上 下
443 / 483
第3章

第442話 スウォン皇国の転送ゲートの作成

しおりを挟む
 次の日、僕はご飯を食べると、朝から早速3つの国を訪ねた。
 最初は獣人の国、スウォン皇国だ。

 門番の小袋熊、アイデンさんたちを抱っこして、お腹ナデナデすることは、毎回の楽しみのひとつだ。気持ちよさそうに眠そうにしているのが、とってもかわいいなあ。

 まあ、実際には僕よりだいぶ年上の人なんだけど、見た目だけなら小さくてモフモフでとっても愛らしい人だからね。

 訪問する先触れは、既にミーティアで出してあったので、すんなり玉座の間に通してもらえた。まあ、僕なら先触れなんてなくてもいつでも来て構わぬと言われているけど、そこはやっぱり貴族時代の習慣なんだよなあ。

 王族や貴族は、人を迎えるための準備が必要だからね。先触れもなしに訪問するのは、かなりの不敬にあたるんだ。

「久しいの、アレックス。ついにおぬしの国が出来たとのこと、喜ばしい限りよ。」
 クローディアさまが、扇子をパチンと鳴らして嬉しそうにそう言ってくれる。

「ありがとうございます。つきましては、大変ぶしつけながら、僕の国を国と認める書状をお願い奉りたく、馳せ参じました。」

「よいよい、かたくるしゅうするでない。
 既に用意しておる。受け取るが良い。
 ──これ、例の物を。」

 クローディアさまがそう言うと、キモノを着た従者の方が、紫色の柔らかい布がかぶせられた板の上に乗った書状を運んでくる。

 従者の方が僕の前にひざまずいて、恭しくその書状を差し出した。
 僕は頭を下げてその書状を受け取ると、マジックバックの中に入れた。

「英雄候補たちはかなり頑張っておるぞ。
 既に遺物(レガシー)クラスと、伝説(レジェンダリー)クラスの武器を使用して、経験値をためておるよ。」

「順調なんですね!良かったです。
 これで僕の国に来て、時間の流れの違う異空間で修行をすれば、地上の時間の流れよりも早く、英雄になることが出来る筈です!」

「手紙によると、先代の英雄に協力をあおいだようじゃの。よもや生きておるとは思わなんだ。先代の英雄たちが、われらに手を貸してくれるとは実に心強い。」

「まだお願い出来たのはお1人だけなんですが、もう1人の所在を知っているお孫さんにこの後会いに行く予定なんです。」

「そうか。無事協力してもらえるとよいが。
 そういえば、英雄候補たちとは会うておるのか?ポチギたちが寂しがっておったが。」

「エルシィさんとは、僕の魚屋の支店をお願いしている関係で、お会いすることもあるんですけど、他の皆さんは僕が訪ねたタイミングで、ダンジョンで訓練されていることが多いので、あまり会えていないですね。」

「そうか。まあそれは仕方のなきこと。それよりも、おぬし、結婚したそうだの。」
「はい、かねてからの婚約者と。」

「そうか、おめでとうと言っておこう。
 ルルゥがたいそう凹んでおったわ!
 あやつのあんな顔は初めて見る。
 罪作りじゃのう、そなたは。」

 クックックと笑うクローディアさま。
 ルルゥさんが凹んでいることと、僕がなんの関係があるんだろう?

「国にいらしていただいたら、これからお会いする機会も増えると思います。
 ところで、僕の国とスウォン皇国をつなぐ瞬間移動装置の設置場所の件ですが、よろしいでしょうか?」

「あい、問題はない。」
「ありがとうございます。では、どちらに設置いたしましょうか?」
「そうさの、この城の庭などどうじゃ?」

「え?お、お城の庭ですか?」
「本当はこの場に設置しようかとも思ったのじゃがのう。なにせ簡単に出入り出来ない国の、秘密通路だというからの。」

「……さすがに、ここを通って僕の国にくるのは、皆さん通りにくいんじゃ……。」
 だって、自分の国の王さまの謁見室だよ?

