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第11話 パン粉のフレンチトーストとタコ入りマリネサラダとソーセージとプレーンヨーグルト①

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 俺は朝食と洗濯を済ませると、朝から冒険者ギルドに来ていた。早くオークを狩れるようになる為に、ランクを上げる為だ。
 今の俺が受けられるのはダイアウルフという犬とオオカミの中間のような魔物らしい。

 ダイアウルフは絶滅したかなんかで、前世でも名前を聞いたことがある気がするが、こっちでは魔物なんだな。
 肉は不味くて食べられないらしいのでそこは残念だが、牙と毛皮は冒険者ギルドで買い取りをしてくれるそうだ。

 最も低い魔物ランクの中では最上位にあたり、群れで行動していることから、新人は普通はパーティーを組んで戦うものなのだそうだ。近接職3人と遠距離職1人、または近接職2人と遠距離職2人が基本らしい。

 パーティーメンバーは冒険者ギルドに参加希望を伝えて、参加者が集まったら連絡が来るタイプと、はじめから組んでいるところが1人ないし2人を募集している旨を掲示版に貼り出しているタイプとがある。

 他の新人の程度が分からないが、あまり知らない人間と組むのもそうだが、俺の世界の銃を見られるのもどうかと思う。
 こちらの世界にも銃はあるが、連射がきかないことから冒険者は使わないらしい。

 俺が1人で受けたい旨を告げると、はじめは難しいと思いますよ、と受付嬢がアドバイスしてくれたが、俺がワイルドボアを1人で倒したことを知っている受付嬢が、多分この人なら大丈夫よ、と言ってくれて、無事に1人で受注出来ることとなった。期限内に倒せればいいそうだ。

 今回は中型の魔物の群れということで、俺は散弾が使用したかった為、MSS-20を出した。口径20番、装弾数2発だが連発機能あり、ライフリングはないがライフリングチョークのある銃で、年式によっては交換チョーク式のものもあり日本製だ。

 銃を扱ったことのない人からすると、日本で銃を作っている会社があること自体驚かれるが、実は何社も存在する。
 MSS-20は脱着式弾倉を外さずに、弾倉と薬室共に弾が装填出来る為選んだ。いざという時に素早く弾を装填出来るかどうかはとても大きいと思う。

 ボルト式スムースボアで、ボルトを引くと排莢が行われ、ボルトを戻すと弾倉に次弾があれば装填される。次弾が装填されていても薬室に装填可能な銃だ。
 ボルト式散弾銃はマガジンからの次弾装填時にジャムりやすいので、手を加えずに使う場合は、手で薬室に実包を装填する方が確実ではあるが。

 ただそのままでもスラッグの命中精度が高く、スラッグ射撃大会の上位がMSS-20で占められている程だ。
 ライフリングは1つの弾頭を自転させるために存在する為、散弾銃に付けると銃口から飛び出た瞬間横に拡散してしまい、真っ直ぐ飛ばなくなってしまう。

 そこでライフリングチョークだ。
 ライフリングチョークは実際には絞りではないのだが、同様の結果をもたらす為に恐らくそう呼ばれている。
 銃口部のみスラッグ弾用にライフリングを与えたのがこの部分だ。

 粒の小さい散弾を使用した時に周辺部の粒が散らばるので、少々効率は落ちるものの、スラッグ弾の飛距離と命中精度が確実に向上する。
 俺はライフルがあるので、狩猟では普段あまり使用しない銃ではあるが。

 散弾銃は銃身の先端の内径を小さくすることで、弾のまとまりや飛距離をコントロールしている。この銃口内先端部分がチョークという絞りになるのだが、通常6段階の絞りが元から決まっているものと、チョークの部分をねじ式にして、用途に応じて交換出来る、交換式チョークのものがある。

 交換式チョークのほとんどはスチール弾装弾対応の為、鉛装弾使用禁止区域でも使うことができる。
 水鳥の保護の為に世界的に鉛装弾が禁止されてからもいうもの、日本でも鉛以外の装弾が義務付けられている地域がある。

 ただスチール装弾は鉛装弾に比べて跳弾や跳ね返りの危険が大きくなる為、硬い地面や岩石、氷や水面への発砲は絶対に避けなくてはならない。
 また倒した獲物を調理する際に、うっかり弾を噛むと歯がかける恐れもあるので、そこも要注意だ。

 俺は万が一大物に遭遇した時の為に、サボット型スラッグ弾頭も持って行きたかった。
 サボット型スラッグは散弾銃から発射出来るライフル弾だ。銃口よりも小さな弾頭をプラスチック容器で包んであり、散弾銃の銃身でライフル弾を発射したいという要望から考えだされたものだ。

 硬質なサボットを、ライフリンクと噛み合わせて発射することで、サボットごと中の弾頭に回転を加えられる仕組みになっている、ライフルドショットガン専用のスラッグ弾頭だ。

 散弾はジャイロ効果を持っていないことが多く、弾が安定しないが、この回転が加えられることにより、射出後に分離したサボットと弾頭は、弾頭だけがライフル弾と同じ原理によって、安定した軌道で滑空する、という触れ込みにはなっている。

 ただしライフル銃と違って、散弾銃の銃身の軽さのせいで、サボット型スラッグ弾頭を撃つ際に、スコープを間近で覗こうものなら反動で目にスコープがぶち当たる。
 また命中精度でいうならライフル銃身の比じゃない。あくまでも至近距離での威力重視だ。
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