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第3章

第506話 ベッドの上で手をつないで。

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「え?今でもじゅうぶん、抗議は出来るよ?
 それなのに、明確に彼らが犯行をおこしてからのほうが、いいって思ってるの?」
 僕は驚いて思わず声が大きくなった。

「じゃないと証拠映像が撮れなくて、抗議するにしても弱いじゃない。……それに、被害に合った女の子たちが報われないわ。」
 ヒルデは口を尖らせてむくれている。

「まあ……それはそうだね。
 じゃあ、むしろ誘導するべきなのか。」
「私が呼び出しに応じればいいのよ。」
 ヒルデがあっさりと言う。

「ヒルデのところにも、もう呼び出しが来てるの?オフィーリア嬢は、何度も呼び出されて無視しているって言ってたけど。」
 ついでにとっちめた?らしいけど。

「私は貴族と違って、呼び出しに応じる義務はないから、他の女の子を通じてだけどね。
 ……怯えた様子だったから、たぶんその子も被害者で、脅されているんだと思うの。」

「被害者を更に苦しめてるのか……。
 だからとっちめてやりたいんだね?」
「ええ。王太子でいられなくしてやりたい。あんなのに国をおさめられたら終わるわ。」

「でも、王族には、国王になったら過去の罪を問うことが出来ない、っていう法律があるんだよ。だから好き勝手してるんだと思う。
 今被害を訴えても、彼が王さまになることは可能だよ。何せ王子が1人だけだしね。」

「じゃあ、どうしたらいいの!?
 あんなの、……絶対に許せないわよ!」
「……待って、ヒルデ。王太子でいられなくする、か。それなら逆に可能かも。」

「え?どういうこと?」
「文字通り、ルーデンスさまを王太子じゃいられなくしてやるのさ。
 僕のスキルを使ってね。」

 僕がニッコリと微笑むと、ヒルデは不思議そうに眉をひそめて首を傾げた。
「それより、もっと楽しい話をしようよ。
 せっかく2人きりなんだしさ。」

「そ、そうね。それはミーニャやオフィーリアさまがいる時に、ゆっくりすればいいわ。
 2人っきり……なんだし。
 2人でしか出来ない話がしたいわよね。」

「そうだね、僕たちもう少し、お互いのことを知るべきだと思うよ。ねえ、ヒルデの子どもの頃って、どんなだったの?」

「こ、子どもの頃?割と……そうね、やんちゃだったかも。棒を持って男の子たちを追いかけ回したりもしてたし。
 昔は騎士になりたかったのよね。」

「騎士に?冒険者じゃなくて?」
「たぶん……、おばあちゃんが、ひいおばあちゃんから聞いた、おじいちゃんの話を、私にしてくれたからだと思うの。」

「ああ、近衛騎士だったんだものね。」
「平民の女性は騎士になれないって知って、冒険者になってからは、セオドアさまと同じ剣聖になりたくて。今は勇者になりたい。」

「なれるよ。僕はヒルデと叔父さんに、真っ先に勇者になって欲しいと思ってるし。僕も力を貸せるよう頑張るからさ。」

「……その為には、私がアレックスの加護を得ないといけないのよ?
 アレックス、ミーニャもオフィーリアさまのことも、レンジアとか言う子にも加護をあげてるのに、私だけないって……。」

「そ、それはごめん……。」
「だから私を好きになって。
 アレックスの気持ち次第なんでしょう?
 アレックスの加護って。」

「う、うん、そうだね。」
 ヒルデの手が、テーブルに置いた僕の手の上に重なった。

「私は、アレックスが好きよ?」
「う、うん……。」
「うんじゃなくて、もう少し、何か言って。
 私のこと、どう思う?」

「かわいいと思うよ?かわいいし、強いし、それに、最近すっごく女の子らしいなって思ったりもするよ。」
「ほんと?」

「うん、その服もメイクも、凄くヒルデに似合ってて、かわいいと思う。
 正直ちょっと、ドキドキしてる……。」
「そ、そう、なんだ……。照れるね。」

 正直ヒルデが可愛く見えてるのって、ヒルデがやたらと恥ずかしそうにしてるっていうのも、あると思うんだよなあ。いつもと違ってて、調子狂うっていうか……。

 服装も相まってヒルデも女の子なんだなあって思うと言うか……。可愛いのは元から知ってたけど、冒険者の時のヒルデに、あんまり性別を意識したことがなかったんだよね。

 だから制服姿とか、今の服装って、かなり新鮮に映って、なんだか知らない人みたいに感じたりもしてるんだ。

「その……ね?私たちって夫婦として、もう少し距離を詰める必要があると思わない?」
「うん、まあ、それはそうだね。」

「だから、このままの体勢っていうのも悪くないんだけど……。その……。ベッドで横になって話をしない?手をつないでさ……。」
「へ!?」

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