262 / 525
第2章
第262話 世界で最も安全な国
しおりを挟む
「Bランクを倒せる人は少ないから、かなり有効な結界ということだね!」
「そうですね、外から侵入出来ませんし。」
とキリカも同意してくれる。
「それになにより、ダンジョンスタンピードが起きた際に、最も安全な国というのは、国内外に広く関心を集めると思います。
これは現時点で世界で唯一です。」
「最も安全な国というのは?」
叔父さんがキリカにたずねる。
「ダンジョンの外から出た途端、Bランク以上の魔物は干からびますから。」
結界内の人の住む場所に、新たに生まれることもないですね、とキリカが言った。
「そうか……!この結界は半永久的だから、ダンジョンの中なら無事でも……。」
「ダンジョンスタンピードで外に出た途端、死んでしまうってことなんだね!」
「はい。今この国が世界一安全です。」
どこの国もダンジョンスタンピードを起こさない為に、ダンジョンから一定以上の魔物を狩らせているし、冒険者ギルドがダンジョンの管理をしているんだ。
ニナナイの村みたく、あふれさせる寸前まで魔物を1つのフロアに集めたとしても、いざ出てきたら死んでしまう。ニナナイの村もこの国にあったら罰を受けなかったのにね。
「それはいずれ各国に知られることになるだろうな。みなそれぞれ王宮所属の専属占い師を持っている。この国の状態を知ることが可能だろう。そうなれば……。」
「危険な国から逃げてくる人たちも、たくさんいそうだね?この国が失われた大地だなんて言っていられなくなるよ。無視するなんて出来ない。だって世界一安全なんだもの。」
「はい。またそれ以前に、既にこの国は失われた大地ではなくなったようです。」
「どういうこと?キリカ。」
「“選ばれしもの”が7人、この国に移動しているようです。人間の世界では、“選ばれしもの”が訪問する国というのは特別な意味を持ちます。また過去に7人が訪問した例はなく、それにより中央聖教会は、エザリス王国を教徒として認める意向を示すつもりです。」
「“選ばれしもの”が7人全員!?
そりゃ凄い。人間の中で祝福を授けられる限られた存在だ。訪問される国は大変な栄誉だし、穢れた土地じゃない証明にもなる。」
「けど、今まで無視してたのに、急に?ってエザリス王国の人たちが思わないかな……。」
「その為の7人全員の訪問のようです。謝罪の意思と誠意を示す目的もありますね。」
「なるほどな、かつてない7人よる訪問により、アジャリべさまの敬虔な信徒ほど、特別なことをされているという意識は強まるだろうな。この国がそうなら民衆が喜ぶだろう。」
「そこのところはどうなの?キリカ。」
「この国は穢れた土地とされて以降、他の国よりも神に願う気持ちが強く、敬虔な信徒が多いようですね。喜ぶと思います。」
「なら、さっそく報告に行こう、叔父さん。
こんな嬉しい話題は、伝えずにはいられないよ!ごめん、キリカ、待ってて!」
「はい、オニイチャン。」
僕と叔父さんは、キリカを残してエザリス王国の王宮へと戻った。キリカを連れて行かないのは、単純に説明が大変だから。
さっきまでいなかった人だからね。
扉を開けて戻ると、バイツウェル3世がキラキラした目で僕らを見つめている。子どもらしい顔も出来るんだな。普段は王さまとして気を張って生きているんだろう。
「カミーザから、悪しき者の存在が消えたと報告があった!よくやってくれた!」
「あ、それなんですけど……。」
僕と叔父さんは取り逃がしてしまったことを伝えた。それを聞くと、バイツウェル3世は残念そうに眉を下げた。
「そうか……。
あれはやはり、先代王であったのか?」
「はい、そのようです。」
「なればこの国からいなくなってくれただけでもしめたもの。それにおぬしの結界があれば、もう近付くこと叶わぬであろうしの。」
「そうですね、結界が有効な間は、そうなると思います。」
「それでじゅうぶんだ。あれがこの国にいないと明確に判明しただけでも安心だ。」
「いるかも知れない、いないかも知れない、どちらともわからず、私たちはその存在に怯え続けてきたのです。いなくなったと分かって、ホッといたしました。」
