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第1章
第153話 勇者に関するお告げのお触れ
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みんなで楽しくご飯を食べて、お喋りをしていると、ふと、ジャックさんが、急にこんなことを言い出した。
「アレックスさま、国が勇者と、勇者の武器を探しているという話はご存知ですか?
先日町にお触れがあったのですが。」
「勇者?それと勇者の武器ですか?」
「はい、神より勇者に関するお告げがあったとのことです。ななつをすべしものが、恒久への道を指し示すであろう、というのが今回のお告げとのことでした。」
「へえ~。ついにあったんですね!200年ぶりですよね。ちなみに聖女さまに関するお告げは、どんなものだったんですか?」
魔物が増えてきてると言うし、勇者さまと聖女さまが現れることは、世界中で長年待ち望まれていたことだ。ついになのかあ!
「それが……今回はなかったようなのです。
勇者さまに関するお告げだけだそうで。」
グレースさんが説明してくれる。
「なかったんですか?」
「はい。過去にも同時にお告げがなかったことはありましたので、今回もそうかと。」
ジャックさんが補足してくれる。
「ななつをすべしもの……、随分と抽象的ですよね。それってなんなんでしょう?」
「分からないので、それらしき人物を広く集めて真偽を問うとのことでした。」
僕が町にいない間に、国からお触れが出ていたんだね。それにしても、ななつをすべしものって、なんのことなんだろうね?
「勇者に関することではあれど、それが勇者そのものを指すのか、失われた武器を指すのか、勇者を知る者を指すのかが分からないとのことで、武器に関する情報も集めると。」
「伝説の勇者の武器かあ……。
なんか凄そうですね。本来なら、代々勇者に受け継がれていたものですよね?」
中央聖教会で保管されてて、魔王の封印が終わったら、毎回返却して、また次の勇者が現れた時に渡すものだと教わったよ。
だけど先代の勇者さまは、戦いの果てに亡くなられて、戻っては来なかったんだって。
それ以来失われてしまったらしい。
200年も前のことだから、誰もどんな形状なのかとか知らないんだ。あの頃は記録用の魔道具とかもなかったし、まさかなくなるなんて思ってなかっただろうからね。
形をしるした絵もなくて、ただ、それを持って活躍していた、代々の勇者の英雄譚だけが語り継がれているんだ。
「そうですね、先代の勇者さまは帰還することなくお亡くなりになられたと、先代の聖女さまから報告があったというのは歴史の教科書で学びましたが、その時に失われたと。」
僕もキャベンディッシュ侯爵家の家庭教師から、学園入学前の勉強で教わったなあ。
本当なら、その時代のいずれかの国の王女さまと、結婚する予定だったんだよね。
当時のリシャーラ王国の王女さまと懇意にしていたという記録があって、生きて帰って来てたら、うちの国の王女さまと結婚していたかも知れなかったんだよね。
もしもそうなっていたら、もう少し早くリシャーラ王国は、他の大国と肩を並べられていただろうと言われているんだ。
歴史上のもしもの話ではあるけどね。
塩を巡って他国から圧をかけられたり、戦争を仕掛けられることもなかっただろうね。
勇者が縁戚になった国を襲ったら、中央聖教会も、他国も黙っていないもの。
それを面白くなく思った諸外国から、暗殺されたんじゃないかなんて話まで出ていたらしいよ。魔王を封印出来るほどの実力者が暗殺されるなんてこと、ないとは思うけどさ。
「古代レジェンダリー等級の武器ですし、そんな物のありかを知っている人がいれば、すぐに名乗り出ることでしょう。名乗り出ないということは、人の手に渡ってはいないということですわ。見つからないでしょうね。」
「──古代レジェンダリー?」
オフィーリア嬢の言葉に僕は首を傾げる。
勇者の武器の等級なんて、キャベンディッシュ侯爵家の家庭教師にも聞いたことがない。
「はい。大祖母さまから教えていただいたのですが、勇者さまの武器は古代レジェンダリーという等級のものだそうですわ。
ひと目見て普通と違う武器だそうです。」
オフィーリア嬢の大祖母さまは、先代国王とオフィーリア嬢の祖母の実母にあたる。それって王家の人間しか知らない話なんじゃ?
僕が聞いちゃって良かったのかな?
それにしても、古代レジェンダリー等級かあ……。最近どっかで聞いた気がするなあ。
──どこでだっけ?
「見つかったとしても、武器だけあっても仕方がありませんけれどね。肝心の勇者さまが見つからないことには使い手がおりませんもの。武器のお告げだなんて不思議ですわ。」
「それは確かに……。もしもそれが勇者さまではなく、武器に関するお告げだとすれば、不思議な話ですね……。なぜそんな回りくどいことをするんでしょうか。」
確かに、とジャックさんとグレースさんが僕の言葉にうなずく。
「手にした人が、次世代の勇者になるですとか、そういうことはないのでしょうか?」
「アレックスさま、国が勇者と、勇者の武器を探しているという話はご存知ですか?
先日町にお触れがあったのですが。」
「勇者?それと勇者の武器ですか?」
「はい、神より勇者に関するお告げがあったとのことです。ななつをすべしものが、恒久への道を指し示すであろう、というのが今回のお告げとのことでした。」
「へえ~。ついにあったんですね!200年ぶりですよね。ちなみに聖女さまに関するお告げは、どんなものだったんですか?」
魔物が増えてきてると言うし、勇者さまと聖女さまが現れることは、世界中で長年待ち望まれていたことだ。ついになのかあ!
「それが……今回はなかったようなのです。
勇者さまに関するお告げだけだそうで。」
グレースさんが説明してくれる。
「なかったんですか?」
「はい。過去にも同時にお告げがなかったことはありましたので、今回もそうかと。」
ジャックさんが補足してくれる。
「ななつをすべしもの……、随分と抽象的ですよね。それってなんなんでしょう?」
「分からないので、それらしき人物を広く集めて真偽を問うとのことでした。」
僕が町にいない間に、国からお触れが出ていたんだね。それにしても、ななつをすべしものって、なんのことなんだろうね?
「勇者に関することではあれど、それが勇者そのものを指すのか、失われた武器を指すのか、勇者を知る者を指すのかが分からないとのことで、武器に関する情報も集めると。」
「伝説の勇者の武器かあ……。
なんか凄そうですね。本来なら、代々勇者に受け継がれていたものですよね?」
中央聖教会で保管されてて、魔王の封印が終わったら、毎回返却して、また次の勇者が現れた時に渡すものだと教わったよ。
だけど先代の勇者さまは、戦いの果てに亡くなられて、戻っては来なかったんだって。
それ以来失われてしまったらしい。
200年も前のことだから、誰もどんな形状なのかとか知らないんだ。あの頃は記録用の魔道具とかもなかったし、まさかなくなるなんて思ってなかっただろうからね。
形をしるした絵もなくて、ただ、それを持って活躍していた、代々の勇者の英雄譚だけが語り継がれているんだ。
「そうですね、先代の勇者さまは帰還することなくお亡くなりになられたと、先代の聖女さまから報告があったというのは歴史の教科書で学びましたが、その時に失われたと。」
僕もキャベンディッシュ侯爵家の家庭教師から、学園入学前の勉強で教わったなあ。
本当なら、その時代のいずれかの国の王女さまと、結婚する予定だったんだよね。
当時のリシャーラ王国の王女さまと懇意にしていたという記録があって、生きて帰って来てたら、うちの国の王女さまと結婚していたかも知れなかったんだよね。
もしもそうなっていたら、もう少し早くリシャーラ王国は、他の大国と肩を並べられていただろうと言われているんだ。
歴史上のもしもの話ではあるけどね。
塩を巡って他国から圧をかけられたり、戦争を仕掛けられることもなかっただろうね。
勇者が縁戚になった国を襲ったら、中央聖教会も、他国も黙っていないもの。
それを面白くなく思った諸外国から、暗殺されたんじゃないかなんて話まで出ていたらしいよ。魔王を封印出来るほどの実力者が暗殺されるなんてこと、ないとは思うけどさ。
「古代レジェンダリー等級の武器ですし、そんな物のありかを知っている人がいれば、すぐに名乗り出ることでしょう。名乗り出ないということは、人の手に渡ってはいないということですわ。見つからないでしょうね。」
「──古代レジェンダリー?」
オフィーリア嬢の言葉に僕は首を傾げる。
勇者の武器の等級なんて、キャベンディッシュ侯爵家の家庭教師にも聞いたことがない。
「はい。大祖母さまから教えていただいたのですが、勇者さまの武器は古代レジェンダリーという等級のものだそうですわ。
ひと目見て普通と違う武器だそうです。」
オフィーリア嬢の大祖母さまは、先代国王とオフィーリア嬢の祖母の実母にあたる。それって王家の人間しか知らない話なんじゃ?
僕が聞いちゃって良かったのかな?
それにしても、古代レジェンダリー等級かあ……。最近どっかで聞いた気がするなあ。
──どこでだっけ?
「見つかったとしても、武器だけあっても仕方がありませんけれどね。肝心の勇者さまが見つからないことには使い手がおりませんもの。武器のお告げだなんて不思議ですわ。」
「それは確かに……。もしもそれが勇者さまではなく、武器に関するお告げだとすれば、不思議な話ですね……。なぜそんな回りくどいことをするんでしょうか。」
確かに、とジャックさんとグレースさんが僕の言葉にうなずく。
「手にした人が、次世代の勇者になるですとか、そういうことはないのでしょうか?」
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