スキル【海】ってなんですか？

第２章

第302話 久々のレベルアップ

　卸商人になれることになった僕は、僕の部屋のベッドの上で新しい商品を考えていた。
　僕の売る物って、基本的に僕がいないと作れない、出せない物ばかりなんだよね。

　魚はよそからも手に入るけど、よそから仕入れたら同じ値段で売るのは無理だ。
　あくまで元手がかからないからこそだし。

　そうなると、僕がいなくても作れる商品を考える必要があると思うんだ。僕はこの先英雄を育てる為に、どんどん忙しくなるし。

　そこで考えたのは魔道具だ。魔道具なら、この世にないもので、この世にあるものを使って作り出せるものを考えつけば、工房に依頼して作ってもらうことが出来る。

　この世にないから、相場だってこちらで決められるし、魔道具は最初に考えた人が職人ギルドに登録すると、他の人が作る時にアイデア利用料を貰うことが出来るんだ。

　それを払うから、僕より極端に安く作ることは出来ない。せいぜい素材を安いものにして、お手軽品を作るくらいかな。

　そこで最初に考えたのは、時空の海にある魔道昇降の横に移動する版だ。上下に移動出来るものがあるなら、横に移動出来るものがあったほうが、生活に便利だよね。

　だけどそれを作るとなると、かなりの敷地面積が必要になるし、それを作りたい、使いたいと思う人がどのくらいいるかだ。

　そう考えると、全員単位よりも１人単位で動ける乗り物にしたほうが、便利で需要があるんじゃないかと考えた。

　僕が考えたのは空飛ぶ馬を、乗り物に出来ないかってことだ。ユニコーンという魔物が、いるんだけど、それに羽がついてて、空を飛べる、ペガサスっていうのがいるんだよね。

　僕と叔父さんは空の上を歩けるけど、自分たちで走るより当然馬は速い。
　そんな風に空で戦える騎士団が作れたら、魔王討伐の際にも、凄い戦力になると思う。

　馬は意思があるから、強い敵を前にしたら怖がって逃げてしまうこともあるけれど、魔道具なら当然そんなこともないからね。

　自分たちで操れる魔道具の空飛ぶ馬。
　これは売れるよ！
　僕は創生の海で、魔道具の空飛ぶ馬を生み出すことにした。

　僕には１０％も１０回やれば、１００％、のルールが適用されるから、１０回挑戦すれば必ず作ることが出来る。

　目の前が光って、６回目で魔道具の空飛ぶ馬を生みだすことに成功した。
　けど、僕が思っていたのと少し違って、だいぶ生命体っぽさのない馬になった。

　何ていうのかな、機械族の魔物に馬がいたらこんな感じかな？っていう。目の部分までシルバーメタリックで、感情がない感じ。

　鞍がついてて２人くらい座れるようになっていた。手綱とは別に鞍の幅の握り棒がついていて、安定して座れるようになっている。

　だけど手を伸ばすと、ちゃんとブルルル、と鳴いて、僕に頭を擦り寄せてきた！
　なにこれ、かわいい！

　手触りはひんやりしていて、やっぱり硬いんだけど、命が宿っているわけでもない筈なのに、生きてるみたいに錯覚させられる。

　すると、頭の中に再び、【スキルがレベルアップしました】、という文字が浮かぶ。

【《スキルレベル３１・生命の海。》抽出速度が６０％上昇しました。

　《スキルレベル３２・時空の海。》指定した時空の扉の中身を確認することが可能になりました。

　《スキルレベル３３・情報の海。》半径６０リオの情報を検索が可能になりました。

　《スキルレベル３４・血の海。》半径１アガの対象に対し、ステータスＨＰおよびＭＰおよびＳＴにおける、５０％の固定ダメージを与えます。】と、また、再び文字が浮かんだ。

　やった！久々のレベルアップだ！
　それも４つも！
　やっぱりこの世に存在しないものを生み出すのは、スキル経験値が高いんだなあ。

　キリカ！時空の扉の中身を確認出来るってわざわざ言ってるけど、どういうこと？

【開けられない時空の扉の中身を確認出来るということのようですね。開けられないことに変わりはないですが。】

　てことは、いずれ開けられない扉にも、干渉できるようになるってことなのかな？

【その可能性はあると思います。】

　やっぱりキリカにも正確なことはわからないんだね。けど死んでる人のアイテムボックスは、権限のないものとして手に入れても問題ないけど、生きてる人のは抵抗あるなあ。

　相手からしたら、金庫に入れてあったのに泥棒されるのと変わらない気がする。開けられるようになったとしても、よほどのことがない限り、手出しはちょっとし辛いかも。

　というか、血の海が、ＨＰとМＰだけじゃなく、ＳＴまで奪えるようになったんだ！
　ＳＴは専門のスクロールを使わないと、確認出来ない特殊なステータスなのに。

　スキルを使うのに必要なものだから、ＳＴを奪えるのはかなり大きいな。
　相手のスキル封じに役立つよ。

【オニイチャン、創生の海で生み出したものに、名前をつけて下さい。そうしないと完全な定着をしませんので。】