とカミーザさんが笑顔を見せた。
「それでは、そろそろ食糧難の解決の話に移ろうか。慌ただしくなってしまったが、本来占わせていたのはそちらだったのだ。」
そう言えば、そんなことも言ってたね。
「その前にお伝えしたいことがあります。」
叔父さんが胸に拳を当てて最敬礼する。
「なんだ?申してみよ。」
「そうですね、外から侵入出来ませんし。」
とキリカも同意してくれる。
「それになにより、ダンジョンスタンピードが起きた際に、最も安全な国というのは、国内外に広く関心を集めると思います。
これは現時点で世界で唯一です。」
「最も安全な国というのは?」
叔父さんがキリカにたずねる。
「ダンジョンの外から出た途端、Bランク以上の魔物は干からびますから。」
結界内の人の住む場所に、新たに生まれることもないですね、とキリカが言った。
「そうか……!この結界は半永久的だから、ダンジョンの中なら無事でも……。」
「ダンジョンスタンピードで外に出た途端、死んでしまうってことなんだね!」
「はい。今この国が世界一安全です。」
どこの国もダンジョンスタンピードを起こさない為に、ダンジョンから一定以上の魔物を狩らせているし、冒険者ギルドがダンジョンの管理をしているんだ。
ニナナイの村みたく、あふれさせる寸前まで魔物を1つのフロアに集めたとしても、いざ出てきたら死んでしまう。ニナナイの村もこの国にあったら罰を受けなかったのにね。
「それはいずれ各国に知られることになるだろうな。みなそれぞれ王宮所属の専属占い師を持っている。この国の状態を知ることが可能だろう。そうなれば……。」
「危険な国から逃げてくる人たちも、たくさんいそうだね?この国が失われた大地だなんて言っていられなくなるよ。無視するなんて出来ない。だって世界一安全なんだもの。」
「はい。またそれ以前に、既にこの国は失われた大地ではなくなったようです。」
「どういうこと?キリカ。」
「“選ばれしもの”が7人、この国に移動しているようです。人間の世界では、“選ばれしもの”が訪問する国というのは特別な意味を持ちます。また過去に7人が訪問した例はなく、それにより中央聖教会は、エザリス王国を教徒として認める意向を示すつもりです。」
「“選ばれしもの”が7人全員!?
そりゃ凄い。人間の中で祝福を授けられる限られた存在だ。訪問される国は大変な栄誉だし、穢れた土地じゃない証明にもなる。」
「けど、今まで無視してたのに、急に?ってエザリス王国の人たちが思わないかな……。」
「その為の7人全員の訪問のようです。謝罪の意思と誠意を示す目的もありますね。」
「なるほどな、かつてない7人よる訪問により、アジャリべさまの敬虔な信徒ほど、特別なことをされているという意識は強まるだろうな。この国がそうなら民衆が喜ぶだろう。」
「そこのところはどうなの?キリカ。」
「この国は穢れた土地とされて以降、他の国よりも神に願う気持ちが強く、敬虔な信徒が多いようですね。喜ぶと思います。」
「なら、さっそく報告に行こう、叔父さん。
こんな嬉しい話題は、伝えずにはいられないよ!ごめん、キリカ、待ってて!」
「はい、オニイチャン。」
僕と叔父さんは、キリカを残してエザリス王国の王宮へと戻った。キリカを連れて行かないのは、単純に説明が大変だから。
さっきまでいなかった人だからね。
扉を開けて戻ると、バイツウェル3世がキラキラした目で僕らを見つめている。子どもらしい顔も出来るんだな。普段は王さまとして気を張って生きているんだろう。
「カミーザから、悪しき者の存在が消えたと報告があった!よくやってくれた!」
「あ、それなんですけど……。」
僕と叔父さんは取り逃がしてしまったことを伝えた。それを聞くと、バイツウェル3世は残念そうに眉を下げた。
「そうか……。
あれはやはり、先代王であったのか?」
「はい、そのようです。」
「なればこの国からいなくなってくれただけでもしめたもの。それにおぬしの結界があれば、もう近付くこと叶わぬであろうしの。」
