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第1章

第132話 見られていたら困ること

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 スキル経験値上昇のスクロールは数が少ないから、よほどのスキル経験値が稼げる時にだけ使ったほうがいいってことだね。

「ちなみに抽出したものを、スキルの中にしまうにはどうしたらいいの?それと、いくつまでしまえるとかって決まりはある?」

【回答、抽出完了時に排出及び収納の選択が求められます。排出を選択した場合、即時取り出しが可能です。収納を選択した場合、スキル内に収納されます。
 収納数の上限はありません。収納アイテムは時空の海のアイテム収納ボックス内に収納され、いつでも取り出すことが可能です。】

 そうだ!それだよ!忘れてた!
「時空の海のアイテム収納ボックスってどこにあるの?中にそれらしき扉がなかったんだけど……。新しく扉が出来たんだよね?」

【回答、アイテム収納ボックスは、時空の海の最下層に新たに作成されました。】
 1番下に出来ちゃったのか!それは入口付近を見ても見つからないわけだね……。

 でもまあそれはそうか。アイテムボックスの海の扉は下の方までずっと続いてて、他のアイテムボックス持ちの人たちの扉で埋め尽くされてるんだもん。作る余地がないよね。

 どこか謎の空間が作られて、そこにしまわれてるのかなって、なんとなく思ってたんだけど、別にそういうわけじゃないみたいだ。

 ちゃんと僕のアイテムボックスが出来たってことだね!これで僕のスキルは2つあるも同然だ!よくわからない〈海〉より、人に説明する時に堂々と説明出来るようになるよ!

 早くレベル10まで上げたいなあ、叔父さんと週末時空の扉を確認するまでに。
 1番近くてもお祖父さまの扉なんだもん。

「よし!色々教えてくれてありがとう!
 色んなことがわかったよ!」
【どういたしまして。
 お役に立てて何よりです。】

 質問の返事以外も言えるんだ!
 僕は思わずフフッと笑った。この先レベルが上がったら、情報の海さんと、もっと色んな話が出来たりするのかな?

 僕はそう思いながら、叔父さんと夕ご飯を食べて、お風呂に入りながら、ふとレンジアのことを思い出した。

 情報の海さんの声は、僕の頭の中にだけ響いている声なんだよね。つまり、僕は盛大な独り言を言っていたということになる。

 レンジアは常に僕を監視していると言っていたから、ひょっとしたら、というかひょっとしなくても、盛大な独り言を言っている僕の姿を見られてたってことだよね。

 ……うわああぁ!!それって今更ながらに恥ずかしい!それによく考えたら、僕の言葉の端々から、僕のスキルについて、より深く知られてしまったかも知れないよね。

 目の前にいないから、すっかり存在を忘れて普通に話しちゃってたけど、これからはアイテムボックスの海の中で話すようにしないとなあ。聞かれたら困るもの。

 ……中について来られたらどうしようもないけど。というか、リーグラ王国の船の上にいたってことは、アイテムボックスの海の中にまで、ついて来てたってことだよね?

 ということは、僕がレンジアに内緒でやろうとしていることの、あれこれだって、見られてる可能性があるってことだよね。

 ……。

 し、知りたくない……。
 もしも、アレを見られてたらと思うと、どんな顔して彼女に今後会えばいいの?
 男の子としての大事なものを失う気分だ。

 彼女自身はそんな変態さんではないと思うけど、何より命令を重視する子だから、もしもどんな状況でも片時も離れるなって、命令されていたとしたら、見ていた筈だから。

 レンジアがアイテムボックスの海の中に、勝手に入れない方法が何かないかな?
 時空の海の利用者を限定するには……。

【回答、時空の海の中に、指定対象者のみ入室を許可、に変更する場合は、その都度対象者を指定することで可能となります。】

 情報の海さん!!
 あれ?っていうか、僕今、声に出してた?
 頭の中だけで考えてたつもりなんだけど。

【回答、思い浮かべたことに対して、直接の回答が可能です。また、口頭での質問においても、回答が可能です。】

 そうなんだ!
 ならこれから独り言みたいに口に出して言わなくても、答えて貰えるってことだね!

 もともと僕の頭の中にだけ響いていた声なんだから、むしろこのほうが自然というか、先に連想すべきことだったかも。

 普通に独り言に答えてくれてたから、そういうものかと思っちゃってたけど。
 最初から頭の中で考えてたらよかったな。

 とりあえずこれからは安心ってことだね。
 あとは……。やっぱり本人に聞いてみないことには、落ち着かないなあ……。

「レンジア、いる?」
「いない。」
 天井に向けて声をかけると、いつものようにレンジアから返事が返ってくる。

────────────────────

ここからしばらくレンジアのターン。
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