「そう思ったから庭にしたのじゃ。エルシィたちには頻繁に訓練に通ってもらわねばならん。道を通ることに遠慮されてもの。」

「そうですね、庭のほうが来やすいかと。」
 スウォン皇国の王宮は、自国の人に開放してるからね。かと言ってそんな気軽にこれるかといったら違うと思うけど。

「あないさせるゆえ、好きに造るがよい。
 わが城は他国の人間には簡単には入れぬゆえ、おぬしの国の入口を守るという点においては適しておろう。」

「はい、ありがとうございます。」
 クローディアさまが再び従者に声をかけると、従者の人がこっくりとうなずいて、僕に近付いて来たから、僕は立ち上がると、その人について王宮の庭へと向かった。

「こちらでございます。」
 と開けたスペースに案内される。日当たりがよくて、城と外を区切る壁の横に、大きな木が生えていて、過ごしやすそうな場所だ。

「作成、スウォン皇国とフルバティエをつなぐ、転送装置!」

 すると目の前が光って、時空の海の魔導昇降みたいな扉のゲートが現れた。試しに使ってみると、手をかざすだけで扉が開く。

【スウォン皇国とフルバティエをつなぐ、転送装置が作成されました。
 名前をつけてください。】

 じゃあ簡単に、転送ゲート・スウォン!

【命名:転送ゲート・スウォン。
 中に入ることで発動。
 種類:転送ゲート。
 スウォン皇国とフルバティエをつなぐ、転送装置。】

 これでスウォン皇国のみんなは、気軽に僕の国に遊びに来れるようになったね!
 次はエザリス王国だ!

────────────────────

少しでも面白いと思ったら、エピソードごとのイイネ、または応援するを押していただけたら幸いです。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜

霞杏檎
ファンタジー
「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」 回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。 フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。 しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを…… 途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。 フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。 フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった…… これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である! (160話で完結予定) 元タイトル 「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

幼馴染達にフラれた俺は、それに耐えられず他の学園へと転校する

あおアンドあお
ファンタジー
俺には二人の幼馴染がいた。 俺の幼馴染達は所謂エリートと呼ばれる人種だが、俺はそんな才能なんて まるでない、凡愚で普通の人種だった。 そんな幼馴染達に並び立つべく、努力もしたし、特訓もした。 だがどう頑張っても、どうあがいてもエリート達には才能の無いこの俺が 勝てる訳も道理もなく、いつの日か二人を追い駆けるのを諦めた。 自尊心が砕ける前に幼馴染達から離れる事も考えたけど、しかし結局、ぬるま湯の 関係から抜け出せず、別れずくっつかずの関係を続けていたが、そんな俺の下に 衝撃な展開が舞い込んできた。 そう...幼馴染の二人に彼氏ができたらしい。 ※小説家になろう様にも掲載しています。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

階段落ちたら異世界に落ちてました!

織原深雪
ファンタジー
どこにでも居る普通の女子高生、鈴木まどか17歳。 その日も普通に学校に行くべく電車に乗って学校の最寄り駅で下りて階段を登っていたはずでした。 混むのが嫌いなので少し待ってから階段を登っていたのに何の因果かふざけながら登っていた男子高校生の鞄が激突してきて階段から落ちるハメに。 ちょっと!! と思いながら衝撃に備えて目を瞑る。 いくら待っても衝撃が来ず次に目を開けたらよく分かんないけど、空を落下してる所でした。 意外にも冷静ですって?内心慌ててますよ? これ、このままぺちゃんこでサヨナラですか?とか思ってました。 そしたら地上の方から何だか分かんない植物が伸びてきて手足と胴に巻きついたと思ったら優しく運ばれました。 はてさて、運ばれた先に待ってたものは・・・ ベリーズカフェ投稿作です。 各話は約500文字と少なめです。 毎日更新して行きます。 コピペは完了しておりますので。 作者の性格によりざっくりほのぼのしております。 一応人型で進行しておりますが、獣人が出てくる恋愛ファンタジーです。 合わない方は読むの辞めましょう。 お楽しみ頂けると嬉しいです。 大丈夫な気がするけれども一応のR18からR15に変更しています。 トータル約6万字程の中編?くらいの長さです。 予約投稿設定完了。 完結予定日9月2日です。 毎日4話更新です。 ちょっとファンタジー大賞に応募してみたいと思ってカテゴリー変えてみました。

神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。

猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。 そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。 あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは? そこで彼は思った――もっと欲しい! 欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。 神様とゲームをすることになった悠斗はその結果―― ※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。

転生令嬢の食いしん坊万罪!

ねこたま本店
ファンタジー
   訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。  そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。  プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。  しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。  プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。  これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。  こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。  今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。 ※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。 ※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。

処理中です...