燃える赤髪と、金色に光る瞳を灼き付けて。王国の存亡を左右する少年と少女の物語はここから始まった!
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる