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第1章

第169話 僕の出生の秘密・その5

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「承りました。」
 母さまの言葉に、叔父さんがうやうやしくかしずいた。向こうからも見えてないだろうに、ほんと真面目なんだから。

【“最後に、アレックス。
 愛しているわ。
 体に気を付けてね。”】

「──はい!母さま!!」

【神との念話を終了します。】
 久々な気のする、情報の海さんがそう言うと、あたりはシン……として、誰の声も聞こえなくなったのだった。

「まさか、神と直接話せるとはな……。」
 叔父さんは未だ夢心地といった感じで、そうつぶやいた。

「そうだね、僕もびっくりだよ。
 でも、これで叔父さん、僕が神の使徒だってこと、信じてくれたよね?」

「それどころか、お前が神の子どもで、アジャリべさまがオリビアだったとはな……。
 未だにそこは信じられんが。いや、信じられんというより、実感がわかない。」

「そうだよね。僕もだよ。なんかフワフワしてるというか……。でも、ほんとに母さまと話したんだなあ……。」

 もっといろんなことを話したかったけど、スキルのレベルが上がれば、また話せるって言われたし、今度は2人きりで、もっとゆっくり話したいな。

 僕が小さい頃に亡くなったから、僕はまだあんまり口が回らなかったし、会話っていう会話をした記憶がないんだよね?

 よーし、レベル上げ頑張ろう!
 それから僕は、叔父さんに、勇者に変化する為に必要なことを話した。

 短剣、片手剣、双剣、長剣、大剣、槍、斧のスキル経験値が、それぞれ1000000必要なこと。

 幻想(ファンタズム)クラス、
 伝説(レジェンダリー)クラス、
 遺物(レガシー)クラス、
 固有(ユニーク)クラス、
 最高(エピック)クラス、
 希少(レア)クラス、
 通常(ノーマル)クラス、
 粗悪(インフェリオリティ)クラス。
 そのいずれか7種類の武器クラス使用経験値が、それぞれ1000000必要なこと。

 達成した場合、スキルが勇者に変化すること。だけどもう1つ条件があって、それが何かはまだ分からないことを伝えた。

「──それでね?さっき、勇者になれるのも聖女になれるのも、1人じゃないと言ってたでしょう?僕は叔父さんとヒルデに、最初の勇者になって欲しいと思ってるんだ?」

「俺に?」
「うん。勇者になれる人がたくさんいるっていうことを、世間の人たちに知らせるには、最低でも2人の勇者が必要だと思うんだ。」

「……それは確かに、そうだな。勇者は1人だけだという、常識を覆すことが出来る。」
「うん。それと並行して、僕は世界中に店を出して、他の国の候補を探したいんだ。」

「いいんじゃないか。
 その国に溶け込むのには、商人は有効な隠れ蓑だ。王家の影も行商人や商売人、冒険者などに扮していることが多いと聞く。」

「それに、僕の夢でもある、キャベンディッシュ侯爵家に卸業者として関わるっていうのも、同時に果たせると思うんだ。」

「──キャベンディッシュ侯爵家に?」
「……リアムに堂々と会いたいからさ。」
 叔父さんは、そうか、とだけ言った。

「分かった。引退した身ではあるが、世界の一大事、かつ、神直々の勅命を断ることは俺には出来ない。やらせて貰おう。」

「ありがとう……!叔父さん!」
 ところでその神って、僕じゃないよね?
 母さまたちのことだよね?

「……これはもともと、叔父さんかヒルデにたくそうと思って持って来たんだけど。」
 僕は200番目の扉から持って来た、英雄の剣をマジックバッグから出してみせた。

「これが勇者の剣か。」
「うん。だけど、さっきの話だと、僕がこのまま持ってたほうがいいみたいだ。」

「そうだな。アレックスのスキルのレベルが上がったほうがいいだろう。少しでも早く、もしもの時の為に、神とコンタクトを取れるようにしたほうがいい。」

「勇者を2人以上作るなら、誰か1人にたくすとなると、その1人だけが勇者と思われかねないし。今回の勇者は勇者の剣なしになるね。いざという時に見せるのはアリかな。」

「そうだな。ヒルデ嬢に勇者になってくれと話す際には俺も同席しよう。剣聖に変化した過去を持つ俺だ。俺に憧れる彼女には、俺の言葉のほうが真実味があるだろうからな。」

「うん。その時はお願いします。」
「まずは週末に時空の扉の調査、それから店を出す国の選定、店を任せられる人間を揃えなくちゃならないな。」

「そのことなんだけど、今度来る奴隷のザックスさんは、過去に店を経営してたみたいなんだ。だから今後はそういう人や奴隷も探してみようと思ってるんだ。」

「経験者に任せられるのはいいな。それよりも、店って魚屋をするつもりなのか?」
「うん、そのつもりだけど、どうして?」
 僕にはそれしか出来ないと思うんだけど。

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読者さまからいただいたアドバイスをもとに、
古代をエンシェント
異物をレガシー
とさせていただくことにしました。
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