「そうですね、結界が有効な間は、そうなると思います。」
「それでじゅうぶんだ。あれがこの国にいないと明確に判明しただけでも安心だ。」
「いるかも知れない、いないかも知れない、どちらともわからず、私たちはその存在に怯え続けてきたのです。いなくなったと分かって、ホッといたしました。」
とカミーザさんが笑顔を見せた。
「それでは、そろそろ食糧難の解決の話に移ろうか。慌ただしくなってしまったが、本来占わせていたのはそちらだったのだ。」
そう言えば、そんなことも言ってたね。
「その前にお伝えしたいことがあります。」
叔父さんが胸に拳を当てて最敬礼する。
「なんだ?申してみよ。」
396
お気に入りに追加
2,075
あなたにおすすめの小説
「専門職に劣るからいらない」とパーティから追放された万能勇者、教育係として新人と組んだらヤベェ奴らだった。俺を追放した連中は自滅してるもよう
138ネコ@書籍化&コミカライズしました
ファンタジー
「近接は戦士に劣って、魔法は魔法使いに劣って、回復は回復術師に劣る勇者とか、居ても邪魔なだけだ」
パーティを組んでBランク冒険者になったアンリ。
彼は世界でも稀有なる才能である、全てのスキルを使う事が出来るユニークスキル「オールラウンダー」の持ち主である。
彼は「オールラウンダー」を持つ者だけがなれる、全てのスキルに適性を持つ「勇者」職についていた。
あらゆるスキルを使いこなしていた彼だが、専門職に劣っているという理由でパーティを追放されてしまう。
元パーティメンバーから装備を奪われ、「アイツはパーティの金を盗んだ」と悪評を流された事により、誰も彼を受け入れてくれなかった。
孤児であるアンリは帰る場所などなく、途方にくれているとギルド職員から新人の教官になる提案をされる。
「誰も組んでくれないなら、新人を育て上げてパーティを組んだ方が良いかもな」
アンリには夢があった。かつて災害で家族を失い、自らも死ぬ寸前の所を助けてくれた冒険者に礼を言うという夢。
しかし助けてくれた冒険者が居る場所は、Sランク冒険者しか踏み入ることが許されない危険な土地。夢を叶えるためにはSランクになる必要があった。
誰もパーティを組んでくれないのなら、多少遠回りになるが、育て上げた新人とパーティを組みSランクを目指そう。
そう思い提案を受け、新人とパーティを組み心機一転を図るアンリ。だが彼の元に来た新人は。
モンスターに追いかけ回されて泣き出すタンク。
拳に攻撃魔法を乗せて戦う殴りマジシャン。
ケガに対して、気合いで治せと無茶振りをする体育会系ヒーラー。
どいつもこいつも一癖も二癖もある問題児に頭を抱えるアンリだが、彼は持ち前の万能っぷりで次々と問題を解決し、仲間たちとSランクを目指してランクを上げていった。
彼が新人教育に頭を抱える一方で、彼を追放したパーティは段々とパーティ崩壊の道を辿ることになる。彼らは気付いていなかった、アンリが近接、遠距離、補助、“それ以外”の全てを1人でこなしてくれていた事に。
※ 人間、エルフ、獣人等の複数ヒロインのハーレム物です。
※ 小説家になろうさんでも投稿しております。面白いと感じたらそちらもブクマや評価をしていただけると励みになります。
※ イラストはどろねみ先生に描いて頂きました。
異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!
石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。
クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に!
だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。
だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。
※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる