上 下
441 / 483
第3章

第440話 雲の上の国造りって大変だ!

しおりを挟む
「でも……。」
「お父さん、私が結婚相手連れて来たら、ナタ持って追いかけるって言ってたのよ?その覚悟があるなら、先にしてもいいけど。」

「ええ!?」
「半分冗談だとは思うけど、それくらい話し合いに時間がかかるってことよ。大変なことの前にそんな疲れることしなくていいわ。」

「うーん、そう言われると確かに……。」
 ルーデンス王太子たちの悪事をあばくっていう、大変なことを前に、そんな気の重いやりとりはしんどいかも知れない。

「わかった、今回の件が片付いたら、正式に挨拶にいかせてもらうよ。」
「それが懸命ね。」
 とヒルデは肩をすくめた。

 そんなお父さんに、お嫁さんが2人もいるって知られたら、大変なことになりそうだなあ……。しばらく黙っておくしかないか。

 僕が正式に王族と認められてからにしないと、理解してもらうのは難しそうだね。
 王族なら、複数奥さんがいても当たり前だから、納得してもらえると思うけど。

 それでも挨拶よりも先に結婚しちゃったからなあ……。あんまりいい印象を持ってもらえなさそうだ。うう、気が重いよ……。

 話は終わったので、ヒルデに挨拶をして、ミーニャを自宅に送り届けたあとで、ミルドレッドさんと共に叔父さんの家へと戻った。

「さて、国造り、始めよっかな。」
 明日スカーレット嬢に会いに行く予定だけど、その前に国を造ってしまおうと思った。

 せっかく造れるだけのスタミナに成長したわけだし、造った国を他の国に認めてもらう為には3つの国の承認がいるし。早く済ませておくに、こしたことないしね。

【ついに造るんですね。】

 うん、もともとヒルデを守る為には、僕が王さまになる必要があったしね。

【ヒルデさんとの結婚のこと、ほんとにいいんですか?このまま継続しても。】

 僕は偽装結婚のつもりだったけど、僕が好きだって言われちゃったし……。

 偽装とはいえ僕のことを好きだって言ってくれてる子に結婚を申し込んでおいて、やっぱりなしで、は、さすがにひどいかなって。

【ふーん、ヒルデさんラッキーでしたね。
 こんなことでもなければ、オニイチャン、ヒルデさんと結婚しなかったでしょうし。】

 まあ……。それはそうかな?

【でもこれで、重婚に対するハードルが下がりましたね!ああは言ってましたけど、みんな虎視眈々と狙ってくると思いますよ?】

 ええ?困るよ……。

【ミーニャさん1人なら諦めたかも知れませんけど、重婚可能な国の王さまになるつもりだって知っちゃいましたからね。
 そりゃあ諦めませんよ。

 そもそもオニイチャンは、英雄を育成する為には、出来るだけ加護を与えたほうがいいのはわかってますよね?

 加護を与える為には、その人を愛さなくてはならないんですから。

 逆に言えば問題のある人も、そうでない人も、等しく愛することが神には求められるんです。でもオニイチャンは半分人間だから。

 母さまや兄さまたちのように、広く均等に愛する気持ちを、オニイチャンは持てないんですから、そうなると、そういう風に愛するしか、加護の与えようがないです。】

 うう……。それを言われるとなあ……。
 まあ、そこはおいおい考えようよ。
 必要だからって愛せるわけじゃないのは、キリカだってわかってるでしょ?

【まあそうですね。】

 よし、とにかく国造りを始めよう!
 キリカ、スタミナ回復薬を飲むタイミングが来たら教えてね?

【わかりました。】

 僕は大量のスタミナ回復薬を準備した。
 雲の上に地面を作って、そこにお城を最初から建てるんだ!いっくぞー!

「作成!雲の上の国!
 お城と住民の住む家つき!」

 僕はまだ必ず1回で作れないから、失敗することもあるんだけど、失敗すると今のステータスの半分くらいしかスタミナは減らないから、失敗したとすぐわかる。

 5度目でスタミナがぐんぐん吸われていくのを感じる。やった!雲の上の国造りが始まったんだ!スタミナが1/4を切ると、めちゃくちゃ疲れてグッタリするんだ。

【そろそろですね。】

 キリカに教えてもらって、その都度スタミナ回復薬を飲むんだけど。
「ま、まだ飲むの……?」

 既にスタミナ回復薬を12本も飲んでいるのに、一向に国が出来る気配がなかった。
 いったいあとどれだけ飲んだらいいの?

 雲の上に国を造ろうって言うんだから、たくさんいるとは思ったけど、それでもかなりステータスは上がってる筈なのに……。
 先が見えなくて心が折れる。

【まだまだ足りませんよ。一度に減る最低数値のスタミナになっただけですから、今のステータスで造ろうと思ったら、それこそ大量にスタミナ回復薬が必要ですね。】

 キリカがアッサリとそう言った。

────────────────────

ついに国造り開始!


少しでも面白いと思ったら、エピソードごとのイイネ、または応援するを押していただけたら幸いです。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜

霞杏檎
ファンタジー
「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」 回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。 フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。 しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを…… 途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。 フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。 フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった…… これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である! (160話で完結予定) 元タイトル 「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

幼馴染達にフラれた俺は、それに耐えられず他の学園へと転校する

あおアンドあお
ファンタジー
俺には二人の幼馴染がいた。 俺の幼馴染達は所謂エリートと呼ばれる人種だが、俺はそんな才能なんて まるでない、凡愚で普通の人種だった。 そんな幼馴染達に並び立つべく、努力もしたし、特訓もした。 だがどう頑張っても、どうあがいてもエリート達には才能の無いこの俺が 勝てる訳も道理もなく、いつの日か二人を追い駆けるのを諦めた。 自尊心が砕ける前に幼馴染達から離れる事も考えたけど、しかし結局、ぬるま湯の 関係から抜け出せず、別れずくっつかずの関係を続けていたが、そんな俺の下に 衝撃な展開が舞い込んできた。 そう...幼馴染の二人に彼氏ができたらしい。 ※小説家になろう様にも掲載しています。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

階段落ちたら異世界に落ちてました!

織原深雪
ファンタジー
どこにでも居る普通の女子高生、鈴木まどか17歳。 その日も普通に学校に行くべく電車に乗って学校の最寄り駅で下りて階段を登っていたはずでした。 混むのが嫌いなので少し待ってから階段を登っていたのに何の因果かふざけながら登っていた男子高校生の鞄が激突してきて階段から落ちるハメに。 ちょっと!! と思いながら衝撃に備えて目を瞑る。 いくら待っても衝撃が来ず次に目を開けたらよく分かんないけど、空を落下してる所でした。 意外にも冷静ですって?内心慌ててますよ? これ、このままぺちゃんこでサヨナラですか?とか思ってました。 そしたら地上の方から何だか分かんない植物が伸びてきて手足と胴に巻きついたと思ったら優しく運ばれました。 はてさて、運ばれた先に待ってたものは・・・ ベリーズカフェ投稿作です。 各話は約500文字と少なめです。 毎日更新して行きます。 コピペは完了しておりますので。 作者の性格によりざっくりほのぼのしております。 一応人型で進行しておりますが、獣人が出てくる恋愛ファンタジーです。 合わない方は読むの辞めましょう。 お楽しみ頂けると嬉しいです。 大丈夫な気がするけれども一応のR18からR15に変更しています。 トータル約6万字程の中編?くらいの長さです。 予約投稿設定完了。 完結予定日9月2日です。 毎日4話更新です。 ちょっとファンタジー大賞に応募してみたいと思ってカテゴリー変えてみました。

神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。

猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。 そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。 あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは? そこで彼は思った――もっと欲しい! 欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。 神様とゲームをすることになった悠斗はその結果―― ※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。

転生令嬢の食いしん坊万罪!

ねこたま本店
ファンタジー
   訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。  そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。  プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。  しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。  プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。  これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。  こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。  今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。 ※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。 ※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。

処理中です...