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第2章

第270話 水の結界の付加効果

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「会心率100%のほうは、俺の持っているスキル的に問題ないと思います。ただ、武器の使用経験値というのが……。」

「私の方は、ステータスが特にかなり難しいですね。相当な先のほうになるかと……。」
「そこは10万超えのステータスの敵がいることを考えると、必須の数値になります。」

 叔父さんが心配そうな2人に告げる。
「武器は国から供出しよう。すべてのランクが揃っているから問題ない。我が国の英雄の為だ。全力で支援しよう。」

 バイツウェル3世がそう言ってくれる。 
 やっぱりどの国も、自分たちの国から英雄を出したいんだね。スウォン皇国に続いて、王族が協力を約束してくれた。

「そう言えば、先ほどの光はあなたの結界だとか。あなたがお父さんの腕を治してくれたんですね。……ありがとうございます。」

「え?お父さんの腕を治した?」
 僕、そんなことした覚えないけど。
 どういうこと?なんの話だろ。

【あれは聖なる結界ですからね。強い聖魔法と同じことです。特に発動時は、結界の安定の為に力を使いましたからね。あの中にいれば腕が切れたくらい治りますし、病気だってある程度は治ります。死んだ人を生き返らせられないというだけですね。】

 そうなの!?キリカ。
 死んだ人を生き返らせられないだけって、それって、じゅうぶん強力過ぎるよ!?

【当たり前ですよ?神が直々にしいた結界ですからね。むしろそう聞いて、その程度のことは出来て当たり前だとは思いませんか?】

 う、そ、そうかも……。
 世界中の国に、結界をしいちゃえばいいんじゃない?って思ってたけど、パワーバランスを考えると、そうもいかないなあ……。

 本来瘴気って、なくなるものじゃないんだよね。瘴気は人も動物も惑わせて、おかしくしてしまうものだけど、魔物や魔族にとってはエネルギー源だという話なんだ。

 仮にすべての人間の国に水の結界をしいた場合、そこまでの強過ぎる力で瘴気を追い出しちゃったら、それは当然魔族の国に集まることになるんだ。

 つまりそれは、その分魔族の国の魔物や、魔族そのもの、ひいては魔王の力をも高めることへとつながってしまうことになる。

 そことを考えると、すべてをなくそうと考えるよりも、程よいバランスが大切なんだなってことになるよね。世界樹が瘴気を浄化しきれないことにも、意味があるのかもなあ。

 世界樹は瘴気を浄化する力を持っているけど、世界中の瘴気を消し去ったりは出来ないし、人を治すことも出来ない。葉を持っていると死を1回免れるものと言われているね。

 教会にいる、復活の力を持つ祭司さまや、ザザ・アイワナ・バイツウェル2世が使おうとした、魔族の魔法みたいなものだね。

 だけど同じ結果をもたらしつつも、それぞれ効果に対する制約が異なるものでもある。
 生き返る代わりに条件があるんだ。

 復活のスキルは、ある程度までの間に死んだ人を生き返らせることが出来るけど、死んでから復活までの『1分毎』に、その人の1時間分の記憶が失われてしまうものなんだ。

 死んでから3分後に生き返った場合、3時間分の記憶がなくなることになるね。時間が経つと、生き返れても赤ちゃんの記憶しかない、なんてことにもなっちゃうんだ。

 そして魔族の魔法で生き返るには、生贄が対価として必要だとされている。だけど魔族以外が使う場合、悪魔の加護がないから、成功しにくいものだとも言われているね。

 実際、ザザ・アイワナ・バイツウェル2世は失敗しちゃって、奥さんも自分自身も、魔物になってしまったわけだしね。

 対して世界樹の葉は、死ぬタイミングで所持していないと効果のないものだ。あとから生き返らせられる復活のスキルや、魔族の魔法とは性質の異なるものだね。

 身代わりの護符っていう、ダメージを肩代わりするアイテムがあるんだけど、それの最も強力なものと言ったらわかりやすいかも。

 それに世界樹は、魔族や魔物に攻撃なんてことは当然出来ない。
 対して僕の結界は、人にとっては癒やしの力で、魔族や魔物に対しては攻撃に転じる。

 だからたくさん設置したら、世界の瘴気のバランスが恐らく崩れてしまうんじゃないだろうか。そこのところどうなんだろ?

【回答、その通りです。】

 やっぱりね……。僕の力だけで世界を安全にするには、無理があるってことだね。
 村とか狭い範囲なら問題ないだろうけど。

「あの時怪我をされていたんですね。タイミングよく治って良かったです。あれは滅多に発動出来るものでもないので……。」
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